衛生管理者 関係法令(有害業務) 問37:有機溶剤中毒予防規則(有機則)
有機溶剤中毒予防規則(有機則)における有機溶剤等の区分・表示および容器に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア有機則において、有機溶剤等は第1種・第2種・第3種に区分されており、第1種有機溶剤は最も毒性が低く、第3種有機溶剤が最も毒性が高い。
- イ有機溶剤等を入れた容器には区分を示す色の帯を表示する必要があるが、この表示義務が生じるのは第1種有機溶剤等および第2種有機溶剤等のみであり、第3種有機溶剤等の容器には色の帯による表示義務はない。
- ウ有機溶剤等の容器の色による表示(色の帯)は、屋内作業場での取扱いにのみ義務付けられており、屋外作業場ではこの表示義務は適用されない。
- エ有機溶剤等を入れた容器には区分を示す色の帯または色の地で表示する義務があり、第1種有機溶剤等には赤色、第2種有機溶剤等には黄色、第3種有機溶剤等には青色の帯を使用する。この義務は第1種・第2種・第3種のすべてに適用される。正答
- オ作業場には、有機溶剤等の区分(第1種・第2種・第3種)および有機溶剤等の名称・取扱い上の注意事項を記した掲示物を掲げる必要があるが、この掲示義務は有機溶剤作業主任者を選任している作業場のみに適用される。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠法令も明記。
正しいのはエです。有機溶剤等を入れた容器には区分を示す色の表示が必要であり、この義務は第1種・第2種・第3種のすべての有機溶剤等に適用されます(有機則第25条)。
各誤りの要点: ア→有機則の区分は毒性の高い順に「第1種>第2種>第3種」です(第1種が最も毒性が高い・第3種が最も低い)。「第3種が最も毒性が高い」という記述が逆です。イ→容器の色は第1種が赤・第2種が黄・第3種が青です(第1種赤・第2種黄の組み合わせが逆になっているため誤り)。ウ→屋内・屋外の限定はなく、有機溶剤等を入れた容器への表示義務は作業場所を問いません。オ→掲示義務は作業主任者を選任しているかどうかに関係なく、有機溶剤等を製造または取り扱う屋内作業場すべてに適用されます。
有機溶剤の区分と主な規制の対比:
| 区分 | 毒性の程度 | 容器の色 | 作業主任者 | 局所排気装置 | 環境測定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1種 | 最も高い | 赤 | 義務 | 義務 | 義務(6か月ごと) |
| 第2種 | 中程度 | 黄 | 義務 | 義務 | 義務(6か月ごと) |
| 第3種 | 最も低い | 青 | 条件付き不要 | 条件付き不要 | 条件付き |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 有機則の区分は毒性の高い順に第1種>第2種>第3種です。第1種が最も毒性が高く規制が厳格であり、第3種が最も毒性が低い(または密閉容器内での取扱いで規制が軽減される)区分です。
- イ(誤): 有機則第25条による容器の色表示義務は第3種有機溶剤等(青色)にも適用されます。「第3種には表示義務がない」という記述が誤りです。第1種・第2種・第3種のすべての容器に色の帯による区分表示が義務付けられています。
- ウ(誤): 容器への色表示義務は屋内・屋外を問わず適用されます(有機則第25条)。「屋内のみ」という限定は存在しません。
- エ(正): 第1種(赤)・第2種(黄)・第3種(青)すべての有機溶剤等の容器に色の帯または色の地による区分表示義務があります(有機則第25条)。記述の内容・色の対応・全区分適用のいずれも正確です。
- オ(誤): 掲示義務は作業主任者を選任しているかどうかではなく、有機溶剤等を製造または取り扱う屋内作業場すべてに適用されます(有機則第24条)。
【理論的背景】
有機溶剤は常温で揮発性が高く、吸入・皮膚接触・経口による健康障害(主に中枢神経抑制・肝臓・腎臓障害)を引き起こします。有機則は有機溶剤を「毒性と管理の必要性」に応じて第1種・第2種・第3種に区分し、区分に応じた規制のメリハリを設けています。「容器に色の帯で区分を表示する」制度は、作業現場で取り扱う有機溶剤の危険性を視覚的に素早く識別させ、適切な保護具の選択・取扱い注意事項の確認を促すためのものです。
第1種有機溶剤の特徴:
- クロロホルム・四塩化炭素・ジクロロメタン・1,2-ジクロロエタン等の塩素化炭化水素が代表的
- 肝毒性・腎毒性・発がん性が特に強い物質が多い
- 第1種(赤)という「最も危険な色のイメージ」と一致する運用
第2種有機溶剤の特徴:
- トルエン・キシレン・酢酸エチル・メチルエチルケトン(MEK)等の一般的な工業用溶剤が多い
- 中枢神経抑制・肝障害リスクがあるが、第1種ほど急性毒性は強くない
- 取扱い量が多いため、実務上最も頻繁に問題になる区分
第3種有機溶剤の特徴:
- ガソリン・石油ナフサ・灯油・石油エーテル等の石油系炭化水素が代表的
