社労士 社会保険一般常識 問3:社会保険に関する一般常識(社一)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
介護保険に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。
- ア介護保険の第1号被保険者は65歳以上の者であり、市町村の区域内に住所を有することが要件となる。第1号被保険者は、要介護状態または要支援状態の原因が特定疾病であるかどうかにかかわらず、保険給付を受けることができる。
- イ介護保険の第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者であり、加齢に伴う特定疾病(16疾病)が原因で要介護状態または要支援状態となった場合のみ、保険給付を受けることができる。
- ウ要介護認定は市町村が行い、要支援1・2および要介護1〜5の7区分に認定される。要介護認定を受けた者は、区分に応じた介護給付・予防給付を受けることができる。
- エ第2号被保険者の介護保険料は、加入する医療保険(健康保険・国民健康保険等)の保険者が徴収し、社会保険診療報酬支払基金に納付する。協会けんぽ加入者の介護保険料率は令和8年度1.62%であり、健康保険料と同様に労使折半で負担する。
- オ市町村は、要介護認定を受けた者のうち、要介護3以上の者を対象として「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」への入所申請を優先することを法令で義務づけており、要介護1・2の者は特別養護老人ホームへの入所申請ができない。正答
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正答はオ(誤っている記述)です。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)への入所は、原則として要介護3以上の方が対象です(2015年4月の介護保険法改正以降)。ただし「要介護1・2の方は申請できない」という記述が誤りです。要介護1・2の方でも、認知症・知的障害・精神障害等により居宅での生活が困難な「特例入所」が認められています(老人福祉法・介護保険法施行規則)。申請そのものを禁じているわけではありません。
ア・イ・ウ・エはいずれも正しい記述です。特に介護保険の被保険者区分(第1号=65歳以上・第2号=40〜64歳の医療保険加入者)と、第2号は特定疾病が原因の場合のみ給付対象となる点はよく出題されます。
介護保険の被保険者区分(最重要の対比):
| 区分 | 年齢 | 要件 | 給付の原因要件 |
|---|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 65歳以上 | 市町村の区域内に住所 | 原因を問わず要介護・要支援状態であれば給付対象 |
| 第2号被保険者 | 40〜64歳 | 医療保険加入者(健保・国保等) | 加齢に伴う特定疾病(16疾病)が原因の場合のみ給付対象 |
特定疾病16疾病(主なもの): がん末期・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・脳血管疾患・パーキンソン病・骨折を伴う骨粗鬆症・早老症・脊髄小脳変性症・認知症(若年性アルツハイマー等)・糖尿病性神経障害など
要介護認定の区分と対応給付:
| 認定区分 | 対応する給付 | 主なサービス |
|---|---|---|
| 要支援1・2 | 予防給付 | 介護予防サービス(地域密着型含む) |
| 要介護1〜5 | 介護給付 | 訪問介護・通所介護・施設入所 等 |
第2号被保険者の介護保険料徴収スキーム:
- 協会けんぽ加入者: 健康保険料と一体徴収(労使折半)→ 協会けんぽ→社会保険診療報酬支払基金へ
- 国保加入者: 国保保険料と一体賦課(市町村が徴収)→ 支払基金へ
- 令和8年度の介護保険料率(協会けんぽ): 1.62%(前年1.59%・VolatileBoxキー: KAIGO_RATE)
選択肢オの誤りの詳細(特別養護老人ホーム):
- 原則: 要介護3以上(2015年4月〜)
- 例外(特例入所): 要介護1・2でも「①認知症で日常生活に支障・②知的・精神障害で日常生活に支障・③単身・家族の疾病等で在宅困難」等の場合は特例入所可能
- 「申請ができない」ではなく「原則入所は要介護3以上・例外あり」が正確
【介護保険制度の成立背景と「保険あって介護なし」からの転換】
介護保険は2000年4月に施行された比較的新しい社会保険制度です。施行前の日本の介護は「老人福祉」(措置制度・行政が施設・サービスを決定)と「老人医療」(社会的入院)に分断されており、利用者の選択権がなく、「病院に長期入院」という問題がありました。介護保険の導入により「保険・契約による自由なサービス選択」「ケアマネジャーによるケアプラン作成」「在宅介護の充実」が図られました。
