関係法令(有害業務)14第一種有機溶剤中毒予防規則(有機則)

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問14:有機溶剤中毒予防規則(有機則)

有機溶剤中毒予防規則(有機則)における有機溶剤等の貯蔵・取扱い・容器管理に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 有機溶剤等を貯蔵する容器は、密閉できる構造のものでなければならないが、作業中に短時間で消費される場合には、開口した容器を使用しても差し支えない。
  • 有機溶剤等を入れた容器が転落するおそれのある場所では、当該容器を堅固な構造の収納設備に収納するか、容器の転落を防止するための必要な措置を講じなければならない。正答
  • 有機溶剤等を入れたことのある空の容器(空容器)は、内部の有機溶剤の液体がなくなれば蒸気も残留しないため、通常の廃棄物として取り扱ってよい。
  • 第2種有機溶剤等の区分を示す表示は「青色」で行わなければならず、容器の側面または底面に行えばよく、ふた(蓋)の色は特に規定されていない。
  • 有機溶剤等の取扱い作業において発生した廃液は、有機溶剤の蒸気が揮発しないよう密閉した容器で保管し、廃棄物処理業者に委託して適切に処理しなければならない。
正答:有機溶剤等を入れた容器が転落するおそれのある場所では、当該容器を堅固な構造の収納設備に収納するか、容器の転落を防止するための必要な措置を講じなければならない。

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正しいのはイです。有機溶剤等の入った容器が転落するおそれのある場所では、堅固な収納設備への収納または転落防止措置が必要です(有機則第34条)。容器が転落した際に破損・漏洩して火災・爆発・中毒事故につながることを防止するための規定です。

各誤りの要点: ア→「作業中に短時間で消費される場合」でも、有機溶剤等の容器は密閉できる構造のものを使用する義務があります。開口容器の使用は蒸気の発散を招き危険です。ウ→空容器には有機溶剤の蒸気が残留するため、密閉して保管し、専用の廃棄処理が必要です。「通常の廃棄物」として扱うことはできません。エ→第2種有機溶剤等の区分表示は「黄色」であり「青色」ではありません(第1種=赤・第2種=黄・第3種=青)。区分の色を取り違えている点が誤りです。オ→有機溶剤廃液は廃棄物処理法上の「特別管理産業廃棄物(廃油等)」に該当することが多く、許可業者への委託や保管・処理方法も特別管理廃棄物の基準に従う必要があり、記述の一部が不正確です。

標準試験対策の基準レベル

有機溶剤の容器管理の主なルール(有機則第34条〜第36条):

| 規制事項 | 内容 |

|---|---|

| 容器の密閉(第34条) | 有機溶剤等の容器は密閉できる構造のものを使用。作業中でも例外なし。 |

| 転落防止(第34条の2) | 転落のおそれがある場所では堅固な収納設備または転落防止措置が必要 |

| 空容器の管理(第36条) | 空容器(蒸気が残留)は密閉保管・専用処理が必要。蒸気残留に注意。 |

| 色別表示(第25条) | 第1種=赤色・第2種=黄色・第3種=青色(容器の見やすい箇所に表示) |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 有機則第34条は、有機溶剤等の容器を「密閉できる構造のもの」とすることを義務付けており、短時間消費の例外規定はありません。作業中の開口は蒸気の大量発散を招くため、作業中も密閉が原則です。
  • イ(正): 有機則第34条の2(または相当条文)の通り、容器の転落防止措置は義務化されており、漏洩による火災・爆発・中毒事故を防止することを目的としています。
  • ウ(誤): 有機溶剤等の空容器は、内容液がなくなった後も大量の有機溶剤蒸気が残留します(有機溶剤の蒸気圧が高いため)。空容器を点火源の近くに置いたり、通常廃棄物として捨てたりすることは火災・中毒の重大なリスクとなります(有機則第36条)。
  • エ(誤): 有機則第25条の区分表示の色は「第1種=赤色・第2種=黄色・第3種=青色」です。第2種有機溶剤等の表示は黄色で行わなければならず、「青色」とした点が誤りです(色の取り違え)。また区分表示は容器の見やすい箇所に行うことが求められます。
  • オ(誤): 有機溶剤廃液は廃棄物処理法上の「特別管理産業廃棄物(廃油等)」に該当することが多く、許可業者への委託に加え、保管・処理方法も特別管理廃棄物の基準(密閉・漏洩防止・火気遮断)に従わなければなりません。本選択肢は「密閉容器で保管し廃棄業者に委託すれば足りる」かのように記述しており、特別管理産業廃棄物としての規制を踏まえていない点で不正確です。
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【理論的背景】

有機溶剤の容器・貯蔵管理は、火災・爆発リスクと中毒・健康リスクの両方を管理するために重要です。多くの有機溶剤は「引火性液体(危険物第4類)」であり、消防法・危険物取扱い規制と有機則の両方に従う必要があります。空容器の蒸気残留は特に危険であり、空容器での切断・溶接作業による爆発事故が実際に発生しています。

空容器の蒸気残留の仕組み:

