賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 管理実務 問73|建物明渡しの強制執行——民事執行法168条の方法・債権者の出頭・目的外動産の扱い

問題

賃管士 | 管理実務 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

賃貸借の解除後に賃借人が退去しない場合の明渡しと強制執行に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

退去しない賃借人を出て行かせるには、確定判決などの債務名義に基づいて強制執行を申し立てる必要があります。建物の明渡しの強制執行は、執行官が債務者の占有を解いて債権者に占有を取得させる方法で行います(民事執行法168条1項)。

ウは誤り(鍵の交換などによる締め出しは自力救済で許されない)。イは誤り(債権者又は代理人の出頭が必要・168条3項)。エは誤り(まず債務者等に引き渡す・168条5項)。オは誤り(仮処分の執行がないと第三者に当然には執行できない)。

建物明渡しの強制執行(民事執行法168条):

項目条文内容
方法168条1項執行官が債務者の占有を解いて債権者に占有を取得させる
出頭168条3項債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り行える
目的外動産168条5項取り除いて債務者・代理人・同居の親族等に引き渡す。引き渡せないときは売却できる
保管168条6項引渡しも売却もしなかった動産は執行官が保管する

占有移転禁止の仮処分(民事保全法62条):

仮処分命令の執行がされると、債権者は本案の債務名義に基づき、①執行を知って占有した者、②執行後に知らずに債務者の占有を承継した者に対しても明渡しの強制執行ができます。

各選択肢:

  • ア(正): 168条1項のとおり。
  • ウ(誤): 法の手続によらない締め出しは自力救済であり許されない。
  • イ(誤): 168条3項に反する。
  • エ(誤): 168条5項・6項に反する。
  • オ(誤): 62条の効果は仮処分の執行があってはじめて生じる。

【明渡しの強制執行の流れを条文で押さえる】

1. 強制執行の方法と執行官の権限(168条1項〜4項)

168条1項は「不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う」と定めています。執行官は、占有者を特定するため、その場にいる者に質問し又は文書の提示を求めることができ(2項)、債務者の占有する不動産に立ち入り、必要があれば閉鎖した戸を開くための処分ができます(4項)。一方で、この強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り行うことができます(3項)。

2. 目的外動産の扱い(168条5項〜8項)

執行官は、目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族・使用人その他の従業者で相当のわきまえのある者に引き渡さなければなりません(5項前段)。引き渡すことができないときは売却することができ(5項後段)、引渡しも売却もしなかった動産は保管しなければなりません(6項)。保管の費用は執行費用となり(7項)、売却したときは売得金から売却・保管の費用を控除した残余を供託します(8項)。「直ちに廃棄」とする規定はありません。

3. 明渡しの催告(168条の2)

執行官は、明渡しの強制執行の申立てがあったとき、引渡し期限(原則として催告の日から1月を経過する日)を定めて明渡しの催告をすることができます。催告があると債務者は占有を移転してはならず(5項)、催告後に占有が移転しても、引渡し期限までは新たな占有者に対して強制執行ができます(6項)。

4. 占有移転禁止の仮処分(民事保全法62条)

訴訟の前や途中で占有者が入れ替わると、賃借人に対する判決だけでは新たな占有者に執行できない事態が起こり得ます。占有移転禁止の仮処分命令の執行がされていれば、債権者は本案の債務名義に基づき、執行を知って占有した者や、執行後に知らずに債務者の占有を承継した者に対しても明渡しの強制執行ができ(62条1項)、執行後に占有した者は執行を知って占有したものと推定されます(62条2項)。オは、この仮処分の役割を否定している点で誤りです。

5. 管理業者の役割

解除から明渡しまでの手続(解除の通知、任意の交渉、必要に応じた占有移転禁止の仮処分、明渡請求訴訟、強制執行)は、弁護士と連携して法の手続に従って進めることが前提です。鍵の交換や荷物の搬出などの自力救済は、管理業者自身の責任も問われる行為であり、行ってはなりません。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民事執行法168条1項・3項・5項・6項(不動産の引渡し等の強制執行)・168条の2(明渡しの催告)、民事保全法62条(占有移転禁止の仮処分命令の効力) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索 民事執行法 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004#Mp-At_168 / 民事保全法 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091#Mp-At_62(法令API v2で全文取得・条文照合) 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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