衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問14|有機則・有機溶剤の容器・貯蔵・空容器の管理

問題

衛生管理者 | 関係法令(有害業務) | 第一種

有機溶剤中毒予防規則(有機則)における有機溶剤等の貯蔵・取扱い・容器管理に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはイです。有機溶剤等を屋内に貯蔵するときは、こぼれ・漏えい・しみ出し・発散のおそれがない蓋または栓をした堅固な容器を用い、あわせて貯蔵場所に「関係者以外の立入りを防ぐ設備」と「有機溶剤の蒸気を屋外に排出する設備」の2つを設けなければなりません(有機則第35条)。容器だけでなく貯蔵場所の設備2点までがセットで義務である点が問われます。

各誤りの要点: ア→「作業中に短時間で消費される場合」でも、有機溶剤等の容器は密閉できる構造のものを使用する義務があります。開口容器の使用は蒸気の発散を招き危険です。ウ→空容器には有機溶剤の蒸気が残留するため、密閉するか屋外の一定の場所に集積しておく必要があります(有機則第36条)。「通常の廃棄物」として扱うことはできません。エ→第2種有機溶剤等の区分表示は「黄色」であり「青色」ではありません(第1種=赤・第2種=黄・第3種=青)。区分の色を取り違えている点が誤りです。オ→有機溶剤廃液は廃棄物処理法上の「特別管理産業廃棄物(廃油等)」に該当することが多く、許可業者への委託や保管・処理方法も特別管理廃棄物の基準に従う必要があり、記述の一部が不正確です。

有機溶剤の容器管理の主なルール(有機則第25条・第35条・第36条):

規制事項内容
容器の要件(第35条)屋内貯蔵では、こぼれ・漏えい・しみ出し・発散のおそれがない蓋または栓をした堅固な容器を使う。短時間消費などの例外規定はない。
屋内貯蔵(第35条)こぼれ・漏えい・しみ出し・発散のおそれがない蓋または栓をした堅固な容器+立入防止設備+蒸気の屋外排出設備
空容器の管理(第36条)空容器(蒸気が残留)は密閉保管・専用処理が必要。蒸気残留に注意。
色別表示(第25条)第1種=赤色・第2種=黄色・第3種=青色(容器の見やすい箇所に表示)

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 有機則第35条は屋内貯蔵の容器を「こぼれ、漏えいし、しみ出し、又は発散するおそれのない蓋又は栓をした堅固な容器」と定めており、短時間消費の例外規定はありません。作業中の開口は蒸気の大量発散を招きます。
  • イ(正): 有機則第35条の通り。堅固な容器だけでなく、貯蔵場所の立入防止設備と蒸気の屋外排出設備までが義務です。漏えい・発散による中毒と、関係者以外の被ばくを同時に防ぐ設計になっています。
  • ウ(誤): 有機溶剤等の空容器は、内容液がなくなった後も大量の有機溶剤蒸気が残留します(有機溶剤の蒸気圧が高いため)。空容器を点火源の近くに置いたり、通常廃棄物として捨てたりすることは火災・中毒の重大なリスクとなります(有機則第36条)。
  • エ(誤): 有機則第25条の区分表示の色は「第1種=赤色・第2種=黄色・第3種=青色」です。第2種有機溶剤等の表示は黄色で行わなければならず、「青色」とした点が誤りです(色の取り違え)。また区分表示は容器の見やすい箇所に行うことが求められます。
  • オ(誤): 有機溶剤廃液は廃棄物処理法上の「特別管理産業廃棄物(廃油等)」に該当することが多く、許可業者への委託に加え、保管・処理方法も特別管理廃棄物の基準(密閉・漏洩防止・火気遮断)に従わなければなりません。本選択肢は「密閉容器で保管し廃棄業者に委託すれば足りる」かのように記述しており、特別管理産業廃棄物としての規制を踏まえていない点で不正確です。

【理論的背景】

有機溶剤の容器・貯蔵管理は、火災・爆発リスクと中毒・健康リスクの両方を管理するために重要です。多くの有機溶剤は「引火性液体(危険物第4類)」であり、消防法・危険物取扱い規制と有機則の両方に従う必要があります。空容器の蒸気残留は特に危険であり、空容器での切断・溶接作業による爆発事故が実際に発生しています。

空容器の蒸気残留の仕組み:

有機溶剤は蒸気圧が高く(トルエンの蒸気圧: 20℃で約3.8kPa、沸点110.6℃)、容器内の液体が蒸発しても飽和蒸気圧に相当する濃度の蒸気が気相に残留します。例えばガソリン(炭化水素混合物)の蒸気圧は夏季に爆発限界(1.4〜7.6vol%)を超える濃度を容器内に蓄積し、点火源があれば爆発します。空容器は液体容器より「管理が緩くなる心理的傾向」があるため、事故リスクが高くなります。

【実務・条文構造】

有機溶剤等の容器・貯蔵管理(有機則第25条・第35条・第36条):

容器の要件(有機則第35条):

