問題
高気圧作業安全衛生規則(高圧則)に規定する高圧室内作業および潜水業務に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはウです。高圧則第41条は、減圧症その他高気圧による障害、呼吸器・循環器・耳の疾病等にかかっている労働者について、医師が必要と認める期間、高気圧業務への就業を禁止しなければならないと定めています。本人の同意で就業させることはできません。
各正しい記述: ア→高気圧業務の健康診断は雇入れ時・配置替え時・6か月以内ごとに1回(高圧則第38条)。イ→減圧停止の時間を定めて減圧するため、高い気圧下では減圧に時間を要する。エ→高圧室内作業主任者の職務(第10条第2項第4号)。オ→36協定は労働時間・休日の規定の例外で、高圧則の規制は解除されない。
高圧室内業務の時間に関わる規制の枠組み:
| 規制項目 | 内容 |
|---|---|
| 作業計画(第12条の2) | 送気する気体の成分組成、加圧開始から減圧開始までの時間、最高の圧力、加圧・減圧の速度、減圧停止の圧力と時間を示した作業計画を定め、関係労働者に周知 |
| ガス分圧の制限(第15条) | 酸素18〜160kPa(気こう室での減圧時は18〜220kPa)・窒素400kPa以下・炭酸ガス0.5kPa以下 |
| 酸素ばく露量の制限(第16条) | 厚生労働大臣が定める方法により求めた酸素ばく露量が、大臣が定める値を超えないようにする |
| 減圧の速度等(第18条) | 減圧速度は毎分0.08MPa以下。半飽和組織の不活性ガス分圧が許容最大分圧を超えないよう、減圧を停止する圧力と時間を定めて停止する。減圧終了後14時間は重激な業務に従事させない |
※気圧が高いほど体内に溶け込む不活性ガスが増えるため、第18条に従って減圧を停止する時間が長くなり、結果として1日の作業時間が制約される。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 高圧則第38条により、高気圧業務に常時従事する労働者の健康診断は「雇入れの際・配置替えの際・当該業務についた後6か月以内ごとに1回」です。
- イ(正): 作業気圧(深度)が高くなるほど体内に溶け込む不活性ガスが増え、第18条に従って減圧を停止する時間が長くなります。これにより1日に行える高圧室内作業の時間は制約されます。
- ウ(誤): 高圧則第41条の就業禁止は、医師が必要と認める期間、高気圧業務への就業を禁止しなければならないもので、本人同意の有無にかかわらず就業させることができません。
- エ(正): 高圧則第10条第2項第4号により、高圧室内作業主任者は作業室への送気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する業務に従事する者と連絡して、作業室内の圧力を適正な状態に保ちます。
- オ(正): 労基法第36条の協定は、労働時間(第32条〜第32条の5・第40条)と休日(第35条)に関する規定にかかわらず時間外・休日労働をさせることができるとするもので、高圧則の作業計画・減圧・ガス分圧等の規制を解除するものではありません。
【理論的背景】
高圧則は、高気圧による減圧症、酸素・窒素又は炭酸ガスによる中毒その他の高気圧による健康障害を「高気圧障害」と定義し(第1条の2第1号)、その防止のために作業計画・ガス分圧・酸素ばく露量・減圧方法を規制しています。高圧環境では体内に溶け込む不活性ガス(窒素・ヘリウム)が増え、減圧が速すぎると減圧症の原因になるため、減圧の速度と減圧を停止する時間が細かく定められています。
作業時間が制約される仕組み:
- 作業計画には「加圧を開始する時から減圧を開始する時までの時間」と「減圧を停止する圧力及び時間」を示す(第12条の2第2項)
- 減圧を停止する時間は、半飽和組織内の不活性ガス分圧が許容最大分圧を超えないように定める(第18条第1項第2号)
- 気圧が高く滞在が長いほど停止時間が長くなり、1日に行える作業時間が制約される
【実務・条文構造】
高圧則の主要規制(高圧室内業務):
作業主任者(第10条):
- 高圧室内作業主任者免許を受けた者のうちから、作業室ごとに選任
- 職務: 作業方法の決定と直接指揮/酸素・炭酸ガス・有害ガスの測定器具の点検/入退室時の人数点検/作業室への送気の調節を行うバルブ又はコックの操作者と連絡して作業室内の圧力を適正に保つ/気こう室の送排気の調節を行うバルブ又はコックの操作者と連絡して加減圧が規定に適合するよう措置する 等
作業計画(第12条の2):
- 送気する気体の成分組成/加圧開始から減圧開始までの時間/最高の圧力/加圧及び減圧の速度/減圧を停止する圧力及び時間を示す
- 作業計画により作業を行い、関係労働者に周知する
ガス・減圧の規制(第14条〜第18条):
