問題
滞納賃料の回収手段としての少額訴訟に関する次のア〜オの記述のうち、民事訴訟法の規定によれば、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオです。
民事訴訟法369条は「少額訴訟においては、反訴を提起することができない」と定めています。被告が原告に別の請求をしたいときは、別に訴えを起こすことになります。
アは誤りで、少額訴訟の対象は訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求です(368条1項)。イは誤りで、同じ簡易裁判所で同じ年に求められる回数に上限があります(368条1項ただし書)。ウは誤りで、申述は訴えの提起の際にしなければなりません(368条2項)。エは誤りで、被告が最初の期日で弁論をした後は移行の申述ができません(373条1項ただし書)。
少額訴訟の主な規定(民事訴訟法):
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 368条1項 | 簡易裁判所で、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求について求めることができる。同じ簡易裁判所で同じ年に最高裁判所規則で定める回数を超えて求めることはできない |
| 368条2項・3項 | 申述は訴えの提起の際にする。その年に少額訴訟を求めた回数を届け出る |
| 369条 | 反訴の禁止 |
| 370条 | 特別の事情がある場合を除き、最初の口頭弁論の期日で審理を完了する |
| 373条1項 | 被告は通常の手続への移行を申述できる。ただし最初の期日で弁論をし、又はその期日が終了した後はできない |
| 377条 | 終局判決に対して控訴はできない |
利用回数の上限は、裁判所の案内では「1人につき同じ裁判所に年間10回まで」とされています。
各選択肢:
- ア(誤): 上限は60万円以下です(368条1項)。
- イ(誤): 回数の上限があります(368条1項ただし書)。
- ウ(誤): 申述は訴えの提起の際にしなければなりません(368条2項)。
- エ(誤): 最初の期日で弁論をした後は移行の申述はできません(373条1項ただし書)。
- オ(正): 369条の条文どおりです。
【少額訴訟の仕組み・回数の上限・通常の手続への移行・判決後の不服申立て】
1. 少額訴訟の位置づけ
少額訴訟は、簡易裁判所で、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求について利用できる手続です(368条1項)。特別の事情がある場合を除いて最初の口頭弁論の期日で審理を完了し(370条1項)、当事者はその期日の前又はその期日にすべての攻撃防御方法を提出しなければなりません(370条2項)。判決の言渡しも、相当でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちにされます(374条1項)。数か月分の滞納賃料の請求は、この金額の範囲に収まれば少額訴訟の対象になります。
2. 回数の上限
368条1項ただし書は、同じ簡易裁判所で同じ年に最高裁判所規則で定める回数を超えて少額訴訟を求めることはできないとし、368条3項はその年に求めた回数の届出を求めています。裁判所の案内では、上限は1人につき同じ裁判所に年間10回とされています。多数の物件の滞納を同じ簡易裁判所に申し立てる場合は、この上限に注意が必要です。
3. 反訴の禁止(369条)
一期日で審理を終える手続であるため、少額訴訟では反訴を提起することができません。被告が原告に対する請求を持つ場合は、別の訴えを起こすことになります。
4. 通常の手続への移行(373条)
被告は通常の手続への移行を申述できますが、最初にすべき口頭弁論の期日で弁論をした後や、その期日が終了した後はできません(1項)。申述があった時に訴訟は通常の手続に移行します(2項)。また裁判所は、368条1項に違反して少額訴訟を求めたとき、回数の届出を命じても届出がないとき、公示送達によらなければ被告を最初の期日に呼び出せないとき、少額訴訟で審理・裁判をするのが相当でないと認めるときは、通常の手続で審理・裁判をする旨の決定をしなければなりません(3項)。この決定には不服を申し立てられません(4項)。移行したときは、少額訴訟のため既に指定した期日は通常の手続のための期日とみなされます(5項)。
5. 判決後の不服申立て
少額訴訟の終局判決に対しては控訴ができず(377条)、その判決をした裁判所に対する異議の申立てによります(378条1項・2週間の不変期間)。適法な異議があると、通常の手続で審理・裁判がされます(379条1項)。
- 民事訴訟法第369条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民事訴訟法第368条(少額訴訟の要件等)・第369条(反訴の禁止)・第370条(一期日審理の原則)・第373条(通常の手続への移行)・第377条(控訴の禁止) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索(法令API v2) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109#Mp-At_368 / https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109#Mp-At_369 / https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109#Mp-At_373 / 利用回数(年10回): 裁判所「少額訴訟」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_02/index.html 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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