関係法令(有害業務)49第一種労働安全衛生法令(安衛法第65条・作業環境測定法)

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問49:労働安全衛生法令(安衛法第65条・作業環境測定法)

作業環境測定(安衛法第65条)および作業環境測定士に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 作業環境測定は、原則としてすべての作業場で実施しなければならず、有害業務が行われていない事業場においても定期的に実施する義務がある。
  • 作業環境測定士は、第1種と第2種に区分され、第1種作業環境測定士は化学物質の測定業務すべてを担えるが、第2種は物理的因子(騒音・振動等)の測定のみを担うことができる。
  • 一定の有害業務が行われる作業場の作業環境測定は、作業環境測定士(第1種または第2種のうち当該業務に係るもの)または作業環境測定機関(登録を受けたもの)に実施させなければならない。正答
  • 作業環境測定の結果は、第1管理区分・第2管理区分・第3管理区分に判定され、第3管理区分(最も良い環境)の事業場はその後の定期測定義務が免除される。
  • 作業環境測定の結果を所轄の労働基準監督署長へ報告することは、すべての作業環境測定について法令上義務付けられている。
正答:一定の有害業務が行われる作業場の作業環境測定は、作業環境測定士(第1種または第2種のうち当該業務に係るもの)または作業環境測定機関(登録を受けたもの)に実施させなければならない。

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正しいのはウです。安衛令第21条で列挙されている一定の有害業務作業場(有機溶剤・特定化学物質・放射線・粉じん・高熱・騒音等の6〜11種の作業場)については、作業環境測定士または登録作業環境測定機関に実施させなければなりません(安衛法第65条の2)。

各誤りの要点: ア→作業環境測定はすべての作業場が義務ではなく、安衛令第21条が列挙する特定の有害業務作業場のみが対象。イ→第1種・第2種の区分は「化学物質系 vs 物理的因子系」ではなく測定対象・業務範囲が異なる(第2種が物理因子専門というのは誤り)。エ→第3管理区分は「最も悪い区分」(改善必要)であり、免除はなく追加措置が義務化される。オ→作業環境測定結果の監督署への報告義務は特定の業務(電離放射線・特定化学物質等の一部)に限定されており、すべての測定について義務付けられているわけではない。

標準試験対策の基準レベル

作業環境測定士の区分(第1種・第2種の違い=分析できる範囲の差):

| 区分 | できる業務 |

|---|---|

| 第1種作業環境測定士 | デザイン・サンプリング・簡易測定機器による分析に加え、登録を受けた分析区分(鉱物性粉じん・放射性物質・特定化学物質・金属類・有機溶剤の5区分)の機器分析を含む全ての分析 |

| 第2種作業環境測定士 | デザイン・サンプリングおよび簡易測定機器(検知管方式等)による分析に限られる(機器分析はできない) |

※両区分ともデザイン・サンプリングは可能。違いは「物理因子か化学物質か」ではなく「機器分析まで行えるか(第1種)/簡易測定までか(第2種)」という分析範囲の差である。

作業環境の管理区分と事後措置:

| 管理区分 | 判定基準 | 事後措置 |

|---|---|---|

| 第1管理区分 | 良好(95%の日が基準値以下) | 現状維持 |

| 第2管理区分 | 改善余地あり | 設備・作業管理の改善努力義務 |

| 第3管理区分 | 悪い(基準超過が認められる) | 直ちに施設・設備の改善義務・作業者への保護具使用義務・医師の意見聴取等 |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 作業環境測定義務は安衛令第21条の列挙作業場に限定されます(全作業場義務ではない)。対象は有機溶剤・特定化学物質・放射線・粉じん・高気圧・高熱・騒音等の特定有害業務作業場です。
  • イ(誤): 第1種・第2種の区分は「化学物質系(第1種)と物理的因子系(第2種)」という分け方ではありません。両区分ともデザイン・サンプリングは行え、違いは分析範囲(第1種=登録分析区分の機器分析まで可、第2種=簡易測定機器による分析まで)にあります。「第2種は物理的因子の測定のみ」とする記述は誤りです。
  • ウ(正): 安衛法第65条の2の通り、安衛令第21条の対象作業場の測定は、第1種または第2種作業環境測定士(当該測定種別に対応したもの)または登録作業環境測定機関が実施する義務があります。
  • エ(誤): 第3管理区分は最も悪い区分(有害物濃度が管理基準を超えている状態)であり、直ちに施設・設備の改善が義務付けられます。免除どころか最も強い事後措置が求められます。
  • オ(誤): 作業環境測定結果の監督署報告は電離放射線の特別な場合等に限定されており、全測定に報告義務はありません。記録の保存義務(3〜30年)は全対象作業場に適用されます。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

作業環境測定(安衛法第65条)は、有害業務が行われる作業場の空気中有害物質濃度・物理的有害因子の強度を定量的に把握し、適切な管理措置の基礎データとするための制度です。測定結果は「管理濃度」との比較によって管理区分(第1〜第3)に判定され、第3管理区分に判定された場合は法令上の改善義務が生じます。作業環境測定士制度(作業環境測定法)は、測定の専門的な技術・知識を持つ者が測定を担うことで結果の信頼性を確保するための資格制度です。

