第二種電工 検査・法令 問75:検査・法令
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
B 種接地工事に関する記述として、正しいものはどれか。
- ア低圧電動機(使用電圧 200V)の鉄台に施す接地工事である
- イ接地抵抗値は 100Ω 以下と定められている
- ウ高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側の中性点(または1端子)に施す接地工事である正答
- エ特別高圧機器の外箱に施す接地工事であり、接地抵抗値は 10Ω 以下である
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B種接地工事は「高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側の中性点(または一端子)に施す」特殊な接地工事(正答ウ)。目的は「高圧側の絶縁が破れた場合でも低圧側の電圧が異常に上昇しないよう、低圧側の電位を大地に固定する」こと。接地抵抗値は「150 ÷ 1線地絡電流 [A]」の計算式で求める可変の値(固定された 100Ω ではない)。アは低圧電動機への接地 → D種が正しい。イは D種(100Ω)の値を混同。エは A種接地(高圧機器の外箱に 10Ω)の説明で、B種とは異なる。
B種接地工事の施工箇所・目的・抵抗値の計算式を整理する問題。
【B種接地工事の概要(電技解釈第 17 条)】
施工箇所:
高圧電路と低圧電路を結合する「変圧器の低圧側の中性点または1端子」
目的(正答ウの根拠):
①高圧電路の絶縁破壊(高圧と低圧の混触)時に、低圧側の電圧上昇を抑制
②低圧電路に接続される機器・人体を高電圧から保護
③変圧器二次側(低圧側)の電位を大地に固定(基準電位の確保)
【B種接地抵抗値の計算式】
R_B = 150 / I₁ [Ω](I₁:高圧側の1線地絡電流 [A])
ただし高速遮断装置(地絡継電器)で遮断時間を制限した場合:
1秒以内:R_B = 600 / I₁
2秒以内:R_B = 300 / I₁
例:高圧側1線地絡電流 I₁ = 3A の場合:
R_B = 150/3 = 50Ω
→ B種接地抵抗は固定値ではなく「計算で求める値」(選択肢イの 100Ω は誤り)
【各選択肢の判定】
ア:低圧 200V 電動機 → D種接地(100Ω以下)が正しい
イ:B種の抵抗値は「150/I₁」で計算する → 100Ω は D種の値(誤り)
ウ:変圧器低圧側の中性点への接地 → 正答
エ:特別高圧機器の外箱 → A種接地(10Ω)が正しい(B種ではない)
【B種接地線の規格】
最小線径:4mm(断面積 16mm²)以上(A種・C種・D種より太い)
太い理由:高圧混触時に大電流が流れる可能性があるため
B種接地の設計計算・混触事故のメカニズム・変圧器接地と系統設計まで体系的に整理する。
【B種接地工事の必要性(高圧混触事故)】
高圧(6600V)と低圧(200V)を変圧器で接続している電気設備で、変圧器内の絶縁が破壊して高圧側と低圧側が「混触」した場合:
B種接地なし(低圧側が大地から浮いている場合):
低圧側の対地電圧 = 6600V 側の電圧がそのまま低圧側に現れる可能性
→ 低圧機器・照明・コンセントが 6600V 充電 → 感電・火災・爆発
B種接地あり(低圧側中性点を R_B で大地に接続):
混触時に高圧側の電流が B種接地 R_B を通じて大地に流れる
低圧側の対地電圧上昇 = I_混触 × R_B ≤ 150V(設計目標)
→ 人体が危険な高電圧に接触するリスクを大幅に低減
設計式 R_B = 150 / I₁ の意味:
150V(目標最大対地電圧上昇)= I₁(1線地絡電流)× R_B
→ 高圧側で地絡(混触)したとき流れる電流 I₁ で、大地電位が 150V 以上上昇しないように R_B を制限
【1線地絡電流 I₁ の計算(参考)】
高圧配電線(6600V)の1線地絡電流は主に「対地静電容量を通じた充電電流」:
I₁ = V_line × ω × C_S(C_S:配電線の対地静電容量)
高圧配電線は数百 μF/km の対地容量を持ち、商用周波数(50Hz)で数 A〜数十 A の地絡電流が流れる。
この値が大きいほど B種接地抵抗を低くする必要がある(R_B = 150/I₁ が小さくなる)。
実際の計算例:
6600V 配電系統・ケーブル長 1km・対地静電容量 C_S = 0.3μF/km
I₁ = √3 × 6600/(√3) × 2π × 50 × 0.3×10⁻⁶ = 6600 × 314 × 0.3×10⁻⁶ ≒ 0.62A
R_B = 150/0.62 ≒ 242Ω
→ この例では B種接地は 242Ω 以下であれば合格。
【B種接地と保護システムの全体設計】
変電所(キュービクル)の標準的な保護システム:
①過電流保護:高圧側の過電流継電器(OCR)+ 高圧遮断器(VCB)
②地絡保護:地絡方向継電器(DGR)+ VCB で高圧側を遮断
③B種接地:変圧器低圧側の中性点 → 地絡時の低圧側電位上昇を抑制
④漏電遮断器(ELCB):低圧側の漏電を 30mA 以下で遮断(人身保護)
B種接地と DGR の連携:
DGR が検出した地絡を 0.5〜1 秒で遮断する場合 → R_B = 600/I₁(より緩い値でOK)
DGR が 2 秒以内に遮断 → R_B = 300/I₁
【B種接地工事の施工と測定】
施工場所:変圧器の低圧側 Y 結線の中性点端子(△結線の場合は1相の一端子)
施工方法:
①銅板(300cm²以上)または連結接地棒を大地に埋設
②接地線(4mm以上・緑/緑黄のビニル絶縁電線)を中性点端子に接続
③接地端子台(TB)を経由して接地抵抗計で測定できる構造にする
測定:
年次点検で接地抵抗を測定し、計算値(R_B = 150/I₁)以下であることを確認
測定記録を電気主任技術者が管理・保存
B種接地の劣化要因:
接地極の腐食(特に湿気の多い土壌)・接地線の腐食・接続部の緩み
定期的な接地抵抗測定と目視点検が重要
【等電位ボンディングと建物全体の接地設計(IEC 60364)】
現代の建物電気設計では「等電位ボンディング」の考え方が普及:
B種接地・D種接地・C種接地・避雷針接地を「共通接地母線(MEW)」で統合
→ 全導電性部材が同一電位 → 人体が複数の導電部に同時接触しても電位差ゼロ → 感電防止
「共通接地方式」では B種・D種を物理的に接続 → 互いの電位を均一化
注意:共通接地方式ではどの接地極の抵抗が最も支配的かを設計で確認
【電験三種への接続】
電験三種「法規」:B種接地の施工箇所・計算式(R_B = 150/I₁)・高速遮断時の緩和値(300・600/I₁)が計算問題として出題。「理論」:変圧器の混触事故モデル・1線地絡電流の計算。「電力」:高圧配電系統の対地静電容量・地絡継電器の動作・系統接地の設計。
第二種電気工事士では「B種接地 = 変圧器低圧側の中性点」「抵抗値は 150/I₁ で計算(固定値ではない)」「接地線は 4mm(16mm²)以上と太い」の3点を確実に覚えることが基礎。A・B・C・D種の4種類の接地を全て正確に区別できるようにすることが合格への道。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。