【2024年改正(令和6年)の主な変更点】
2024年(令和6年)施行の介護保険法改正の主な内容(令和8年度試験では現行制度として出題対象):
1. 2割負担者の対象拡大は2024年改定では見送り:物価高騰下での家計影響に配慮し、社会保障審議会介護保険部会で対象拡大が議論されたものの、結論は次期改定(令和9年度/2027年度)までに持ち越し。令和8年度試験基準日(2026-04-10)時点では現行基準(現役並み所得者3割・一定以上所得者2割・それ以外1割)のまま出題対象。
2. 地域包括ケアシステムの深化: 介護予防・日常生活支援総合事業の拡充・共生社会(認知症基本法との連携)
3. 介護情報の収集・提供・活用: 科学的介護(LIFE)データ活用の充実
【第1号・第2号被保険者制度の深層と「特定疾病」の設定根拠】
第2号被保険者が「加齢に伴う特定疾病」の場合のみ給付対象となるのは、介護保険が本来「加齢に伴うリスクの社会的分担」を目的とした制度であるためです。交通事故や精神疾患等は「加齢に伴う」ものでないとして対象外とし、労災・精神科医療・障害福祉の各制度に委ねる設計となっています。
16の特定疾病は「原則として加齢に伴って生じる心身の変化に起因する疾病」という基準で厚生労働大臣が定めます(介護保険法施行規則第140条の62の4)。実務上、40〜64歳で要介護認定を申請する場合、主治医の「特定疾病に該当するか」の意見書が認定の鍵を握ります。
【特別養護老人ホームの要介護3以上原則と「特例入所」の実務】
2015年4月改正(地域医療介護総合確保推進法)で、特別養護老人ホームへの「入所申請要件」が要介護3以上に引き上げられました。改正前は要介護1以上であれば申請可能でした。この改正の背景は「特別養護老人ホームの待機者問題」(全国で数十万人規模の待機者が存在)と「重度者・在宅生活が困難な方を優先する」という政策判断です。
特例入所(要介護1・2での入所)の認定要件(厚生労働省通知):
1. 認知症であり、その症状が日常生活に支障をきたす程度のもの
2. 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障をきたす程度のもの
3. 家族等による深刻な虐待が疑われ、心身の安全・安心の確保が困難な状況
4. 単身で家族がいない・家族が高齢・疾病等により介護力が不足
特例入所は「市町村の意見を聴いたうえで施設が判断する」仕組みであり、要介護1・2の者が「申請できない」わけではありません。この「申請できない」という表現の誤りがオの誤りのポイントです。
【介護保険と社労士試験・上位資格(FP・ケアマネ)との接続】
社労士試験では介護保険が「社一」科目に含まれますが、出題頻度は年金3科目や健保ほど高くありません。ただし「第1号・第2号の区分・特定疾病・要介護認定・費用負担(1割・2割・3割)・地域支援事業」は繰り返し出題されています。
実務上の社労士との関連:
- 会社員が40歳になったとき→自動的に第2号被保険者へ(健康保険料と一体で介護保険料も徴収開始)
- 65歳到達→第1号被保険者へ(市町村が直接保険料を年金天引き(特別徴収)または普通徴収で徴収)
- 社労士が手続き上関与する場面: 給与計算(40歳以降の介護保険料控除の開始・65歳到達月の控除終了)・資格喪失手続き(退職時の健康保険と介護保険の喪失)
FP資格(ファイナンシャルプランナー)とも深く重なる領域で、介護費用の試算・民間介護保険との組み合わせアドバイスは「社労士×FP」のクロスライセンス活用の代表的な場面です。
<!-- 監修確定 2026-06-07(legal-reviser) -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 介護保険法第9条(被保険者)・第41条・第53条(保険給付)・第19条(要介護認定)・第7条(特定疾病)・第16条(被保険者証)・老人福祉法第11条(特別養護老人ホームの入所) 介護保険料率: KAIGO_RATE={{KAIGO_RATE}}(1.62%・令和8年度・協会けんぽ)・一次確認済(協会けんぽ https://www.kyoukaikenpo.or.jp/lp/2026hokenryou/) <!-- 監修確定 2026-06-07:特別養護老人ホームへの原則入所は要介護3以上(2015年4月改正・介護保険法施行規則)。要介護1・2の特例入所(認知症・知的/精神障害・単身/介護力不足等)は厚生労働省老健局通知(老高発0327第1号等)で運用。「申請ができない」は誤り→オが誤答として確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。