問題
介護保険に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオ(誤っている記述)です。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)への入所は、原則として要介護3以上の方が対象です(2015年4月の介護保険法改正以降)。ただし「要介護1・2の方は申請できない」という記述が誤りです。要介護1・2の方でも、認知症・知的障害・精神障害等により居宅での生活が困難な「特例入所」が認められています(老人福祉法・介護保険法施行規則)。申請そのものを禁じているわけではありません。
ア・イ・ウ・エはいずれも正しい記述です。特に介護保険の被保険者区分(第1号=65歳以上・第2号=40〜64歳の医療保険加入者)と、第2号は特定疾病が原因の場合のみ給付対象となる点はよく出題されます。
介護保険の被保険者区分(最重要の対比):
| 区分 | 年齢 | 要件 | 給付の原因要件 |
|---|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 65歳以上 | 市町村の区域内に住所 | 原因を問わず要介護・要支援状態であれば給付対象 |
| 第2号被保険者 | 40〜64歳 | 医療保険加入者(健保・国保等) | 加齢に伴う特定疾病(16疾病)が原因の場合のみ給付対象 |
特定疾病16疾病(介護保険法施行令第2条・主なもの): がん(回復の見込みがない状態)・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・脳血管疾患・パーキンソン病関連疾患・骨折を伴う骨粗鬆症・早老症・脊髄小脳変性症・初老期における認知症・糖尿病性神経障害等など
要介護認定の区分と対応給付:
| 認定区分 | 対応する給付 | 主なサービス |
|---|---|---|
| 要支援1・2 | 予防給付 | 介護予防サービス(地域密着型含む) |
| 要介護1〜5 | 介護給付 | 訪問介護・通所介護・施設入所 等 |
第2号被保険者の介護保険料徴収スキーム:
- 協会けんぽ加入者: 健康保険料と一体徴収(労使折半)→ 協会けんぽが介護給付費・地域支援事業支援納付金として社会保険診療報酬支払基金へ納付
- 国保加入者: 国保保険料の介護納付金賦課額として一体賦課(市町村が徴収)→ 納付金として支払基金へ
- 令和8年度の介護保険料率(協会けんぽ): 1.62%
選択肢オの誤りの詳細(特別養護老人ホーム):
- 原則: 要介護3以上(2015年4月〜)
- 例外(特例入所): 要介護1・2でも「①認知症で日常生活に支障・②知的・精神障害で日常生活に支障・③単身・家族の疾病等で在宅困難」等の場合は特例入所可能
- 「申請ができない」ではなく「原則入所は要介護3以上・例外あり」が正確
【介護保険制度の成立背景と「保険あって介護なし」からの転換】
介護保険は2000年4月に施行された比較的新しい社会保険制度です。施行前の日本の介護は「老人福祉」(措置制度・行政が施設・サービスを決定)と「老人医療」(社会的入院)に分断されており、利用者の選択権がなく、「病院に長期入院」という問題がありました。介護保険の導入により「保険・契約による自由なサービス選択」「ケアマネジャーによるケアプラン作成」「在宅介護の充実」が図られました。
【利用者負担(1割・2割・3割)の条文構造】
介護給付は原則として費用の100分の90が保険給付され、利用者負担は1割です。これに対し、所得の高い第1号被保険者には負担割合を引き上げる特例があります(介護保険法第49条の2)。
1. 2割負担: 第1号被保険者で、政令で定める所得の額が政令で定める額以上の要介護被保険者は、給付率「百分の九十」が「百分の八十」に読み替えられる(第49条の2第1項)
2. 3割負担: 第1項の額を超える政令で定める額以上の所得がある者は「百分の七十」に読み替えられる(同条第2項)
3. 第2号被保険者は対象外: 読替えの対象は「第一号被保険者であって」と限定されているため、40〜64歳の第2号被保険者は所得にかかわらず1割負担
2割負担の対象者の範囲の見直しは審議会で議論が続いているため、受験年度の法令基準日時点の政令の基準で確認します。
【第1号・第2号被保険者制度の深層と「特定疾病」の設定根拠】
第2号被保険者が「加齢に伴う特定疾病」の場合のみ給付対象となるのは、介護保険が本来「加齢に伴うリスクの社会的分担」を目的とした制度であるためです。交通事故や精神疾患等は「加齢に伴う」ものでないとして対象外とし、労災・精神科医療・障害福祉の各制度に委ねる設計となっています。
16の特定疾病は「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの」(介護保険法第7条第3項第2号)として、介護保険法施行令第2条に列挙されています。実務上、40〜64歳で要介護認定を申請する場合、主治医の「特定疾病に該当するか」の意見書が認定の鍵を握ります。
【特別養護老人ホームの要介護3以上原則と「特例入所」の実務】
2015年4月施行の改正(地域医療介護総合確保推進法)で、特別養護老人ホームへの新規入所者が原則として要介護3以上に限定されました。改正前は要介護1以上であれば入所の対象でした。この改正の背景は「特別養護老人ホームの待機者問題」と「重度者・在宅生活が困難な方を優先する」という政策判断です。限定されたのは「入所」の対象であり、「申請」そのものではありません。
特例入所(要介護1・2での入所)の認定要件(厚生労働省通知):
1. 認知症であり、その症状が日常生活に支障をきたす程度のもの
2. 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障をきたす程度のもの
3. 家族等による深刻な虐待が疑われ、心身の安全・安心の確保が困難な状況
4. 単身で家族がいない・家族が高齢・疾病等により介護力が不足
特例入所は「市町村の意見を聴いたうえで施設が判断する」仕組みであり、要介護1・2の者が「申請できない」わけではありません。この「申請できない」という表現の誤りがオの誤りのポイントです。
【介護保険と社労士試験・上位資格(FP・ケアマネ)との接続】
社労士試験では介護保険が「社一」科目に含まれますが、出題頻度は年金3科目や健保ほど高くありません。ただし「第1号・第2号の区分・特定疾病・要介護認定・費用負担(1割・2割・3割)・地域支援事業」は繰り返し出題されています。
実務上の社労士との関連:
- 会社員が40歳になったとき→自動的に第2号被保険者へ(健康保険料と一体で介護保険料も徴収開始)
- 65歳到達→第1号被保険者へ(市町村が直接保険料を年金天引き(特別徴収)または普通徴収で徴収)
- 社労士が手続き上関与する場面: 給与計算(40歳に達した月からの介護保険料控除の開始・65歳に達して第2号被保険者に該当しなくなった月は、その月分から介護保険料を含めない=健保法第156条第2項)・資格喪失手続き(退職時の健康保険の資格喪失)
FP資格(ファイナンシャルプランナー)とも深く重なる領域で、介護費用の試算・民間介護保険との組み合わせアドバイスは「社労士×FP」のクロスライセンス活用の代表的な場面です。
- 介護保険法第49条の2・第7条e-Govで原文を読む
- 老人福祉法e-Govで原文を読む
- 健康保険法第156条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 介護保険法第9条(被保険者)・第7条第3項第2号(特定疾病)・介護保険法施行令第2条(特定疾病16)・第19条(要介護認定・要支援認定)・第41条・第53条(保険給付) 介護保険料率(協会けんぽ): 1.62%(令和8年度・協会けんぽ)・一次確認済(協会けんぽ https://www.kyoukaikenpo.or.jp/lp/2026hokenryou/) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

