関係法令(有害業務)13第一種特定化学物質障害予防規則(特化則)・作業環境測定法

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問13:特定化学物質障害予防規則(特化則)・作業環境測定法

作業環境測定および管理区分の判定に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 作業環境測定の結果に基づく「管理区分」の判定では、第1管理区分が最も良い状態(有害物質の濃度が管理濃度未満)であり、第3管理区分が最も悪い状態(措置が必要)とされる。
  • 有機溶剤・特定化学物質等を取り扱う屋内作業場の作業環境測定には、A測定(単位作業場所の全体を代表する測定)とB測定(発生源近傍の最高濃度を測定)の両方が必要な物質がある。
  • 特定化学物質(第2類物質)を取り扱う屋内作業場の作業環境測定は、事業者自らが実施するか、または作業環境測定機関に委託して実施しなければならないが、第2種作業環境測定士でも特定化学物質の測定が可能である。正答
  • 作業環境測定の結果が第3管理区分と判定された場合、事業者は直ちに施設・設備・作業工程・作業方法の点検を行い、その結果に基づいて必要な措置を講じなければならない。
  • 作業環境評価基準における「管理濃度」とは、作業環境の状態を管理するための基準値であり、その値以下であれば絶対的に安全であることを意味するものではない。
正答:特定化学物質(第2類物質)を取り扱う屋内作業場の作業環境測定は、事業者自らが実施するか、または作業環境測定機関に委託して実施しなければならないが、第2種作業環境測定士でも特定化学物質の測定が可能である。

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誤りはウです。第2種作業環境測定士は、特定化学物質(第2類物質等)の作業環境測定を行うことができません。特定化学物質・放射性物質等の「デザイン・サンプリングに専門的な知識を要する物質」の測定は、第1種作業環境測定士でなければなりません(作業環境測定法第3条)。第2種は比較的危険性の低い一般的な物質(一般粉じん・温熱環境等)の測定に対応します。

「第2種でも特定化学物質の測定が可能」という記述が誤りです。第1種(より高い資格)が第2種をカバーしますが、逆は不可です。

標準試験対策の基準レベル

作業環境測定士の種別と測定可能対象:

| 種別 | 取得要件 | 測定可能な主な物質 |

|---|---|---|

| 第1種 | 化学・物理・生物等の専門的国家試験 | 特定化学物質・有機溶剤・鉛・放射性物質・粉じん等(すべて) |

| 第2種 | 第1種より基礎的な国家試験 | 一般粉じん・温熱環境(気温・湿度・気流)・騒音等(限定的) |

管理区分と判定基準(作業環境評価基準):

| 管理区分 | 意味 | 求められる措置 |

|---|---|---|

| 第1管理区分 | 良好(管理濃度未満) | 現状維持 |

| 第2管理区分 | 改善の余地あり | 施設・設備等の改善努力義務 |

| 第3管理区分 | 措置が必要(管理濃度超過の可能性) | 直ちに施設・設備等の改善・原因究明が義務 |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 管理区分は第1(良)→第2(要改善)→第3(措置必要)の順であり、第1が最良です。
  • イ(正): 有機則・特化則対象の作業場では、A測定(全体平均濃度の把握)とB測定(発生源近傍の最高濃度の把握)の両方が必要な場合があります(作業環境評価基準)。
  • ウ(誤): 特定化学物質の測定は第1種作業環境測定士でなければできません。第2種測定士は特定化学物質の測定資格を持ちません。
  • エ(正): 第3管理区分判定後の事業者の措置義務(安衛法第65条の2)として、直ちに点検・改善・健康診断の実施等が義務付けられています。
  • オ(正): 管理濃度は行政的評価基準(許容範囲の上限)であり、化学物質安全の絶対基準(TLVやOEL)ではありません。管理濃度以下でも長期曝露による健康影響の可能性はゼロではありません。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

作業環境測定の目的は、有害物質の作業場内濃度を科学的に把握し、労働者の健康リスクを評価・管理することです。測定結果は「管理濃度(行政的評価基準)」との比較で「管理区分(第1〜3管理区分)」を判定し、区分に応じた改善措置の義務が発生します。管理濃度は、労働者が当該濃度以下の環境で1日8時間・週40時間働いた場合に「ほとんどの労働者に健康障害を起こさない」とされる行政上の基準値であり、ACGIH(米国産業衛生専門家会議)のTLV-TWAや日本産業衛生学会の許容濃度を参考に設定されています。

A測定とB測定の役割:

