第二種電工 検査・法令 問73:検査・法令
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
低圧の機械器具の鉄台や金属製外箱に施す D 種接地工事の接地抵抗値として、正しいものはどれか。
- ア10Ω 以下
- イ100Ω 以下正答
- ウ300Ω 以下
- エ500Ω 以下
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠(電気設備技術基準・内線規程・電気工事士法・電気用品安全法)も明記。
接地工事(アース工事)にはA・B・C・D種の4種類があり、D種接地工事は低圧(600V以下)の機械器具の金属製外箱・鉄台などに施す接地工事で、接地抵抗は 100Ω 以下が基準(正答イ)。D種は「D = Does not exceed 100Ω(100Ω以下)」と覚えると良い。ア(10Ω)はC種(300V超低圧機器)の基準値。ウ(300Ω)・エ(500Ω)は規定値に存在しない。接地の目的は漏電時に人体への感電を防ぐために電流を大地に逃がすこと。接地抵抗が低いほど漏電電流が大地に流れやすく安全性が高まる。
接地工事の種類・適用箇所・抵抗値基準を整理する問題。
【接地工事の種類と規定値(電技解釈第 17 条)】
| 種類 | 接地抵抗値 | 接地線の最小太さ | 主な適用箇所 |
|---|---|---|---|
| A種 | 10Ω 以下 | 2.6mm(5.5mm²)以上 | 高圧・特別高圧機器の外箱・鉄台 |
| B種 | 変圧器1次側地絡電流で決まる値 | 4mm(16mm²)以上 | 変圧器低圧側の中性点または1端子 |
| C種 | 10Ω 以下 | 1.6mm(2mm²)以上 | 300V超低圧機器の外箱・鉄台 |
| D種 | 100Ω 以下 | 1.6mm(2mm²)以上 | 300V以下低圧機器の外箱・鉄台 |
本問:低圧(300V 以下)機械器具の外箱 → D種接地工事 → 100Ω 以下(正答イ)
【D種接地工事の適用例】
- 100V・200V のエアコン・洗濯機・電子レンジ等の金属製外箱
- 低圧電動機(200V 以下)の鉄台
- 金属製分電盤の外箱(鉄製)
- コンセントのアース端子(D種接地)
【誤答分析】
ア(10Ω):A種・C種の基準値(D種より厳しい)
イ(100Ω):正答(D種接地工事)
ウ(300Ω):電技解釈に存在しない値
エ(500Ω):電技解釈に存在しない値
【補足:低圧電気設備技術基準への整合】
D種接地工事(100Ω以下)は漏電遮断器(ELCB)と組み合わせる場合、500Ω以下への緩和が認められる場合がある(漏電遮断器が作動するため)。ただし原則値は 100Ω 以下。
接地工事の種類・規定値の設計思想・B種接地の計算・漏電遮断器との組み合わせ・実務判断まで体系的に整理する。
【接地工事の設計思想(なぜ種類ごとに値が違うか)】
接地工事の目的:
①感電防止:機器外箱への漏電時、人体と大地の間の電流を制限
②地絡保護:地絡電流を確実に大地に流し、保護装置(ELCB・ヒューズ)を確実に動作させる
③電磁ノイズ抑制:高周波ノイズの大地への帰路提供
接地抵抗値の設計根拠:
人体の安全電流 = 30mA 以下(IEC 基準)
人体抵抗 = 約 1kΩ(乾燥時)〜500Ω(湿潤時)
機器外箱の対地電圧(漏電時)= I_leak × R_ground
D種(100Ω)での漏電時の外箱電圧:
漏洩電流 I_leak が 1mA(最小感知電流)のとき:
V_外箱 = 0.001A × 100Ω = 0.1V(安全)
しかし電路短絡(全漏電)時には電圧が上がるため、漏電遮断器(ELCB)との組み合わせが実際の安全確保の中心。
【B種接地工事の計算式】
B種接地は変圧器低圧側の中性点(または1端子)に施す特殊な接地:
接地抵抗の最大値 R_B = 150 / I₁(I₁:高圧・特別高圧側の1線地絡電流 [A])
(高圧地絡時に低圧側の対地電圧が 150V 以下になるようにするための規定)
例:高圧 6600V 系統の1線地絡電流 I₁ = 5A の場合:
R_B ≤ 150/5 = 30Ω
高速遮断する場合の緩和(地絡継電器が 1秒以内に遮断):
R_B ≤ 600 / I₁(1秒以内)
R_B ≤ 300 / I₁(2秒以内)
B種接地線の最小太さ:4mm(16mm²)以上(大電流の帰路になるため太い線が必要)
【C種とD種の比較(300Vを境に区分)】
C種(300V超低圧・10Ω以下):
- 使用電圧 300V 超の機器(例:440V 三相電動機)
- 漏電時の外箱電圧が D種より高くなりやすいため、より低い接地抵抗が必要
- 高圧接地(A種)と同じ基準値(10Ω)← 漏電時の危険度が高いため
D種(300V以下低圧・100Ω以下):
- 一般家庭・事務所の機器(100V・200V)
- 漏電遮断器(ELCB)の設置により 500Ω 以下への緩和が認められるケースあり
【漏電遮断器(ELCB)との組み合わせ(電技解釈第 36 条)】
漏電遮断器の設置条件:
定格感度電流:一般 30mA、高感度 15mA(プール・浴室等)、超高感度 10mA
動作時間:0.1秒以内(高速型)
ELCB + D種接地(緩和適用):
漏電遮断器が 30mA で 0.1 秒以内に遮断できる場合 → D種接地を 500Ω に緩和
この場合の漏電時の最大外箱電圧 = 0.03A × 500Ω = 15V(安全上許容)
実務上の設置基準:
一般家庭のコンセント回路 → ELCB(漏電遮断器)+ D種接地(100Ω → 緩和で 500Ω)
医療用コンセント → 超高感度 ELCB(10mA)+ 接地(より低い抵抗値推奨)
【接地工事の施工方法(実務)】
接地極の設置(電技解釈第 18 条):
①接地棒(銅棒・鉄棒)を地中深く打ち込む(最低 75cm 以上)
②接地板(銅板・亜鉛鉄板)を地中に埋設
③接地網(複数の接地棒を連結)で抵抗を低減
接地抵抗の低減方法:
接地棒を深く打つ・複数本連結・接地抵抗低減剤(電解質)を周囲に散布
接地抵抗の測定(接地抵抗計・アーステスター):
コールラウシュブリッジ法(3端子法):補助電極 P・C を使い、被測定接地極 E の抵抗を測定
P・E・C の距離:E-P 間 5m 以上・P-C 間 5m 以上の三角形配置が標準
測定タイミング:接地工事完成後・定期点検(A・B・C・D種全て)
【電験三種への接続】
電験三種「法規」:接地工事の種類・抵抗値規定(電技解釈第 17 条)・B種接地の計算式・漏電遮断器との組み合わせが頻出。「理論」:接地抵抗の測定原理(コールラウシュブリッジ)・地絡電流の計算(対地電圧・接地抵抗・地絡電流の関係)。
第二種電気工事士では「A種=10Ω・C種=10Ω・D種=100Ω・B種=計算値」の4種類の接地工事基準を完全暗記することが必須。特にD種(100Ω)は最も出題頻度が高く、「100V・200V の一般的な電気機器のアース」という実務上の基本知識と結びつけて覚えることが合格の近道。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。