第二種電工 電気の基礎理論 問41:電気の基礎理論
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
最大値が 141V の正弦波交流電圧の実効値 [V] として、最も近いものはどれか。ただし √2 ≒ 1.41 とする。
- ア71
- イ100正答
- ウ141
- エ200
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交流電圧の「実効値」は、交流が直流と同じ発熱効果をもたらす電圧値のこと。正弦波では実効値=最大値 ÷ √2 という関係がある。最大値が 141V のとき、実効値 = 141 ÷ 1.41 ≒ 100V(正答イ)。私たちが普段使っている「100V コンセント」の 100V がまさにこの実効値。電気機器の定格電圧・家庭用電源の表示は実効値で行われる。最大値(約 141V)は瞬間ピーク電圧であり、実際には波形が山と谷を繰り返している。
交流の実効値と最大値の関係を問う基本問題。
【正弦波の実効値定義】
実効値 V_rms は「交流電圧の 2 乗の平均値の平方根(Root Mean Square)」。
正弦波 v(t) = V_max × sin(ωt) の場合:
V_rms = V_max / √2 ≒ V_max / 1.414
【本問の計算】
V_max = 141V
V_rms = 141 / √2 = 141 / 1.41 ≒ 100V(正答イ)
逆に:V_max = V_rms × √2 = 100 × 1.41 ≒ 141V
【家庭用電源との対応】
日本の家庭用電源:100V(実効値)
最大値:100 × √2 ≒ 141V
この 141V が電気機器の絶縁設計の基準電圧になる。
【各電気量の実効値と最大値の関係】
| 電気量 | 最大値 | 実効値 |
|---|---|---|
| 100V 電源(電圧) | 141V | 100V |
| 200V 電源(電圧) | 283V | 200V |
| 20A 回路(電流) | 28.3A | 20A |
【誤答の罠】
ウ(141):最大値そのまま(実効値と最大値を混同)
エ(200):100 × 2 = 200 と誤計算(√2 ではなく 2 で割った逆)
実効値(RMS 値)の概念は交流回路の電力計算・絶縁設計・計測器の設計に深く関わる。その数学的根拠と実務的応用を体系的に整理する。
【実効値の数学的定義】
正弦波電圧 v(t) = V_max sin(ωt) の実効値は:
V_rms = √(1/T ∫₀ᵀ v²(t) dt)
計算:
∫₀ᵀ sin²(ωt) dt = T/2(半周期ごとに正になる sin²の面積)
V_rms = √(V_max² × T/2 / T) = V_max / √2
これは「交流と同じ発熱効果を発生させる直流電圧」と等価であることを示す。
100V 交流電源に 1Ω の抵抗を接続した場合の消費電力:P = V_rms² / R = 100²/1 = 10kW
→ 100V 直流を同じ抵抗に加えたときと等しい。
【実効値の物理的意義】
① 発熱等価:交流機器の消費電力 P = V_rms × I_rms × cosφ(力率 cosφ は後述)
② 絶縁設計基準:コンセント・電線・スイッチは実効値ではなく最大値(ピーク電圧)に対して絶縁耐力が必要。100V 回路でも 141V に耐える絶縁が必要。
③ 電圧計の読み値:市販の交流電圧計は実効値を表示するよう設計されている(平均値検波・RMS 演算内蔵)。
【波形ファクタ・クレストファクタ】
正弦波以外の交流波形(矩形波・三角波・台形波等)では実効値が異なる。
| 波形 | 最大値との比(実効値/最大値) | 備考 |
|---|---|---|
| 正弦波 | 1/√2 ≒ 0.707 | 家庭用電源 |
| 矩形波 | 1(= 1/1) | 全電力がピーク状態 |
| 三角波 | 1/√3 ≒ 0.577 | |
| 半波整流 | 1/2 | |
インバータ出力・UPS 出力・太陽光パワコン出力の波形歪み(THD:全高調波歪み率)が大きいと実効値の算出が複雑になり、計測器の選択も重要になる。
【力率と有効電力・無効電力】
交流回路には抵抗のほかコイル(インダクタンス)とコンデンサ(キャパシタンス)が加わると電流と電圧の位相がずれる(位相差 φ)。
有効電力(実際に仕事をする電力):P = V_rms × I_rms × cosφ [W]
無効電力(仕事をしない電力):Q = V_rms × I_rms × sinφ [var]
皮相電力:S = V_rms × I_rms [VA]
力率 cosφ = P/S = 有効電力/皮相電力。力率 1.0 が最良(抵抗負荷)、モーターやトランスは力率 0.8 程度になりやすい。
【測定器の種類と実効値測定】
電気工事の現場でよく使われる測定器の特性:
① 整流型電圧計:半波または全波整流した平均値を測定し、正弦波のみ実効値に換算して表示(波形が歪むと誤差が出る)
② 熱電型電圧計:実際の発熱(I²R)を利用して真の実効値を測定。波形によらず正確だが温度変化に敏感
③ デジタルマルチメータ(True-RMS):A/D 変換後に波形の RMS を演算する最も精度の高い測定方式。インバータ出力・太陽光パワコン出力の測定に必須
電気工事士試験では「電圧計は実効値を指示する」という原則の理解が求められる。
【100V 回路の絶縁設計への影響】
電気用品安全法・電気設備技術基準では低圧機器の耐電圧試験は「定格電圧の 2 倍+1000V」で行う。100V 機器:200+1000 = 1200V で試験。200V 機器:400+1000 = 1400V で試験。これは最大値(141V・283V)の何倍もの安全余裕を確保するための要件。
【電験三種への接続】
電験三種「理論」の交流回路分野では実効値を用いた有効電力・無効電力・皮相電力の計算、力率改善(コンデンサ設置)の計算が頻出。第一種電気工事士では高圧受電設備(6.6kV:最大値は 6600×√2 ≒ 9334V)の絶縁設計にも実効値と最大値の区別が直結する。「実効値 = 最大値 ÷ √2」は第二種の必須公式。この関係を確実に覚えることが交流理論全分野の出発点となる。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。