  • こぼれ・漏えい・しみ出し・発散のおそれがない蓋または栓をした堅固な容器
  • 短時間消費などの例外規定はない

屋内貯蔵の要件(有機則第35条):

  • 容器: こぼれ・漏えい・しみ出し・発散のおそれがない蓋または栓をした堅固なもの
  • 貯蔵場所の設備1: 当該屋内の作業従事者のうち貯蔵に関係する者以外の立入りを防ぐ設備
  • 貯蔵場所の設備2: 有機溶剤の蒸気を屋外に排出する設備
  • 目的: 漏えい・発散による中毒と、関係者以外への被ばくの同時防止

空容器の管理(有機則第36条):

  • 有機溶剤等が入っていた空容器で、有機溶剤等の蒸気が発散するおそれのあるもの: 密閉した保管場所に置くこと(または蓋・栓をして密閉)
  • 廃棄の際は適切な前処理(蒸気の除去・洗浄等)が必要

色別表示(有機則第25条):

  • 第1種(赤色)・第2種(黄色)・第3種(青色)を容器の見やすい箇所に表示
  • 表示内容: 「有機溶剤等」の文字と区分の種類(第1種・第2種・第3種)

有機溶剤廃液の処理(廃棄物処理法・有機則との関係):

  • 有機溶剤廃液は「廃油(特別管理産業廃棄物)」に該当することが多い
  • 保管基準: 密閉容器での保管・漏洩防止・火気遮断
  • 処理: 特別管理産業廃棄物収集運搬許可業者・処分許可業者への委託が義務
  • 委託契約書・マニフェスト(廃棄物管理票)の作成・保存が義務(廃棄物処理法第12条の3)

【試験での位置づけ】

有機則の容器管理問題では「空容器にも蒸気が残留する(通常廃棄物として扱えない)」「密閉できる容器の使用義務(作業中も例外なし)」「色別表示(第1種=赤色・第2種=黄色・第3種=青色)」が頻出です。ウのような「空容器は蒸気が残留しないから通常廃棄物でよい」という誤りは、有機溶剤の蒸気圧の特性を正しく理解していないと引っかかる問題です。エのような「第2種を青色とする」色の取り違えも頻出の引っかけであり、第1種=赤・第2種=黄・第3種=青を確実に暗記してください。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 実際の作業では「容器のふたを開けて使用し、すぐに閉める」という習慣が重要です。「使いやすさ」のために容器を開けたまま作業台に置く習慣は、蒸気の大量発散・火災リスクの増大につながります。局所排気装置や全体換気が十分な作業場でも、容器の密閉は蒸気発散量を最小化するための基本的な管理措置です。
  • イ: 第35条の「立入りを防ぐ設備」は施錠付きの専用倉庫・薬品庫や、区画と標識による立入制限が実務上の具体例です。「蒸気を屋外に排出する設備」は貯蔵庫の局所排気・全体換気がこれにあたります。なお有機則には容器の「転落防止」を直接定めた条はなく、転倒・転落対策は安衛法の一般的な安全配慮として行われます(条文を問われたら第35条の3要件で答える)。
  • ウ: 空容器が原因の事故の典型例は「グラインダーや溶接機を空ドラム缶の近くで使用した際の爆発」です。容器内の残存蒸気が点火源で着火・爆発することがあります。空容器の廃棄前には、内部の洗浄・蒸気除去(スチームクリーニング等)を行うことが安全上の標準手順です。
  • エ: 色別表示は容器の識別において視覚的に非常に重要な役割を果たします。作業場に複数の有機溶剤が持ち込まれる場合、色別で種別を即座に識別できることが誤使用・誤混合の防止に役立ちます。工場内でも「赤色容器は最も危険な第1種」という認識が作業者に広まることが安全文化の形成につながります(第1種=赤・第2種=黄・第3種=青)。
  • オ: 廃油(有機溶剤廃液)のマニフェスト管理は、産業廃棄物が適切に処理されているかを排出事業者が確認するための仕組みです。廃棄業者からのマニフェストの返送(処理完了証明)を受け取り、5年間保存することが義務付けられています(廃棄物処理法第12条の3)。マニフェストのない廃棄物処理委託は、不法投棄等の不適正処理リスクを事業者が負うことになります。

【根拠法令】有機溶剤中毒予防規則 第25条(色別表示:第1種=赤・第2種=黄・第3種=青)・第35条(屋内貯蔵=堅固な容器+立入防止設備+蒸気の屋外排出設備)・第36条(空容器の処理=密閉または屋外集積)、廃棄物処理法第12条の3(マニフェスト制度)

【補足】空容器にも有機溶剤の蒸気が残留する(通常廃棄物として扱えない)。第36条は「密閉するか、または屋外の一定の場所に集積する」の選択である点に注意。色別表示(第1種=赤・第2種=黄・第3種=青)を確実に暗記。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 有機溶剤中毒予防規則(有機則)第35条(有機溶剤等の貯蔵)・第36条(空容器の処理)・第25条(容器の色別表示)、廃棄物処理法。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。