問題
賃貸住宅の設備故障への対応に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はエです。
賃貸住宅管理業法は24時間緊急受付の設置を義務付けていません。24時間緊急対応の提供は管理業者のサービス・付加価値として位置づけられるものであり、翌日対応が法律違反となるという規定は存在しません。実務上は24時間コールセンターを設けているケースも多いですが、これは法的義務ではありません。
ア〜ウ・オは正しい記述です。修繕義務(民法606条)、賃借人による修繕権(民法607条の2・R2改正)、一部使用不能時の当然賃料減額(民法611条・R2改正)はいずれも試験頻出の重要事項です。
設備故障対応の法的根拠まとめ(民法R2改正が核心):
| 条文 | 内容 | 改正ポイント |
|---|---|---|
| 民法606条 | 賃貸人の修繕義務 | 改正前からの規定 |
| 民法607条の2(新設) | 賃借人による修繕権 | R2改正で明文化(①相当期間通知後修繕なし ②急迫の事情) |
| 民法611条(改正) | 一部使用不能時の賃料減額 | 当然減額(改正前は「請求できる」→改正後は「当然に減額」) |
| 民法611条2項 | 一部が使用できなくなり、残る部分だけでは賃借の目的を達成できない場合 | 賃借人の解除権 |
各選択肢の解説:
- エ(誤・正答): 賃貸住宅管理業法には24時間緊急受付の法的義務はない。管理業者が任意に提供するサービスで、法律上の義務付けはない。
- ア(正): 民法606条の修繕義務。エアコン・給湯器等の設備は目的物の一部として修繕義務の対象。
- イ(正): 民法607条の2(R2新設)。①相当期間内に修繕されない場合・②急迫の事情(漏水・停電等)いずれかで賃借人が自ら修繕し、費用を請求できる。
- ウ(正): 民法611条(R2改正)。改正前の「減額請求できる」から「当然に減額される」に変更。賃借人の請求を待たずに自動的に減額される点が重要(ただし賃借人帰責事由は除く)。
- オ(正): 給湯器の故障で入浴できない状態は611条1項の「一部使用不能」に当たりうる。賃借人の責めに帰する事由によらなければ、使用できない部分の割合に応じて賃料は当然に減額されるので、その減額を求めることができる(催告は減額の要件ではない)。
【設備故障対応の深層——民法R2改正の実務影響・故障時の責任分担・修繕費負担の計算・緊急対応体制の設計】
民法R2改正(2020年4月施行)が設備故障実務に与えた影響:
民法607条の2と611条の改正は、設備故障への対応に大きな変化をもたらしました。
改正前後の比較:
| 論点 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 賃借人による修繕 | 明文規定なし(判例で一部認定) | 607条の2で明文化(2要件のいずれかで修繕権発生) |
| 一部使用不能時の賃料 | 「減額請求できる」(請求が必要) | 「当然に減額される」(請求不要・自動的に減額) |
| 全部使用不能 | 判例で賃貸借は終了 | 616条の2で明文化(賃貸借は当然に終了) |
| 一部使用不能で目的を達成できない | 滅失の場合に解除可 | 611条2項で「その他の事由」にも拡大(賃借人の解除権) |
「当然に減額」の実務への影響は大きく、故障が長期化している場合、賃借人が気づかずに払い続けた賃料については遡及して返還請求できる可能性があります。管理業者は故障発生を把握した時点で速やかに修繕対応を取ることが、過大な賃料返還リスクの回避にも直結します。
修繕費の負担区分(賃貸人 vs 賃借人):
| 故障の原因 | 費用負担 |
|---|---|
| 経年劣化・自然摩耗 | 賃貸人負担(修繕義務の範囲内) |
| 賃借人の使用上の過失(水没・転倒等) | 賃借人負担(善管注意義務違反) |
| 賃借人が通知せずに放置して悪化 | 放置による拡大損害は賃借人負担 |
| 賃借人が607条の2で自己修繕した場合 | 賃貸人が費用を償還 |
実務上、修繕義務の有無が争われる主な設備:
- エアコン: 設備として提供されている場合は賃貸人負担。賃借人自ら設置したエアコンは自己負担。
- 給湯器・ガスコンロ: 設備として提供されていれば賃貸人負担。
- 鍵・錠前: 故障(経年劣化)は賃貸人負担・紛失は賃借人負担。
- 水栓・パッキン: 消耗品的なパッキンは境界線が微妙(実務上は小修繕特約で対応)。
小修繕の特約と業法の関係:
賃貸借契約書に「軽微な修繕は賃借人が費用を負担する」旨の特約(小修繕特約)を設けることは一般的です。ただし「軽微」の範囲が不明確だと紛争化します。国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、判例等において、一定範囲の修繕(小修繕)を賃借人負担とする旨の特約は、単に賃貸人の修繕義務を免除する意味しか有しないとされていると説明しています。
緊急修繕体制の設計(管理業者の実務標準):
管理業者が推奨される緊急対応体制(法的義務ではなく品質基準として):
| 時間帯 | 推奨対応 |
|---|---|
| 平日昼間 | 担当者が即日対応(修繕業者手配) |
| 平日夜間・休日 | 緊急コールセンター経由で判断(入居に直接影響する故障は即日手配) |
| 深夜・早朝 | 漏水・停電・ガス漏れ等は24時間対応が業界標準 |
実務上、管理委託契約書に「緊急修繕の対応方針」を明記し、オーナーと管理業者の役割分担(発注権限・費用承認)を事前に定めておくことが紛争防止になります。費用が一定額(例: 10万円)以下は管理業者が即時手配し、超過分はオーナー承認を得る、という運用が多く採用されています。
賃料減額の計算実務:
「使用できなくなった割合に応じて」(民法611条)の計算は、室内の面積・設備の種類・生活への影響度等を考慮します。たとえば:
- 給湯器故障(入浴不能): 生活への影響の程度と使用できない期間に応じて個別に判断される
- 雨漏りで一部屋が使用不能: 使用できない部分の割合(面積等)を参考にする
- エアコン故障(夏季): 時期によって生活への影響が大きく異なることが考慮されうる
実務的な合意形成においては、費用修繕の迅速な実施で賃料減額期間を最小化することがオーナー・管理業者双方のリスク管理につながります。
- 民法第606条・第607条の2・第611条e-Govで原文を読む
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第606条(修繕義務)/民法第607条の2(賃借人による修繕・R2改正)/民法第611条(賃料減額・R2改正)/賃貸住宅管理業法 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 民法 https://elaws.e-gov.go.jp/ 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

