この記事について: 基本情報技術者(FE) シラバスのVer.9.0(2024年10月適用・大改訂)と Ver.9.2(2026年1月適用・取適法対応)の2版にまたがる変更点を、IPA一次ソース準拠で1ページに整理した網羅型ハブ記事です。科目A・科目Bの変更点、追加用語の優先度、出題予測対象、旧版参考書の活用可否まで一気通貫で解説します。
VolatileBox - 適用日・出題範囲(変動値・要確認)
シラバスのバージョン番号・適用開始日・出題範囲の確定情報はIPA公式PDFが最終ソースです。本記事は 2026-06-08 時点の公開情報に基づきます。受験前に必ず IPA公式:基本情報技術者試験 シラバス で最新版をご確認ください。
3行サマリ:今すぐ知っておくべき変更点
- Ver.9.0(2024年10月適用):科目A・科目Bを含む大規模改訂。生成AI・IaC・DevOps・CNN・R言語・Go言語などDX人材育成を意識した追加が中心。
- Ver.9.2(2026年1月公開):法務分野のみの限定改訂。「下請法」を削除して「中小受託取引適正化法(取適法)」を追加。
- 2027年春予定の新試験制度:科目Aの出題範囲体系の変更・科目Bの一部範囲変更が予告済み。Ver.9.x のさらに先を見据えた学習設計が必要。
---
Ver.9.0:大改訂の全体像
適用開始
2024年10月の試験から適用(CBT通年方式)
改訂の趣旨
IPAは「DX人材を増やすため」を改訂の主目的として明示しており、以下の4領域を重点強化しました。
1. ビジネス変革:DXの概念・ビジネスモデル設計
2. デザイン:UI技術→UX/UIデザインへの名称変更と概念拡張
3. データ利活用:データ分析・統計関連用語の追加
4. AI利活用:機械学習・ディープラーニング・自然言語処理の体系化
テクノロジ系の主な追加
| 領域 | 追加用語 | 学習優先度 |
|---|---|---|
| AI・機械学習 | CNN(畳み込みニューラルネットワーク)、n-gram、自然言語処理、ディープラーニング | 高 |
| プログラミング言語 | R言語、Go言語、Julia | 中 |
| データベース | ドキュメント指向データベース、キーバリュー型DB | 中 |
| インフラ | RAID10、3-2-1ルール(バックアップ戦略) | 中 |
| セキュリティ | ランサムウェア対策(強化)、AIセキュリティ技術 | 高 |
| UX/UI | インタラクション原則(旧UI技術から名称変更) | 中 |
マネジメント・ストラテジ系の主な追加
| 領域 | 追加用語 | 学習優先度 |
|---|---|---|
| マネジメント | DevOps、IaC(Infrastructure as Code) | 高 |
| マーケティング | Webマーケティング戦略 | 中 |
| ビジネス | データ利活用、業務分析 | 中 |
| 倫理 | 情報倫理、技術者倫理 | 低 |
IPA「出題予測対象用語10選」
IPAおよび主要対策ベンダーが共通して出題予測対象として挙げているのは以下の10用語です。Ver.9.0で追加された中でも特に学習優先度が高い領域です。
1. CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
2. n-gram
3. R言語
4. Go言語
5. IaC(Infrastructure as Code)
6. RAID10
7. インタラクション原則
8. ドキュメント指向DB
9. 3-2-1ルール(バックアップ戦略)
10. DevOps
学習戦略: これらの10用語は「短い定義」「メリット・デメリット」「他の用語との違い」の3点セットで覚えれば、選択式問題に対応できます。深掘りより広く浅く、が短期合格には有効です。
科目Bへの影響
Ver.9.0以降、科目Bは「20問全て必須解答」の現行形式が定着しています。出題範囲は以下の構成です。
- アルゴリズム・プログラミング:16問
- 情報セキュリティ:4問
Ver.9.0で追加された用語の一部(特にIaC・DevOps関連)は科目Aだけでなく、科目Bのセキュリティ4問の中でも問題文の素材として登場することがあります。科目Bは「アルゴリズム読解力+セキュリティ実装知識」の両輪で得点する戦略が引き続き有効です。
---
Ver.9.2:取適法対応の限定改訂
適用開始
2026年1月1日(IPA公式が2026年1月8日に Ver.9.2 を公開)
変更内容
Ver.9.2 はストラテジ系「企業と法務 > 法務」分野の用語例のみの改訂で、以下の置換が行われました。
| 旧シラバス(〜Ver.9.0) | 新シラバス(Ver.9.2〜) | 改訂の根拠 |
|---|---|---|
| 下請法 | 中小受託取引適正化法(取適法) | 2026年1月1日施行の改正法の正式名称に置換 |
| 親事業者 | 委託事業者 | 改正法における発注者の呼称変更 |
| 下請事業者 | 中小受託事業者 | 改正法における受注側中小事業者の呼称変更 |
| 下請代金 | 製造委託等代金 | 改正法における対価の呼称変更 |
改訂の背景
2026年1月1日に「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」が改正され、「中小受託取引適正化法(取適法)」に改称されました。この社会的変化を反映するため、IPAは同年1月8日にFEシラバスをVer.9.2に更新しました。
学習上の注意
- 法律の本質は不変:資本金要件・親事業者の禁止行為11類型・支払期日60日ルールなどの実体規定は変わりません。覚えるべきは「呼称が変わった」点のみです。