  • A測定: 単位作業場所内の複数地点で測定し、場所全体の幾何平均濃度・幾何標準偏差を把握。作業場全体の平均的な汚染状況を評価。
  • B測定: 有害物質の発生源に最も近い位置(労働者が最大に曝露される場所)で測定。ピーク濃度の把握。
  • A測定・B測定の組み合わせで管理区分を判定:特定化学物質等では両方の測定が必要であり、いずれか一方だけでは区分が正しく判定できない。

【実務・条文構造】

作業環境測定士の種別と取得方法(作業環境測定法第3条):

  • 第1種: 化学・物理・生物等の専門試験+実技(デザイン・サンプリング・分析等)
  • 第2種: 基礎的な試験(デザイン・サンプリングのみで分析は外部委託可)
  • 第2種で測定可能な対象: 騒音・温熱環境・一般粉じん等
  • 第1種でのみ測定可能な対象: 特定化学物質・有機溶剤・鉛・放射性物質等

管理区分の判定プロセス(作業環境評価基準):

1. A測定の結果から「第1評価値(幾何標準偏差を考慮した高濃度側の推計値)」と「第2評価値(幾何平均値)」を算出

2. B測定結果も合わせて管理区分を判定(詳細は表形式の判定基準による)

3. A測定のみの結果では第1・第3管理区分の判定が不確実になる場合があるため、B測定との組み合わせが重要

第3管理区分判定後の義務(安衛法第65条の2・特化則等):

  • 直ちに施設・設備・作業工程・作業方法の点検
  • 結果に基づく必要な改善措置の実施
  • 医師等による健康診断の実施(第3管理区分の作業者に対して)
  • 有効な呼吸用保護具の使用(改善措置が完了するまでの間の暫定措置)
  • 改善措置後の再測定による管理区分の確認

管理濃度の性格(安衛法第65条の2第2項):

  • 行政的評価基準であり、職業性暴露限界(OEL)や許容濃度(TLV)とは異なる
  • 管理濃度以下を達成することが「目標」ではなく「最低基準」(できる限り低い濃度への改善が理想)
  • 改正頻度: 新たな有害性情報が入手された場合に見直される(定期的に告示が改正)

【試験での位置づけ】

作業環境測定の管理区分問題では「第1が最良・第3が最悪」「A測定・B測定の両方が必要な場合がある」「第3管理区分では直ちに改善措置が必要」が頻出です。ウのような「第2種測定士が特定化学物質を測定できる」誤りは、第1種・第2種の測定可能対象の違いを知らないと引っかかる典型的な問題です。管理区分の順序(第1が最良)の逆転(「第3が最良」とする)も頻出引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 管理区分の判定は「評価基準告示(昭和63年労働省告示第79号)」に基づいて数式で算出します。第1管理区分は「第1評価値が管理濃度未満」、第3管理区分は「第1評価値が管理濃度以上」という判定が基本です。第2管理区分は第1評価値が管理濃度以上・第2評価値が管理濃度未満という中間状態です。
  • イ: B測定を行う位置は「最高濃度となると考えられる位置・作業者が最もよく作業する位置」に設定します。A測定の測定点は単位作業場所内に均等に6点以上設定するのが原則です(場所の広さに応じて数が変わります)。
  • ウ: 第2種作業環境測定士は、測定の「デザイン(計画)」と「サンプリング(試料採取)」は行えますが、分析は外部の分析機関に委託する形が多く、また対応できる測定対象も限定的です。特定化学物質のように複雑な分析(GC・HPLC等の機器分析)が必要な物質には第1種が必要です。
  • エ: 第3管理区分の判定後に「直ちに」措置を講じなければならない点が重要です。「改善計画を立てる」だけでは不十分であり、計画立案と並行して、まず呼吸用保護具の使用による暫定的な労働者保護を実施することが求められます。
  • オ: 管理濃度は「その濃度以下なら絶対安全」を意味しない、という点は重要な概念です。特に感受性の高い労働者(既往症・アレルギー体質・妊娠中等)には管理濃度以下でも影響が生じる可能性があります。化学物質管理の目標は「できる限り低い濃度(ALARA原則)」であり、管理濃度はあくまで最低基準です。

【根拠法令】作業環境測定法 第3条(作業環境測定士の種別:第1種・第2種・対象物質の違い)、安衛法第65条(作業環境測定)・第65条の2(評価と措置)、作業環境評価基準(管理区分の判定:第1〜第3管理区分)

【補足】第2種測定士は特定化学物質の測定不可(第1種が必要)。管理区分は第1が最良・第3が最悪(逆ではない)。第3管理区分では直ちに施設・設備等の改善義務あり。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 作業環境測定法第3条(作業環境測定士の種別:第1種・第2種の区別)・第8条・安衛法第65条・第65条の2、作業環境評価基準第2条(管理区分の判定方法)、特化則第36条。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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