賃管士 管理実務 問71:管理実務(リフォーム・改修)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃貸住宅の耐震性能と老朽化対応に関する次のア〜オの記述のうち、**最も適切なもの**はどれか。
- ア昭和56年6月(1981-06-01施行日(昭和56年6月1日))以前に建築確認を受けた建物(旧耐震基準)は、現在の耐震基準(新耐震基準)を満たしていないため、全て危険建物として強制的に解体が命じられる。
- イ建築物耐震改修促進法に基づく耐震診断・改修は、民間建築物(賃貸住宅等)に対しては努力義務または自治体による指導の対象となる場合があるが、一定規模以上の特定建築物には義務が課される。正答
- ウ旧耐震建物(1981-06-01施行日(昭和56年6月1日)以前)に居住する賃借人は、賃貸人の耐震改修義務不履行を理由として、直ちに賃料支払いを停止することができる。
- エ耐震診断の結果、Is値(構造耐震指標)が0.6を下回った場合、建物の取壊し・立退きは法律上不可欠であり、オーナーは即時に入居者を退去させなければならない。
- オ国土交通省・地方公共団体は、民間賃貸住宅の耐震改修に対して補助金・融資制度を設けており、管理業者はオーナーに対して耐震改修補助の活用を提案することができる。
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正答はイです。
耐震改修促進法により、一定規模以上の特定建築物(多数の人が利用する施設等)には耐震診断・改修の義務が課されます。一方、一般の民間賃貸住宅については努力義務または自治体の指導の対象となるにとどまり、法律上の強制義務は限定的です。
アは誤りです。旧耐震建物に対して強制解体命令が出るわけではありません(個別の安全性確認が必要)。
ウは誤りです。耐震改修義務不履行を理由に直ちに賃料支払いを停止できるわけではありません(民法611条の一部使用不能・使用目的の支障等の要件が必要)。
エは誤りです。Is値0.6未満でも即時強制退去義務はなく、補強・改修・建替えのいずれかを選択できます。
オは正しい内容ですが、最も法的に正確なのはイです。
耐震基準の区分と旧耐震建物の扱い:
| 区分 | 建築確認時期 | 耐震基準の内容 |
|---|---|---|
| 旧耐震基準 | 1981-06-01施行日(昭和56年6月1日)以前 | 震度5強程度の地震に倒壊しない(中小地震対応)|
| 新耐震基準 | 1981-06-01施行日(昭和56年6月1日)以降 | 震度6強〜7程度でも倒壊しない(大地震対応)|
耐震改修促進法の適用区分:
| 対象 | 義務 |
|---|---|
| 特定建築物(学校・病院・百貨店等・床面積等の一定要件)| 耐震診断義務・報告義務(義務的・公表あり)|
| 要緊急安全確認大規模建築物 | 耐震診断義務 |
| 一般の民間賃貸住宅 | 努力義務(自治体の指導の対象)・補助制度の活用 |
Is値と改修の目安:
| Is値 | 耐震性の評価 |
|---|---|
| 0.6以上 | 耐震性あり(概ね安全)|
| 0.3〜0.6 | 耐震性が低い(大地震で倒壊の可能性)|
| 0.3未満 | 耐震性が極めて低い(大地震で倒壊の可能性が高い)|
各選択肢の解説:
- イ(正): 特定建築物への義務・一般民間賃貸への努力義務の正確な区分。
- ア(誤): 旧耐震建物に強制解体命令は出ない(個別状況による)。
- ウ(誤): 耐震改修義務不履行での賃料即時停止は不可(別途民法上の要件が必要)。
- エ(誤): Is値0.6未満でも即時強制退去義務はない。
- オ(正方向): 補助制度の活用提案は正しいが、最も法的に正確な答えはイ。
【耐震対応の深層——旧耐震建物の法的リスク・耐震診断の義務化スケジュール・改修補助制度・入居者への説明義務・耐震改修後の賃貸価値向上】
旧耐震建物の法的リスクの全体像:
旧耐震建物(1981-06-01施行日(昭和56年6月1日)以前)のオーナーが抱えるリスク:
1. 大地震時の倒壊リスク: 入居者が死傷した場合の損害賠償・刑事責任(工作物責任・民法717条)
2. 競売・売却時の評価低下: 旧耐震は価格査定で大幅減額
3. 借入時の担保評価: 金融機関が旧耐震は担保価値を低く評価
4. 保険の問題: 地震保険料が高い・再建設時の保険金が少ない
5. 重要事項説明での告知義務: 耐震診断結果の有無・既存不適格の説明義務
重要事項説明における耐震診断(宅建業法35条):
宅建業法の重説では「耐震診断の内容」が記載事項となっています:
- 耐震診断を受けていない場合: 「未実施」と記載
- 耐震診断を受けた場合: 結果(Is値等)を記載・説明
- 入居者は重説を通じて物件の耐震性を把握する機会を持つ
耐震改修補助制度の活用(管理業者からオーナーへの提案):
| 補助・融資 | 内容 | 問合せ先 |
|---|---|---|
| 国の補助(耐震改修促進法)| 耐震診断・改修費用の一部補助 | 各都道府県・市区町村 |
| 地方自治体の補助 | 自治体ごとに異なる補助率・上限額 | 各市区町村建設・住宅担当 |
| 住宅金融支援機構のフラット35 | 耐震性能評価が高い物件への優遇融資 | 住宅金融支援機構 |
| 省エネ改修との組合せ | 耐震+省エネ改修の組合せ補助(ZEH等)| 環境省・国交省 |
耐震改修後の賃貸価値向上:
耐震改修を実施した場合のメリット:
1. 賃料プレミアム: 「耐震基準適合」を訴求した賃貸募集が可能
2. 入居者安心感の向上: セキュリティ・安全性の訴求が競合との差別化
3. 長期保有価値の維持: 資産価値の低下抑制
4. 火災保険・地震保険の優遇: 耐震性能向上で保険料が下がる場合あり
旧耐震建物の既存不適格(建築基準法3条):
旧耐震建物は新耐震基準を充足していない場合でも、建築基準法3条の「既存不適格」として従来の耐震基準でそのまま使用できます。ただし、大規模修繕・用途変更等の際に新耐震基準への対応が求められる場合があります:
| 工事の種類 | 新耐震基準への対応 |
|---|---|
| 内装・設備のみの改修 | 対応不要 |
| 大規模修繕(主要構造部1/2超)| 対応必要 |
| 用途変更(200㎡超・店舗→住宅等)| 確認申請が必要(場合により新耐震対応要)|
管理業者はオーナーの旧耐震建物に対して耐震診断の実施を定期的に提案し、診断結果に基づいた改修計画の策定を支援することが、長期的な資産管理の観点から重要な役割です。
<!-- 独自性ログ: 建築物の耐震改修の促進に関する法律・建築基準法3条(既存不適格)・民法717条(工作物責任)を一次ソースに独立創作。特定建築物の義務と一般民間賃貸の努力義務の区分を正答核心として設計。VolatileBoxキー(SHIN_TAISHIN_DATE=1981-06-01)使用。旧耐震のリスク・改修補助・既存不適格を advanced で深掘り。過去問文面の複製なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)/建築基準法第20条(構造耐力) 確認日: 2026-06-10 出典: 国土交通省 耐震改修促進法 https://www.mlit.go.jp/ 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。