- 加圧速度: 毎分0.08MPa以下(第14条)
- ガス分圧の制限(第15条): 酸素18〜160kPa(気こう室での減圧時は18〜220kPa)・窒素400kPa以下・炭酸ガス0.5kPa以下
- 酸素ばく露量が厚生労働大臣の定める値を超えないようにする(第16条)
- 減圧速度は毎分0.08MPa以下、減圧停止の圧力・時間を定めて停止。減圧終了後14時間は重激な業務に従事させない(第18条)
就業禁止(第41条)の対象疾病(医師が必要と認める期間):
- 減圧症その他高気圧による障害又はその後遺症
- 肺結核その他呼吸器の結核又は急性上気道感染、じん肺、肺気腫その他呼吸器系の疾病
- 貧血症、心臓弁膜症、冠状動脈硬化症、高血圧症その他血液又は循環器系の疾病
- 精神神経症、アルコール中毒、神経痛その他精神神経系の疾病
- メニエル氏病又は中耳炎その他耳管狭さくを伴う耳の疾病
- 関節炎、リウマチスその他運動器の疾病
- ぜんそく、肥満症、バセドー氏病その他アレルギー性、内分泌系、物質代謝又は栄養の疾病
健康診断の項目(第38条第1項):
- 既往歴及び高気圧業務歴の調査
- 関節、腰若しくは下肢の痛み、耳鳴り等の自覚症状又は他覚症状の有無の検査
- 四肢の運動機能の検査
- 鼓膜及び聴力の検査
- 血圧の測定並びに尿中の糖及び蛋白の有無の検査
- 肺活量の測定
【試験での位置づけ】
高圧作業の問題では「就業禁止(第41条)は本人同意でも解除できない」「気圧(深度)が高いほど減圧に時間を要し作業時間が制約される」「36協定があっても高圧則の規制は解除されない」の3点が頻出です。また「高圧室内作業主任者は技能講習ではなく免許が必要」(第10条)との組み合わせ問題も出ます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 第38条第1項の結果、医師が必要と認めた者には、作業条件調査・肺換気機能検査・心電図検査・関節部のエックス線直接撮影による検査を追加して行います(同条第2項)。個人票は5年間保存し(第39条)、定期のものは結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出します(第40条)。
- イ: 作業計画には加圧開始から減圧開始までの時間と、減圧を停止する圧力・時間を必ず示します(第12条の2第2項)。高い気圧で長く作業するほど減圧停止時間が長くなるため、作業計画の段階で作業時間を管理します。
- ウ: 事業者は、高気圧業務の一部を請け負わせた作業従事者に対しても、第41条第1項各号の疾病にかかっているときは医師が必要と認める期間従事してはならない旨を周知させなければなりません(同条第2項)。
- エ: 作業室への送気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する業務に労働者をつかせるときは、特別の教育を行わなければなりません(第11条第1項第2号)。高圧室内作業主任者はその操作者と連絡して作業室内の圧力を適正に保ちます。
- オ: 36協定の効果は、労基法の労働時間・休日の規定にかかわらず時間外・休日労働をさせられるという点に限られます(第36条第1項)。さらに同条第6項第1号は、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、1日の延長時間を2時間以内に制限しています。
【根拠法令】高気圧作業安全衛生規則第10条(作業主任者)・第11条(特別の教育)・第12条の2(作業計画)・第14条〜第18条(加圧・ガス分圧・酸素ばく露量・減圧)・第38条(健康診断:6か月以内ごとに1回)・第41条(病者の就業禁止)、労働基準法第36条
【補足】高圧業務の就業禁止(第41条)は医師が必要と認める期間就業を禁止するもので、本人同意で解除不可。気圧(深度)が高いほど減圧に時間を要し作業時間が制約される。健診は6か月以内ごとに1回(第38条)。36協定があっても高圧則の規制は解除されない。
- 労働基準法第36条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 高気圧作業安全衛生規則第10条(高圧室内作業主任者の選任・職務)・第12条の2(作業計画)・第15条(ガス分圧の制限)・第16条(酸素ばく露量の制限)・第18条(減圧の速度等)・第38条(健康診断:6月以内ごとに1回)・第41条(病者の就業禁止)、労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)。就業禁止(第41条)は医師が必要と認める期間就業を禁止するもので、本人同意で解除できない。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

