関係法令(有害業務)36第一種粉じん障害防止規則(粉じん則)・安衛令

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問36:粉じん障害防止規則(粉じん則)・安衛令

粉じん障害防止規則(粉じん則)および関係法令に定める粉じん作業に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 粉じん則において「粉じん作業」は安衛令別表第9に列挙された作業であり、その中でも「特定粉じん作業」に該当するものについてのみ、粉じん作業主任者(特定粉じん作業主任者)の選任が義務付けられている。
  • 特定粉じん作業の一つとして、「岩石または鉱物を動力を用いて破砕し、粉砕し、またはふるい分ける場所における作業」が挙げられる。
  • 一般の粉じん作業(特定粉じん作業以外)に常時従事する労働者についても、粉じん作業主任者の指揮のもとに作業しなければならない。正答
  • 特定粉じん作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業への従事前に特別教育を実施しなければならず、この特別教育の記録は3年間保存しなければならない。
  • 事業者は、常時特定粉じん作業に従事する労働者に対して定期的に特殊健康診断(じん肺健康診断)を実施する義務があり、その頻度はじん肺管理区分に応じて異なる。
正答:一般の粉じん作業(特定粉じん作業以外)に常時従事する労働者についても、粉じん作業主任者の指揮のもとに作業しなければならない。

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誤りはウです。粉じん作業主任者(特定粉じん作業主任者)の選任義務があるのは「特定粉じん作業」を行う場合のみです。一般の粉じん作業(特定粉じん作業以外)には作業主任者の選任義務はありません。したがって「一般の粉じん作業に従事する労働者が粉じん作業主任者の指揮のもとに作業しなければならない」という記述は誤りです。

特定粉じん作業は岩石・鉱物の破砕・粉砕・ふるい分け、坑内掘削等の高粉じん発生作業が対象です。一般粉じん作業では別の粉じん管理措置(局所排気装置・呼吸用保護具等)は求められますが、作業主任者は不要です。

標準試験対策の基準レベル

粉じん作業の区分と作業主任者の選任義務:

| 区分 | 内容 | 作業主任者の選任義務 | 特別教育 |

|---|---|---|---|

| 特定粉じん作業 | 安衛令別表第9の中で特に粉じん発生量・健康影響が高い作業(岩石破砕・坑内掘削等) | 義務あり(特定粉じん作業主任者技能講習修了者) | 義務あり |

| 一般粉じん作業(特定以外) | 安衛令別表第9に列挙されているが特定粉じん以外の粉じん作業 | 義務なし | 特別教育の義務は特定粉じん作業のみ |

特定粉じん作業の主な例(粉じん則別表第1):

  • 岩石または鉱物を動力を用いて破砕・粉砕・ふるい分けする場所における作業
  • 坑内における鉱物等の掘削または岩石の削岩作業
  • ガラスまたは陶磁器製品の原料を動力を用いて混合・換気・乾燥する場所における作業
  • 研磨材の動力吹付け・ブラスト作業

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 粉じん則第24条に基づき、特定粉じん作業についてのみ粉じん作業主任者の選任義務があります。全粉じん作業に作業主任者が必要なわけではありません。
  • イ(正): 「岩石または鉱物を動力を用いて破砕し、粉砕し、またはふるい分ける場所における作業」は特定粉じん作業(粉じん則別表第1)に含まれます。
  • ウ(誤): 一般の粉じん作業には作業主任者の選任義務がなく、「粉じん作業主任者の指揮のもとに作業する義務」もありません。
  • エ(正): 特定粉じん作業に従事する労働者への特別教育は義務(安衛則第36条第9号)であり、記録は3年間保存が必要です。
  • オ(正): じん肺健康診断の頻度はじん肺管理区分によって異なります(管理1・2・3イ:3年以内ごと・管理3ロ:1年以内ごと)。
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【理論的背景】

「粉じん作業」と「特定粉じん作業」の二層構造は、粉じんが原因となるじん肺(特に珪肺)の発症リスクの高さに応じて規制強度を分けた設計です。すべての粉じん発生作業に最高水準の規制を一律に適用することは産業実態との整合性が乏しく、かつ費用対効果が低いため、特にリスクが高い作業(高粉じん濃度・結晶性シリカ含有率が高い粉じんが発生する作業等)を「特定粉じん作業」として切り出し、作業主任者の選任・特別教育等の強い規制を適用しています。

じん肺(珪肺・石綿肺等)の病態:

  • 珪肺: 遊離けい酸(結晶性シリカ・クォーツ)を含む微細粉じん(吸入性粉じん・粒径10μm以下)が肺胞深部に沈着し、マクロファージが処理しようとするが処理できず、肺組織の線維化(珪肺結節の形成)が起きます
  • 線維化は不可逆的(自然治癒しない)で進行性(曝露停止後も進行する場合がある)
  • 合併症として結核・肺がん・慢性閉塞性肺疾患(COPD)がリスク増大します

なぜ「特定粉じん作業」が特に規制が強いか:

  • 岩石・鉱物の破砕・粉砕では遊離けい酸を多量に含む粒子が大量発生
  • 坑内掘削・削岩では密閉・換気困難な空間での高濃度曝露
  • これらの作業は珪肺の主要な職業的原因であり、歴史的に重大な職業病問題となってきた(鉱山労働者・石工の珪肺問題)

【実務・条文構造】

特定粉じん作業主任者の選任(安衛法第14条・安衛令第6条・粉じん則第24条):

