衛生管理者 労働衛生(有害業務) 問29:局所排気装置・保護具
局所排気装置の定期自主検査に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア局所排気装置の定期自主検査は、設置後1年を経過してから初回の検査を実施すればよく、設置直後の検査は義務付けられていない。
- イ局所排気装置の定期自主検査は、2年以内ごとに1回の頻度で実施することが特定化学物質障害予防規則・有機溶剤中毒予防規則に定められており、検査記録は5年間保存が義務付けられている。
- ウ局所排気装置の定期自主検査における主な検査項目には、フードの損傷の有無・ダクトの腐食・摩耗等の有無・排風機の回転方向の確認・制御風速の測定等が含まれる。正答
- エ局所排気装置の定期自主検査は、装置の使用者(事業者)が自ら実施しなければならず、外部の専門業者(検査業者)に委託して実施させることは法令上認められていない。
- オ定期自主検査の結果、局所排気装置の性能低下(制御風速が規定値に達しない等)が確認された場合は、装置の修理・改善を行う前に、まず事業者は都道府県労働局長に報告しなければならない。
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正しいのはウです。局所排気装置の定期自主検査の主な検査項目として、フードの損傷・ダクトの腐食・排風機の確認・制御風速の測定等が定められており、これは特化則・有機則の規定に即した正しい内容です。
各誤りの要点: ア→設置後の初回検査に関する「1年後」の規定の記述は不正確(設備を使用し始めたら1年以内ごとの定期検査が必要)。イ→定期自主検査の頻度は「2年以内ごと」ではなく「1年以内ごとに1回」(2年は誤り)・記録保存は3年間(5年は誤り)。エ→外部業者への委託は「法令上禁止されていない」(実際には委託して実施することが多い)。オ→性能低下時に「まず行政に報告」の義務はなく、修理・改善を行うことが義務(報告義務の誤解)。
局所排気装置の定期自主検査の概要:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法令 | 特化則第30条・有機則第20条等 |
| 実施頻度 | 1年以内ごとに1回(2年は誤り) |
| 記録保存期間 | 3年間(5年は誤り) |
| 実施者 | 事業者(外部業者への委託も可) |
| 主な検査項目 | フードの損傷・ダクト腐食・排風機の状態・制御風速測定等 |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 定期自主検査は使用開始後から毎年1回以内の頻度で実施が必要。「設置後1年経過してから初回でよい」という記述が誤りで、使用開始から1年を超えない間隔で実施することが求められる。
- イ(誤): 頻度は「1年以内ごとに1回」(2年ではない)・記録保存は3年間(5年ではない)。2か所の数値が誤り。
- ウ(正): 定期自主検査の検査項目として正確に記述。特化則第30条第1項のフードの損傷・ダクトの腐食等・排風機等の各部位の点検・制御風速の測定が義務。
- エ(誤): 定期自主検査は外部の専門業者(検査機関・装置メーカー等)に委託して実施させることができます。「委託が法令上禁止」は誤りです。
- オ(誤): 定期自主検査で性能低下が確認された場合の義務は「修理・改善の実施(速やかに)」であり、まず行政への報告義務はありません。重大な労働災害が発生した場合の報告義務(安衛法第100条等)とは別の話です。
【理論的背景】
局所排気装置の定期自主検査制度は、設置した装置が適切な性能(制御風速・排風量等)を維持していることを定期的に確認することで、有害物質の捕捉効率の経年劣化による作業環境悪化を防ぐための制度です。フィルターの目詰まり・ダクトの腐食・排風機の回転数低下等は、装置の性能を経時的に低下させる要因であり、定期点検によって早期に発見・修理することが重要です。
定期自主検査が「自主検査」である意義:
- 安衛法では「定期自主検査」として事業者が自らの責任で実施することを義務付けている
- 行政(労働基準監督署)が毎年立ち入り検査する制度ではなく、事業者が自主的に実施して記録を保存(行政から求められた際に提出できるよう)
- 「自主」であっても義務であり、未実施は法令違反
【実務・条文構造】
特化則第30条(定期自主検査)の主要規定:
実施頻度:
- 1年以内ごとに1回(定期的・継続的に実施)