- 新旧両方を押さえる:過去問(Ver.9.0時代)では旧用語のまま出題されています。試験では新用語、過去問では旧用語、と覚えておきましょう。
- 出題確率はやや上昇の可能性:社会的関心が高いトピックなので、改正直後の試験回では出題確率が通常より上がる傾向があります。ただし下請法は元々FE科目Aでは出題頻度が中程度のため、深掘りより「新名称を知っている」レベルで十分対応可能です。
---
科目Aへの影響:Ver.9.0 主要変更ハイライト
出題範囲体系の変更
Ver.9.0 では科目Aの出題範囲体系が一部見直され、以下の項目が強化されました。
- AI利活用:従来「人工知能(AI)」の単一カテゴリだったものが、「機械学習」「ディープラーニング」「自然言語処理」の3サブカテゴリに細分化
- データサイエンス:統計関連用語(標準偏差・正規分布・相関係数)の出題範囲明確化
- DX/ビジネス変革:DXレポート・2025年の崖などの行政文書由来の概念を体系化
科目Aで頻出となる「Ver.9.0 新用語」
過去問にはまだ少ないが、新シラバスの方向性として頻出が予想される用語です。
- DevOps:開発と運用の継続的連携
- IaC(Infrastructure as Code):インフラのコード管理
- CNN(畳み込みニューラルネットワーク):画像認識AIの基本
- 生成AI:LLM・基盤モデル・プロンプトエンジニアリング
- ハルシネーション:AIの誤情報生成
- RAG(検索拡張生成):AIの知識補強技術
- 3-2-1ルール:バックアップ戦略(3コピー・2メディア・1オフサイト)
---
科目Bへの影響:Ver.9.0以降の方向性
現行形式の確立
Ver.9.0以降、科目Bは以下の形式が定着しました。
- 総問題数:20問(全問必須解答)
- 試験時間:100分
- 出題範囲:アルゴリズム・プログラミング16問 + 情報セキュリティ4問
- 疑似言語:IPA独自の擬似言語による出題(実在のプログラミング言語ではない)
科目Bで出る「Ver.9.0 新パターン」
Ver.9.0で追加された用語のうち、科目Bのセキュリティ4問で素材になりうるものは以下です。
- ランサムウェア対策:暗号化前の検知・バックアップからの復旧
- 3-2-1ルール:バックアップ戦略の選択肢として登場
- AIセキュリティ技術:敵対的サンプル攻撃・モデル盗難への対策
- DevSecOps:開発工程のセキュリティ統合
科目B合格率の推移
科目Bは令和8年1月時点で合格率42%まで低下しています(科目Aは61%)。Ver.9.0以降の改訂で科目Bの難化傾向は続いており、対策の優先度は引き続き高いままです。
詳細な科目B対策は 基本情報 科目B 練習問題20問 と 基本情報 科目B アルゴリズム攻略 を参照してください。
---
旧シラバス参考書はまだ使えるか?
結論:版による
| 参考書の版 | 対応シラバス | 使用可否 | 補完すべき領域 |
|---|---|---|---|
| 2024年10月以降の版 | Ver.9.0準拠 | 推奨 | 取適法のみ(Ver.9.2差分) |
| 2023年4月〜2024年9月の版 | Ver.8.x準拠 | 注意 | 生成AI・IaC・DevOps・CNN・取適法 |
| 2023年3月以前の版 | Ver.7.x以前準拠 | 非推奨 | 大量(DX関連・AI関連・取適法すべて) |
Ver.8.x 参考書でカバーできない領域
- 生成AI・ハルシネーション・RAG・基盤モデル
- IaC・DevOps・3-2-1ルール
- CNN・n-gram・R言語・Go言語
- 取適法(Ver.9.2 差分)
補完戦略
買い替えが難しい場合は、以下の組み合わせが効率的です。
1. 既存の参考書:基本概念の理解(変わらない部分が大半)
2. 合格ナビ:Ver.9.0以降の追加用語の演習+AI解説(3レベル)
3. IPA公式PDF:最終確認時の出題範囲チェック
---
関連リソース
FE シラバス対策の関連記事
- 基本情報技術者 合格ガイド — 試験全体の戦略
- 基本情報 科目B アルゴリズム攻略 — 科目B対策の本丸
- 基本情報 科目A 戦略 — 科目A高得点戦略
- 基本情報 独学ロードマップ — 独学者向け学習計画
- 基本情報 科目B 練習問題20問 — 科目B実践演習
- 基本情報技術者 比較 — 主要対策サービス比較
関連する ITパスポート シラバス情報
ITパスポートも同じIPAの試験のため、シラバス改訂の方向性は連動しています。
- ITパスポート シラバスVer.6.5 変更点 — 2026年1月適用・取適法対応の完全ガイド
- ITパスポート シラバス版別 変更履歴一覧 — Ver.6.0〜6.5の累積差分
一次ソース(必ず受験前に確認)
---
まとめ:Ver.9.0/9.2対策の優先順位
1. 最優先:Ver.9.0 追加の「出題予測対象用語10選」(CNN・IaC・DevOps・3-2-1ルール 等)
2. 高優先:生成AI・ハルシネーション・RAG・基盤モデル(科目A頻出)
3. 中優先:UI技術→UX/UIデザインへの体系変更、データ利活用
4. 低優先:Ver.9.2 取適法対応(新名称のみ)
Ver.9.2 の改訂は最小単位ですが、Ver.9.0 の累積負担は大きいため、参考書の版・対策サービスの最新版対応を必ず確認してから学習を進めてください。
本記事の更新方針: IPAから新バージョンのシラバスが公開された場合、本記事は速やかに更新します。最終確認日は記事冒頭のVolatileBoxを参照してください。架空の監修者・推奨者は一切記載していません。