- 第1種・第2種より毒性が低いが、引火・爆発の危険性は高い
- 密閉容器内取扱い等の条件付きで局所排気装置が免除される場合がある
【実務・条文構造】
有機溶剤の表示・掲示に関する条文体系:
容器への表示(有機則第25条):
- 対象: 有機溶剤等を入れた容器(密閉された金属缶・ドラム缶・ポリタンク等)
- 表示内容: 有機溶剤等の区分を示す色の帯(または色の地)
- 第1種: 赤色の帯または赤地
- 第2種: 黄色の帯または黄地
- 第3種: 青色の帯または青地
- 適用範囲: 屋内・屋外を問わず、有機溶剤等を入れた容器すべてに適用
- 例外: 有機溶剤等を入れた容器の外側に上記表示がある場合、内部の小分け容器は免除される場合がある
作業場への掲示(有機則第24条):
- 対象: 有機溶剤等を製造または取り扱う屋内作業場(作業主任者の選任の有無を問わない)
- 掲示内容:
- 有機溶剤等の区分(第1種・第2種・第3種のいずれか)
- 有機溶剤等の名称(物質名・商品名等)
- 取扱い上の注意事項(蒸気の吸入防止・火気禁止・保護具の着用等)
- 急性中毒・慢性中毒が起きたときの応急処置の要領
- 注意喚起のための図(GHSマーク等)
主な有機溶剤の区分(実務上重要):
- 第1種(赤): クロロホルム・四塩化炭素・1,2-ジクロロエタン・ジクロロメタン
- 第2種(黄): トルエン・キシレン・酢酸エチル・MEK・アセトン・スチレン
- 第3種(青): ガソリン・コールタールナフサ・石油エーテル・ミネラルスピリット
【試験での位置づけ】
有機則の表示・区分問題は「第1種=赤・第2種=黄・第3種=青(毒性の高い順に規制が厳しい)」「容器の色表示義務は全区分・屋内外問わず」「掲示義務は作業主任者の有無と無関係・屋内作業場すべて」の3点が頻出です。アのような「第3種が最も毒性が高い」という区分の逆転誤りと、イのような色の組み合わせ誤りは毎回登場します。「第1種=赤」という対応は「第1種(一番危険)=赤(警告色)」という記憶術が有効です。掲示義務(有機則第24条)が「作業主任者の選任の有無を問わない」点も確認しておきましょう。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 有機溶剤の区分(第1種>第2種>第3種の毒性・規制の強さ)は特定化学物質の区分(第1類>第2類>第3類)と同じ「番号が小さいほど危険・規制が強い」という論理です。一方、酸欠則の「第1種(酸欠のみ)と第2種(酸欠+硫化水素)」は毒性の強弱ではなく「危険の種類の複合度」で区分しており、異なる論理です。混同を避けるため「有機則・特化則の区分=番号小=危険大」と整理しておくとよいでしょう。
- イ: 有機溶剤の容器の色(第1種赤・第2種黄・第3種青)は「交通信号の赤=停止・危険・黄=注意・青=安全寄り」というイメージと対応させて覚えると記憶しやすいです。ただし選択肢の文中で「赤と黄を入れ替える」「黄と青を入れ替える」等の引っかけが多いため、3色の対応を正確に記憶することが必要です。
- ウ: 屋外作業場での有機溶剤取扱いでも容器の色表示義務があることは、有機溶剤の危険性(揮発・吸入・引火)が屋内外を問わないことを反映しています。屋外では風で蒸気が拡散されるため屋内より急性中毒のリスクは低いものの、規制(表示義務・保護具等)は免除されません。
- エ: 容器の色表示義務が「内容積200リットル以上のドラム缶」に限定されるのではなく、すべての容器が対象であることも確認が必要です(小分け容器・1リットルの缶も対象)。ただし「元の容器(ドラム缶等)にすでに表示がある場合、その容器から小分けした容器への再表示の可否」については実務上の解釈が求められます。
- オ: 掲示義務(有機則第24条)が「作業主任者を選任した場所のみ」ではない理由は、第3種有機溶剤等の「条件付きで作業主任者が不要」な場合でも、作業者への危険性の周知・注意喚起は必要だからです。情報周知(掲示)は法令遵守の最低限の義務であり、作業主任者の有無に関係なく実施する必要があります。
【根拠法令】有機溶剤中毒予防規則 第1条(区分の定義:第1種・第2種・第3種)・第24条(掲示の義務:有機溶剤等を製造または取り扱う屋内作業場・作業主任者の有無を問わない)・第25条(容器への表示:第1種=赤・第2種=黄・第3種=青の帯または地・屋内外を問わず全容器に義務)
【補足】有機溶剤の区分=第1種(最も毒性高・赤)>第2種(中・黄)>第3種(最も低・青)。容器の色表示は全区分・全容器・屋内外問わず義務。掲示義務は作業主任者の有無に関係なく屋内作業場すべてに適用。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 有機溶剤中毒予防規則(有機則)第25条(区分の表示:容器に色の帯・第1種赤・第2種黄・第3種青)・第24条(掲示:有機溶剤等を製造または取り扱う屋内作業場に掲示義務・作業主任者の有無は問わない)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。