作業環境測定の法体系:

  • 安衛法第65条: 測定義務・結果の評価・改善措置
  • 安衛令第21条: 測定義務のある作業場の列挙(11種類・2026年現在)
  • 各規則(特化則・有機則・鉛則・電離則等): 各物質ごとの測定頻度・記録保存期間
  • 作業環境測定法: 測定士制度・測定機関の登録制度

【実務・条文構造】

安衛令第21条が定める作業環境測定義務のある作業場(主要11種):

1. 土石・岩石・鉱物等の粉じん発生作業場(粉じん則)

2. 放射線業務を行う管理区域(電離則)

3. 特定化学物質(特化則の対象物質)を取り扱う屋内作業場

4. 一定の鉛業務を行う屋内作業場(鉛則)

5. 四アルキル鉛等業務を行う屋内作業場

6. 酸素欠乏危険作業を行う作業場(酸欠則・硫化水素測定も含む)

7. 有機溶剤(第1種・第2種)を取り扱う作業場(有機則)

8. 暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場(WBGT等の測定)

9. 著しい騒音を発する屋内作業場(等価騒音レベル測定)

10. 深夜業の従事者が多い事業場(特定業種・保護規定に基づく)

11. 中央管理方式の空気調和設備を設ける建築物内の作業場(炭酸ガス等)

(条文番号等の詳細は安衛令第21条各号を参照)

A測定・B測定の概念:

  • A測定(単位作業場所の定点測定): 作業場全体の平均的な有害物濃度を把握
  • B測定(最も有害物に曝露する可能性が高い場所・時間の測定): 最高曝露濃度を把握
  • 管理区分の判定: A測定とB測定の両方の結果を用いて管理区分を判定

(第1管理区分: 良好、第2管理区分: 改善余地あり、第3管理区分: 改善必要)

第3管理区分における事後措置(安衛法第65条の2):

  • 直ちに施設・設備・作業工程・作業方法の改善
  • 当該業務に従事する全労働者への有効な保護具の使用義務(使用させる義務)
  • 臨時の健康診断の実施
  • 産業医等の意見聴取(改善措置の適切性の確認)
  • 改善措置後の再測定(管理区分の再確認)

【試験での位置づけ】

作業環境測定の問題では「第3管理区分は最も悪い(最も良いという誤りが定番引っかけ)」「測定義務のある作業場は安衛令第21条の列挙(全作業場ではない)」「測定実施者は作業環境測定士または登録機関(内部の衛生管理者等が自由に実施できるわけではない)」の3点が最頻出です。管理区分の番号と良悪の方向(第1=良い・第3=悪い)の混同は毎回出題される定番引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 測定義務がない作業場でも、事業者が自主的に作業環境測定を実施することは可能(むしろ推奨)です。化学物質の自律的管理(2022年改正)の文脈では、リスクアセスメントの一環として自主的な測定が強く推奨されています。
  • イ: 作業環境測定士の区分(第1種・第2種)は、測定する有害因子の種類(化学物質系・物理的因子系等)によって許容される業務範囲が異なります。受験資格・試験内容も区分によって異なります。実務では「特定の有害物質の測定には第1種が必要」という場面が多く、衛生管理者はどの資格を持つ測定士に依頼すべきかを把握する必要があります。
  • エ: 第3管理区分への対処が「改善義務」である理由は、労働者が管理濃度を超える有害物濃度に曝露し続けることは職業性疾病の発症リスクを高めるためです。ただし「第3管理区分=即座に作業停止」ではなく、「保護具着用を徹底しながら改善措置を実施する」という並行対応が求められます。
  • オ: 作業環境測定記録の保存義務は各規則で定められており(原則3年・特定化学物質等の一部は30年)、測定記録の保存は全対象作業場に適用される重要な義務です。報告義務(労基署への提出)とは別の義務として混同しないことが重要です。

【根拠法令】労働安全衛生法第65条(作業環境測定の義務)・第65条の2(測定実施者:作業環境測定士または登録機関)、労働安全衛生令第21条(測定義務のある作業場の列挙)、作業環境測定法第2条(作業環境測定士・第1種/第2種の区分)

【補足】測定義務は「安衛令第21条列挙の特定作業場のみ」(全作業場ではない)。第3管理区分は「最も悪い区分」(免除なし・改善義務あり)。測定実施は測定士または登録機関が必要。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第65条(作業環境測定の義務)・第65条の2(測定の実施者)、作業環境測定法第2条(作業環境測定士・第1種/第2種の区分)、安衛令第21条(測定義務のある作業場の列挙)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

関連論点

作業環境測定士・国家資格の業務範囲と測定実施者要件頻出度B

関係法令(有害業務)の他の問題

1
特定化学物質障害予防規則(特化則)
2
有機溶剤中毒予防規則(有機則)
3
酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)
4
電離放射線障害防止規則(電離則)
5
粉じん障害防止規則(粉じん則)
6
健康管理手帳・就業制限

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