  • 選任資格: 「特定粉じん作業主任者技能講習」修了者(特定化学物質・有機溶剤等の各主任者技能講習とは別個の講習)
  • 選任義務の発生条件: 「特定粉じん作業」を行う場合(一般粉じん作業のみの場合は不要)
  • 作業主任者の職務(粉じん則第24条): 作業の指揮・防じんマスク等の保護具の使用状況確認・粉じん発生源の設備(局所排気装置等)の点検

特定粉じん作業への特別教育(安衛則第36条第9号):

  • 対象: 特定粉じん作業に従事する全労働者(作業主任者を除く)
  • 教育内容: 粉じんの発生機序・健康影響・じん肺の知識・保護具の使用法・測定機器の扱い方
  • 記録保存: 3年間

粉じん則の設備的規制(作業主任者選任の有無にかかわらず適用):

  • 局所排気装置または全体換気装置の設置(特定・一般ともに義務・設備の種類は作業に応じた選択)
  • 作業環境測定: 特定粉じん発生源のある屋内作業場は6か月以内ごとに1回(測定記録は7年保存)
  • 湿潤化措置: 散水・粉じんへの水分添加による浮遊粉じんの低減
  • 防じんマスクの支給・使用義務

じん肺健康診断との関係(じん肺法・粉じん則の連携):

  • 粉じん作業従事者は「じん肺健康診断」(雇入れ時・定期・配置替え時・離職時)の対象
  • 「特定粉じん作業」に従事する者は「じん肺管理区分」が詳細に管理され、区分に応じた就業制限・業務転換・療養措置が適用
  • 作業環境測定(粉じん則)とじん肺管理(じん肺法)は車の両輪として機能

【試験での位置づけ】

粉じん則・じん肺問題では「作業主任者は特定粉じん作業のみ(一般粉じん作業は不要)」「特別教育は特定粉じん作業従事者に義務」「作業環境測定記録=7年保存(特化則の30年・5年とは異なる)」「じん肺健診の頻度は管理区分で異なる」の4点が頻出です。ウのような「一般粉じん作業にも主任者の指揮義務がある」という誤りは、特定粉じん作業と一般粉じん作業の二層構造を理解していないと判断できません。また「粉じん作業主任者がいない作業には粉じん管理が不要」ではなく、局所排気装置・防じんマスク等の設備的・個人防護的措置は一般粉じん作業にも適用されます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 特定粉じん作業の列挙(粉じん則別表第1)は試験で具体的な作業名を問う問題にも使われます。「岩石・鉱物の破砕・粉砕・ふるい分け」「坑内掘削・削岩」「ガラス・陶磁器原料の混合・換気・乾燥」「研磨材の吹付けブラスト」が代表的な特定粉じん作業です。一方、「木材の加工」「繊維製品の製造」等は一般粉じん作業として粉じん管理の対象ではあっても特定粉じん作業ではない場合があります。
  • イ: 「動力を用いて」という要件が重要です。手作業による岩石の破砕(ハンマー等)よりも、動力機械(グラインダー・クラッシャー等)の方が圧倒的に多くの粉じんが発生するため、「動力使用」が特定粉じん作業の要件として設定されています。ただし実務上は手作業でも相当量の粉じんが発生する作業があり、防じんマスク着用等の個人防護は動力の有無にかかわらず必要です。
  • ウ: 一般粉じん作業に作業主任者が不要であっても、事業者の粉じん管理義務(局所排気装置・換気・防じんマスク等)は免除されません。「作業主任者がいない=法的義務がない」という誤解が事故を招く危険があります。一般粉じん作業でも健康障害防止の一般規定(安衛法第22条)に基づく適切な措置が求められます。
  • エ: 特別教育の記録(実施日・内容・参加者の氏名等)の3年保存は、労働安全衛生規則第38条に共通して規定されています。酸欠則(特別教育3年)・粉じん則(特別教育3年)・有機則等、各種特別教育の記録保存はすべて3年間です(特殊健康診断記録の5年・特別管理物質の30年とは異なります)。
  • オ: じん肺健康診断の頻度区分(管理区分別)は、管理状態が悪化するほど頻度が増す設計です(管理1〜3イ:3年以内ごと→管理3ロ:1年以内ごと→管理4:療養中)。これは「病状の進行を早期に把握して適切な就業措置・療養につなげる」という医学的合理性に基づいています。定期じん肺健康診断の不実施は法令違反であり、じん肺の発見遅れによる損害賠償請求(民事訴訟)でも問題になります。

【根拠法令】粉じん障害防止規則 第2条(粉じん作業・特定粉じん作業の定義)・第24条(特定粉じん作業主任者の選任:特定粉じん作業のみ・一般粉じん作業は不要)・第25条の2(作業環境測定:6か月以内ごとに1回・記録7年保存)、労働安全衛生規則 第36条第9号(特定粉じん作業への特別教育・記録3年保存)、じん肺法 第7条〜第9条(定期じん肺健康診断・管理区分に応じた頻度)

【補足】作業主任者選任義務=特定粉じん作業のみ(一般粉じん作業は不要)。特別教育=特定粉じん作業従事者に義務・記録3年保存。作業環境測定記録=7年保存。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 粉じん障害防止規則(粉じん則)第2条(特定粉じん作業の定義・別表第1)・第24条(特定粉じん作業主任者の選任義務:特定粉じん作業のみ)、安衛令第6条第18号(特定粉じん作業主任者技能講習)、じん肺法第7条(定期じん肺健康診断・管理区分に応じた頻度)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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粉じん則・特定粉じん作業の種類と作業主任者選任の要否頻出度A

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