有機溶剤は蒸気圧が高く(トルエンの蒸気圧: 20℃で約3.8kPa、沸点110.6℃)、容器内の液体が蒸発しても飽和蒸気圧に相当する濃度の蒸気が気相に残留します。例えばガソリン(炭化水素混合物)の蒸気圧は夏季に爆発限界(1.4〜7.6vol%)を超える濃度を容器内に蓄積し、点火源があれば爆発します。空容器は液体容器より「管理が緩くなる心理的傾向」があるため、事故リスクが高くなります。

【実務・条文構造】

有機溶剤等の容器・貯蔵管理(有機則第34条〜第36条):

容器の密閉(有機則第34条):

  • 有機溶剤等を入れる容器は密閉できる構造
  • 例外なし(作業中でも密閉が原則・必要な場合のみ開口)

転落・漏洩防止(有機則相当条文):

  • 転落のおそれがある場所: 堅固な収納設備または転落防止措置(柵・固定具等)
  • 目的: 転落→容器破損→大量漏洩→火災・爆発・蒸気中毒の連鎖防止

空容器の管理(有機則第36条):

  • 有機溶剤等が入っていた空容器で、有機溶剤等の蒸気が発散するおそれのあるもの: 密閉した保管場所に置くこと(または蓋・栓をして密閉)
  • 廃棄の際は適切な前処理(蒸気の除去・洗浄等)が必要

色別表示(有機則第25条):

  • 第1種(赤色)・第2種(黄色)・第3種(青色)を容器の見やすい箇所に表示
  • 表示内容: 「有機溶剤等」の文字と区分の種類(第1種・第2種・第3種)

有機溶剤廃液の処理(廃棄物処理法・有機則との関係):

  • 有機溶剤廃液は「廃油(特別管理産業廃棄物)」に該当することが多い
  • 保管基準: 密閉容器での保管・漏洩防止・火気遮断
  • 処理: 特別管理産業廃棄物収集運搬許可業者・処分許可業者への委託が義務
  • 委託契約書・マニフェスト(廃棄物管理票)の作成・保存が義務(廃棄物処理法第12条の3)

【試験での位置づけ】

有機則の容器管理問題では「空容器にも蒸気が残留する(通常廃棄物として扱えない)」「密閉できる容器の使用義務(作業中も例外なし)」「色別表示(第1種=赤色・第2種=黄色・第3種=青色)」が頻出です。ウのような「空容器は蒸気が残留しないから通常廃棄物でよい」という誤りは、有機溶剤の蒸気圧の特性を正しく理解していないと引っかかる問題です。エのような「第2種を青色とする」色の取り違えも頻出の引っかけであり、第1種=赤・第2種=黄・第3種=青を確実に暗記してください。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 実際の作業では「容器のふたを開けて使用し、すぐに閉める」という習慣が重要です。「使いやすさ」のために容器を開けたまま作業台に置く習慣は、蒸気の大量発散・火災リスクの増大につながります。局所排気装置や全体換気が十分な作業場でも、容器の密閉は蒸気発散量を最小化するための基本的な管理措置です。
  • イ: 転落防止措置の具体例として「専用の収納棚(アングルシェルフ等)への固定」「容器の転倒防止チェーン」「ラック全体への防護柵設置」等があります。特にドラム缶(200リットル)等の大型容器の転落は大量漏洩につながるため、転落防止の重要性は高くなります。
  • ウ: 空容器が原因の事故の典型例は「グラインダーや溶接機を空ドラム缶の近くで使用した際の爆発」です。容器内の残存蒸気が点火源で着火・爆発することがあります。空容器の廃棄前には、内部の洗浄・蒸気除去(スチームクリーニング等)を行うことが安全上の標準手順です。
  • エ: 色別表示は容器の識別において視覚的に非常に重要な役割を果たします。作業場に複数の有機溶剤が持ち込まれる場合、色別で種別を即座に識別できることが誤使用・誤混合の防止に役立ちます。工場内でも「赤色容器は最も危険な第1種」という認識が作業者に広まることが安全文化の形成につながります(第1種=赤・第2種=黄・第3種=青)。
  • オ: 廃油(有機溶剤廃液)のマニフェスト管理は、産業廃棄物が適切に処理されているかを排出事業者が確認するための仕組みです。廃棄業者からのマニフェストの返送(処理完了証明)を受け取り、5年間保存することが義務付けられています(廃棄物処理法第12条の3)。マニフェストのない廃棄物処理委託は、不法投棄等の不適正処理リスクを事業者が負うことになります。

【根拠法令】有機溶剤中毒予防規則 第25条(色別表示:第1種=赤・第2種=黄・第3種=青)・第34条(密閉できる容器の使用義務)・第34条の2相当(転落防止措置)・第36条(空容器の密閉保管義務)、廃棄物処理法第12条の3(マニフェスト制度)

【補足】空容器にも有機溶剤の蒸気が残留する(通常廃棄物として扱えない・密閉保管が必要)。容器の密閉は作業中も例外なく義務。転落防止措置は義務。色別表示(第1種=赤・第2種=黄・第3種=青)を確実に暗記。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 有機溶剤中毒予防規則(有機則)第36条(空容器の管理)・第34条(転落防止措置)・第25条(容器の色別表示)、廃棄物処理法。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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