- 新設・移設後も使用開始後から1年内の間隔を守ること
検査項目(特化則第30条第1項各号):
1. フードの損傷の有無(亀裂・孔・変形等)
2. ダクトの腐食・摩耗・損傷・塞がり等の有無
3. 排風機の回転方向・軸受(ベアリング)の状態・振動・騒音の異常
4. 電動機(モーター)の状態・消費電流の確認
5. 空気清浄装置の損傷・機能の確認(フィルター目詰まり・バグ破損等)
6. 制御風速の測定(フードの開口部での測定・規定値との比較)
記録の内容と保存:
- 記録必須事項: 実施年月日・担当者・各検査項目の結果・制御風速の測定値・不具合の有無と内容
- 保存期間: 3年間(特化則・有機則共通)
- 記録保管場所: 事業場に保管(行政への定期提出義務はないが、行政からの要求があれば提示)
性能低下時の対応義務:
- 発見した不具合・性能低下: 速やかに修理・改善を実施
- 修理完了まで装置を使用し続ける場合: 呼吸用保護具の着用等の代替措置が必要
- 行政への報告義務: 検査結果の定期報告義務はない(重大災害発生時の報告義務とは別)
有機則第20条の定期自主検査:
- 内容は特化則第30条と同様
- 頻度: 1年以内ごとに1回(同じ)
- 記録保存: 3年間(同じ)
局所排気装置以外の特化則が定める検査義務:
- 特殊健康診断: 6か月以内ごとに1回(装置検査とは別の義務)
- 作業環境測定: 6か月以内ごとに1回(装置検査とは別の義務)
【試験での位置づけ】
定期自主検査問題の最頻出は「頻度は1年以内ごとに1回(2年は誤り)」「記録保存は3年間(5年は誤り)」「検査項目(フード損傷・ダクト腐食・排風機確認・制御風速測定)」「外部委託が認められる(禁止ではない)」「性能低下時の義務は修理・改善(行政報告が先ではない)」の5点です。イのような「2年ごと・5年保存」という数値の誤りは最頻出の引っかけパターンです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 「設置後から定期検査が始まる」という点は実務的に重要です。新設工事が完了し、装置の使用を開始した時点から1年以内に最初の検査を実施する義務が生じます。「設置直後の性能確認試験(コミッショニング)」は定期自主検査とは別に、新設時に装置が設計通りの性能を発揮していることを確認するために行われます。
- イ: 「1年以内ごとに1回」と「2年以内ごとに1回」の混同は頻出の誤りです。安衛法上の定期的な検査義務のほとんどは「1年以内ごとに1回」が標準的な周期です(クレーン等の一部機械は2年・6か月等の異なる周期)。局所排気装置は1年が基本であることを正確に覚える必要があります。
- ウ: 制御風速の実測値が規定値(特化則・有機則のフード種別ごとの制御風速)に達していない場合は「装置の性能不足(ファンの能力低下・ダクト漏れ・フードの問題等)」を示す重要な所見です。制御風速の測定は風速計(アネモメーター)を用いてフード開口部で実施し、測定値を記録します。
- エ: 外部の検査専門業者への委託が認められているため、実際には装置メーカー・専門検査業者・産業安全コンサルタント等が定期自主検査を請け負う場合が多いです。ただし検査の責任は事業者にあり、委託先の実施した検査の結果に対して事業者が責任を持つ点は変わりません。
- オ: 労働基準監督署への定期的な検査結果の提出義務は局所排気装置の定期自主検査にはありませんが、労働基準監督署の臨検(立入り調査)時には検査記録の提示が求められます。検査記録(3年分)が適切に保存されていることが重要です。
【根拠】特定化学物質障害予防規則(特化則)第30条・有機溶剤中毒予防規則(有機則)第20条。定期自主検査の頻度(1年以内ごと)・記録保存(3年)・検査項目(制御風速測定等)は各規則に規定。
【補足】ウ(正): 検査項目にはフード損傷・ダクト腐食・排風機の状態・制御風速の測定が含まれる。定期自主検査は1年以内ごとに1回(2年は誤り)・記録保存3年(5年は誤り)。外部委託は認められる。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 特定化学物質障害予防規則(特化則)第30条・有機溶剤中毒予防規則(有機則)第20条。定期自主検査の頻度(1年以内ごと)・検査項目・記録保存(3年)は各規則に準拠。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。