賃管士 管理実務 問1:管理実務
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃貸住宅の入居審査に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア入居審査の主な目的は、賃料の支払能力・継続的な居住の安定性を事前に確認し、賃料滞納や建物への損害リスクを低減することである。
- イ入居申込書に記載された個人情報(氏名・住所・勤務先・収入等)は、個人情報保護法の対象となり、取得目的の明示・適正な管理・目的外利用の禁止が求められる。
- ウ賃貸人(オーナー)は、申込者の職業・収入を理由として入居を拒否することができるが、申込者の国籍・人種・民族を理由に入居を拒否することは同様に合法である。正答
- エ家賃債務保証会社の審査を通過した申込者については、賃貸人(オーナー)が独自に追加の入居審査を行うことが認められている。
- オ入居審査において申込者に虚偽の申告(収入・職業・家族構成等)があり、それが重大な欺罔行為であれば、後日賃貸借契約の取消しまたは解除の根拠となる場合がある。
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正答(誤っているもの)はウです。
収入・職業を理由とした入居拒否は私法(民法)上の契約自由として認められる面がありますが、「国籍・人種・民族を理由とした入居拒否」は人種差別撤廃条約・障害者差別解消法の趣旨・住宅セーフティネット法の精神に反する行為であり、社会的に許されない差別的取扱いとして問題となります。「同様に合法である」とするウは誤りです。
ア・イ・エ・オは正しい記述です。入居審査の目的(ア)、個人情報保護法の適用(イ)、保証会社審査後の独自審査の認容(エ)、虚偽申告による契約取消し(オ)はいずれも正しい内容です。
入居審査における主な確認事項:
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 収入・支払能力 | 月収・収入証明・勤務先 |
| 職業・雇用形態 | 会社員・フリーランス・無職等 |
| 家族構成 | 単身・夫婦・家族、ペット |
| 連帯保証人・保証会社 | 保証の確保 |
| 過去の入居トラブル歴 | 滞納・近隣トラブル歴(確認可能な範囲で) |
差別的入居拒否の問題(ウが誤りの理由):
収入・職業を理由とした審査は「契約の相手方を選択する自由」の範囲内として一般的に認められますが、国籍・人種・民族・障害等を理由とした差別的入居拒否は問題です:
- 人種差別撤廃条約(日本が批准)の趣旨に反する
- 障害者差別解消法(合理的配慮義務・令和6年改正で義務化)
- 住宅セーフティネット法の精神(住宅確保要配慮者への配慮義務)
「国籍を理由に断っても合法」とする単純な記述は誤りです。
各選択肢:
- ア(正): 入居審査の目的を正確に記述。
- イ(正): 個人情報保護法の適用を正確に記述。
- ウ(誤・正答): 国籍・人種・民族を理由とした入居拒否は差別問題・「合法」とは言えない。
- エ(正): 保証会社審査後の独自審査は認められる(オーナーの裁量)。
- オ(正): 虚偽申告による契約取消し・解除の可能性を正確に記述。
【入居審査の法的根拠・差別的拒否の問題・個人情報の取扱い・虚偽申告の効果・外国人・高齢者・子育て世帯への対応】
1. 入居審査の法的位置づけ
賃貸借契約は私法上の契約であり、民法上は「契約自由の原則」(民法521条)により、当事者は誰と契約するかを原則として自由に決定できます。したがって、オーナー・管理会社は一定の基準で入居申込者を審査し、基準に合わない場合は契約を断ることができます。
ただし、この「契約自由」は無制限ではなく、公序良俗(民法90条)・差別禁止法令・社会通念の制約を受けます。
2. 差別的拒否の問題(ウの詳細)
差別的入居拒否として問題となる主なケース:
| 拒否理由 | 問題の根拠 |
|---|---|
| 国籍・民族 | 人種差別撤廃条約・社会的差別 |
| 障害(身体・知的・精神) | 障害者差別解消法(令和6年4月から義務化) |
| 生活保護受給 | 住宅セーフティネット法の精神・社会的差別 |
| 子育て世帯 | 子育て支援に反する差別 |
| 高齢者 | 高齢者住まい安心確保法・孤立死リスクを理由にした一律拒否は問題 |
「国籍が外国籍だから一律断る」という対応は法的・社会的に許されない差別です。ウは「同様に合法」としていますが、正確ではありません。
3. 個人情報の取扱い(イの詳細)
入居申込書で収集する個人情報の扱い:
- 取得目的の明示: 「入居審査・賃貸借契約の管理のみに利用」と明記
- 第三者提供の制限: 保証会社・連帯保証人確認先に提供する場合は本人同意が原則(例外あり)
- 安全管理措置: 漏洩・紛失・不正アクセス防止
- 保管期間・廃棄: 入居拒否となった申込書は速やかに適切に廃棄
令和4年(2022年)改正個人情報保護法では、漏洩時の報告義務・外国提供の制限等が強化されています。
4. 虚偽申告の効果(オの詳細)
申込者が虚偽の情報を告知して契約した場合:
- 詐欺による取消し: 民法96条(詐欺による意思表示の取消し)。重大な虚偽で賃貸人を誤信させた場合、契約の取消しが認められる場合あり
- 解除原因: 虚偽申告が「信頼関係破壊」として契約解除の根拠になる場合あり
- 損害賠償: 虚偽申告に基づく損害(滞納による損害等)を請求可能
「収入を多く見せた」「職業を偽った」等の軽微な案件でも、実際に賃料滞納・近隣トラブルが生じた場合の解除交渉において虚偽申告の事実が重要な材料になります。
5. 外国人・高齢者・子育て世帯への対応(住宅セーフティネット法)
令和2年(2020年)施行の住宅セーフティネット法改正では、「住宅確保要配慮者(高齢者・障害者・子育て世帯・外国人等)」への賃貸住宅の供給促進が政策として定められました:
- セーフティネット住宅(登録制度)への登録
- 家賃債務保証の保証料補助
- 居住支援法人(NPO等)との連携
管理業者として、住宅確保要配慮者への合理的配慮(入居後の生活支援・緊急連絡先の確保等)をオーナーに提案することが、社会的責任の観点からも重要です。
6. 入居審査業務のコンプライアンス
管理業者として遵守すべき事項:
- 申込者全員に同一基準で審査を実施(基準の客観化)
- 拒否理由の記録(恣意的・差別的拒否でないことの証拠)
- 個人情報の適切な管理・廃棄
- 差別的拒否を防止するための社内教育
コンプライアンス違反は、管理業法上の処分・損害賠償責任・社会的信用の失墜につながります。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 個人情報保護法(令和4年改正)・障害者差別解消法(令和6年4月義務化)・住宅セーフティネット法確認済。国籍・人種を理由とした一律入居拒否は差別問題(「合法」とは言えない)。正答ウ(誤)維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 個人情報保護法(令和4年改正)・障害者差別解消法・住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法) 確認日: 2026-06-10 出典: 国土交通省 住宅セーフティネット https://www.mlit.go.jp/ 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。