賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 管理実務 問4|賃借人の原状回復義務——民法621条の条文構造

問題

賃管士 | 管理実務 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

民法621条(賃借人の原状回復義務)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

民法621条は「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う」と定めています。対象は受け取った後に生じた損傷で、入居前からあった傷は含まれません(ア)。

ウとエは誤りで、通常損耗と経年変化はどちらも除かれています。イは誤りで、賃借人の責めに帰することができない損傷は対象外です(ただし書)。オは誤りで、義務は賃貸借が終了したときに生じます。

民法621条の組み立て:

要素内容
対象となる損傷賃借物を受け取った後に生じた損傷
除かれるもの①通常の使用及び収益によって生じた損耗 ②経年変化
義務が生じる時賃貸借が終了したとき
ただし書損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるときは義務を負わない

各選択肢:

  • ウ(誤): 括弧書で通常損耗と経年変化が除かれています。「あらゆる損傷」ではありません。
  • イ(誤): ただし書により、賃借人の責めに帰することができない事由による損傷は対象外です。
  • ア(正): 条文は「受け取った後にこれに生じた損傷」を対象としており、受け取る前からの損傷は含まれません。
  • エ(誤): 経年変化も括弧書で除かれています。通常損耗と経年変化の扱いは同じです。
  • オ(誤): 条文は「賃貸借が終了したときは」原状に復する義務を負うとしています。

入居時の状態を写真やチェックリストで記録しておくと、退去時に「受け取った後に生じた損傷かどうか」を確かめやすくなります。

【621条の成り立ち・除かれる2つの損耗・帰責事由・関連する規定】

1. 条文で定められた原状回復義務

民法621条は、2020年4月1日に施行された民法(債権関係)の改正で、賃借人の原状回復義務として定められた規定です。それまでは原状回復の範囲を直接定める条文がなく、判例と国土交通省のガイドラインによる実務の考え方が先行していました。現在は、通常損耗と経年変化を原状回復の対象から除くことが条文に書かれています。

2. 通常損耗と経年変化

「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗」は、契約で定めた用法に従って普通に使った結果として生じる損耗です(家具を置いたことによる床のへこみなど)。「経年変化」は、使い方にかかわらず時間の経過で生じる劣化です(日照による壁紙の変色など)。どちらも621条の括弧書で原状回復の対象から除かれており、賃借人は、受け取った後に生じた損傷のうち、この2つに当たらないものを原状に戻す義務を負います。

3. 受け取った後に生じた損傷に限る意味

条文が「賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷」と限っているため、前の入居者の使用による傷など、引渡しの時点で既にあった損傷は、新しい賃借人の原状回復義務の対象になりません。入居時の状態の記録は、この区別を後から確かめるための資料になります。

4. ただし書(帰責事由)

損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるとき(第三者の行為や自然災害など)は、原状回復義務を負いません。賃借人の故意・過失による損傷とは区別されます。

5. 関連する規定

  • 賃借人は、受け取った後に賃借物に附属させた物について、賃貸借が終了したときは収去する義務を負います(622条が準用する599条1項)。
  • 通常損耗を賃借人の負担とする特約を消費者との契約で定める場合は、消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする消費者契約法10条との関係に注意が必要です。
この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第621条(賃借人の原状回復義務) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索(法令API v2) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_621 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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