問題
化学物質の表示・安全データシート(SDS)制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
誤りはオです。SDS(安衛法第57条の2の文書)は、通知対象物を譲渡し、又は提供する者が、その相手方に通知するものです。購入した事業者に、自社の労働者へSDSを交付する義務を課すものではありません。
購入した事業者には、通知された事項を作業場の見やすい場所に常時掲示し、又は備え付けるなどの方法で、労働者に周知させる義務があります(安衛法第101条第4項)。これは交付義務とは別のものです。
表示・SDS・リスクアセスメントの関係(安衛法第57条〜第57条の3):
| 規制 | 根拠 | 義務を負う者 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 表示 | 第57条 | 譲渡・提供する者 | 容器・包装に名称・人体に及ぼす作用・貯蔵又は取扱い上の注意等と標章を表示 |
| 文書の交付等(SDS) | 第57条の2 | 譲渡・提供する者 | 相手方に名称・成分及びその含有量・物理的及び化学的性質等を通知 |
| リスクアセスメント | 第57条の3 | 事業者 | 危険性又は有害性等の調査(義務)と、結果に基づく措置(努力義務) |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 安衛法第57条第1項は、表示事項を「イ名称ロ人体に及ぼす作用ハ貯蔵又は取扱い上の注意ニ…厚生労働省令で定める事項」と標章と定めています。省令事項は、表示をする者の氏名・住所・電話番号、注意喚起語、安定性及び反応性です(安衛則第33条)。
- イ(正): 安衛法第57条の2第1項の通知事項(名称、成分及びその含有量、物理的及び化学的性質、人体に及ぼす作用、貯蔵又は取扱い上の注意、事故時の応急の措置など)のとおりです。
- ウ(正): 安衛法第57条の3第1項で調査が義務、第2項で結果に基づく措置が努力義務とされています。
- エ(正): 安衛令第18条第3号は、表示対象物を含有する製剤その他の物から「含有量が厚生労働大臣の定める基準未満であるもの」を除いています。
- オ(誤): 交付(通知)の義務を負うのは譲渡・提供する者で、通知先は相手方です(安衛法第57条の2第1項)。
【理論的背景】
安衛法は、化学物質の危険性・有害性の情報を、譲渡・提供の段階で川下に伝える仕組みとして、容器・包装への「表示」(第57条)と、相手方への「文書の交付等」(第57条の2、いわゆるSDS)を定めています。情報を受け取った事業者は、通知された事項を労働者に周知させ(第101条第4項)、表示対象物・通知対象物について危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)を行い(第57条の3第1項)、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めます(同条第2項)。
表示対象物は安衛令第18条で、別表第9に掲げる物と、国が行うGHS分類(JIS Z 7252の方法による分類)で令和3年3月31日までに危険性又は有害性があると区分された物のうち厚生労働省令で定めるもの、及びこれらを含有する製剤(含有量が厚生労働大臣の定める基準未満のものを除く)などとされています。
【実務・条文構造】
表示(安衛法第57条第1項・安衛則第33条):
- 名称、人体に及ぼす作用、貯蔵又は取扱い上の注意
- 表示をする者の氏名(法人は名称)・住所・電話番号、注意喚起語、安定性及び反応性
- 注意を喚起するための標章(厚生労働大臣が定めるもの)
- 主として一般消費者の生活の用に供するための容器・包装は除かれる
文書の交付等(安衛法第57条の2):
- 通知事項: 名称、成分及びその含有量、物理的及び化学的性質、人体に及ぼす作用、貯蔵又は取扱い上の注意、流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置、厚生労働省令で定める事項
- 方法: 文書の交付のほか、記録媒体の交付・ファクシミリ・電子メール、ホームページのアドレスの伝達等(安衛則第34条の2の3)
- 通知した事項に変更が必要になったときは、速やかに相手方に通知するよう努める(同条第2項)
通知された事項の周知(安衛法第101条第4項):
- 取り扱う各作業場の見やすい場所に常時掲示し、又は備え付けるなどの方法で、労働者に周知させる
リスクアセスメント(安衛法第57条の3・安衛則第34条の2の7・第34条の2の8):
- 実施時期: 原材料等として新規に採用・変更するとき、作業の方法・手順を新規に採用・変更するときなど
- 記録: 作成し、次にリスクアセスメントを行うまでの期間(3年以内に再実施したときは3年間)保存
【試験での位置づけ】
「表示・通知の義務を負うのは譲渡・提供する者」「表示事項と通知事項の違い(成分及びその含有量は通知事項)」「リスクアセスメントは調査が義務・措置は努力義務」「受け取った事業者は労働者に周知」がよく問われます。オは、SDSの義務の向き(譲渡・提供する者から相手方へ)を取り違えさせる典型的な引っかけです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 容器に入れ、かつ、包装して譲渡・提供するときは、容器に表示します(安衛法第57条第1項)。
- イ: 成分の情報が営業秘密に当たる場合は、相手方にあらかじめ明示したうえで、代替化学名等を通知することができる場合があります(安衛法第57条の2第3項)。
- ウ: 措置は「この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか」行うもので、特化則など個別の規則による義務はそのまま残ります(安衛法第57条の3第2項)。
- エ: 含有量の基準は厚生労働大臣が定めるもので、物質ごとに異なります(安衛令第18条第3号)。
- オ: 周知の方法には、作業場への常時掲示・備付けのほか、厚生労働省令で定める方法があります(安衛法第101条第4項)。
【根拠法令】労働安全衛生法 第57条・第57条の2・第57条の3・第101条第4項、労働安全衛生法施行令 第18条、労働安全衛生規則 第33条・第34条の2の3・第34条の2の7・第34条の2の8
【補足】表示・文書の交付等(SDS)の義務を負うのは譲渡・提供する者。受け取った事業者は通知事項を労働者に周知(交付義務ではない)。リスクアセスメントは調査が義務、措置は努力義務。
- 労働安全衛生法第57条・第57条の3・第57条の2・第101条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第33条・第34条の2e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法施行令第18条e-Govで原文を読む
- 特定化学物質障害予防規則e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第57条(表示)・第57条の2(文書の交付等:SDS)・第57条の3(リスクアセスメント)・第101条第4項(通知された事項の労働者への周知)、労働安全衛生法施行令第18条(表示対象物)、労働安全衛生規則第33条(表示事項)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

