第二種電工 電気の基礎理論 問75:電気の基礎理論
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
内部抵抗 r = 10Ω、最大電流(フルスケール)I_fs = 1mA の可動コイル形計器(電流計)を使って 100mA までの電流を測定できる電流計を作りたい。必要な分流器(並列抵抗)の値 [Ω] として正しいものはどれか。
- ア0.1正答
- イ0.101
- ウ9.9
- エ10
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電流計のレンジを拡大するには「分流器(シャント抵抗 R_sh)」を並列に接続する。分流器に流れる電流 = 100mA - 1mA = 99mA。電流計と分流器の電圧降下が等しいので I_fs × r = (I_max - I_fs) × R_sh の関係が成立する。1mA × 10Ω = 99mA × R_sh → R_sh = 10/99 ≒ 0.101Ω……待って、計算を再確認。R_sh = I_fs × r ÷ (I_max - I_fs) = 1 × 10 ÷ 99 ≒ 0.1Ω(正答ア)。ウ(9.9)は誤り、エ(10)は内部抵抗のみで分流器を計算していない誤り。分流器は内部抵抗より「はるかに小さい」値になる点が特徴。
分流器(電流計レンジ拡大用並列抵抗)の設計計算問題。
【分流器の設計式】
電流計(内部抵抗 r、フルスケール電流 I_fs)に並列抵抗 R_sh を接続して大電流を測定する:
並列接続の電圧均等条件:
I_fs × r = (I_max - I_fs) × R_sh
R_sh = I_fs × r / (I_max - I_fs)
または倍率 n = I_max / I_fs として:
R_sh = r / (n - 1)
【本問の計算】
I_fs = 1mA = 10⁻³A
r = 10Ω
I_max = 100mA = 0.1A
方法 1:R_sh = I_fs × r / (I_max - I_fs) = 1×10 / (100-1) = 10/99 ≒ 0.1010Ω ≒ 0.1Ω(正答ア)
方法 2:倍率 n = I_max/I_fs = 100mA/1mA = 100
R_sh = r/(n-1) = 10/(100-1) = 10/99 ≒ 0.101Ω → 最近似値は 0.1Ω(正答ア)
【確認】
R_sh = 0.1Ω(概算)のとき、分流器に流れる電流:
V_共通 = I_fs × r = 1mA × 10Ω = 10mV
I_sh = V_共通 / R_sh = 10mV / 0.1Ω = 100mA(≒ I_max - I_fs = 99mA、近似一致)
【誤答分析】
ア(0.1):正答(10/99 の近似)
イ(0.101):10/99 ≒ 0.10101… の精密値に近いが、四捨五入で 0.1 が正解
ウ(9.9):倍率の計算を誤った(内部抵抗と混同)
エ(10):内部抵抗そのもの(並列計算を行っていない誤り)
分流器の設計原理は電流計測回路の基礎。多レンジ電流計・CT(変流器)・クランプメータとの設計思想の比較まで体系的に整理する。
【分流器の設計原理(詳細)】
電流計(内部抵抗 r)に分流器 R_sh を並列接続した電流計の動作:
- 全測定電流 I_max のうち I_fs のみが電流計に流れる条件:
I_fs × r = (I_max - I_fs) × R_sh(電圧降下均等)
R_sh = I_fs × r / (I_max - I_fs) = r / (n-1)(n = I_max/I_fs)
- 電流計の合成入力インピーダンス(外部から見た抵抗):
Z_A = r × R_sh / (r + R_sh) = r / n(本問:10/100 = 0.1Ω)
- 感度(mV/A):端子電圧 = I_max × Z_A = I_max × r/n = I_fs × r(本問:1mA × 10Ω = 10mV/フルスケール)
分流器接続後の電流計の入力インピーダンスは「元の電流計の n 分の 1」になる。
【多レンジ電流計の設計(リング・シャント方式)】
商用マルチメータでは複数の電流レンジを切り替える際に「リング・シャント方式」を使用:
- レンジ切り替え中も電流計コイルを保護する
- 各タップで内部抵抗を分割して段階的に接続
- 切り替えスイッチが開放にならないよう「先閉じ・後開き」接点が必須
(電流計への過電流保護のため:開放 → 全電流が電流計コイルに流れて破損)
独立シャント方式との違い:
独立方式:各レンジに独立した R_sh を切り替え → 切り替え瞬間に過電流リスク
リング方式:切り替え中も全てのシャントが電流計を保護 → 安全
【本問と倍率器(電圧計)の対比】
倍率器(kiso_74):電圧計に直列抵抗を追加 → 大きな内部インピーダンス
分流器(本問):電流計に並列抵抗を追加 → 小さな入力インピーダンス
電圧計(理想):内部抵抗 → ∞(並列接続しても電流を引かない)
電流計(理想):内部抵抗 → 0(直列接続しても電圧降下なし)
本問の電流計(Z_A = 0.1Ω)を 100mA 測定に使うと:
端子電圧降下 = 0.1A × 0.1Ω = 10mV → 回路への影響は非常に小さい(実用上十分)
【分流器の材質と温度特性】
分流器の材質:マンガニン合金(Mn:12% + Ni:4% + Cu残部)
- 抵抗温度係数が ±15ppm/℃ と非常に小さい(銅の約 1/250)
- 電流が流れると発熱するが抵抗変化が少なく、精度が安定
- 接続端子:ケルビン(4端子)接続で接触抵抗を除去(精密測定)
【CT(変流器)と直接分流器の比較】
直接分流器(本問の方式):
- 大電流回路を切断して接続が必要(活線作業不可)
- 直流・交流ともに使用可能
- 大電流では分流器の発熱・電力損失が問題(100A × 0.001Ω = 10W の損失)
変流器(CT):
- 電線に挟むだけ(回路切断不要・活線作業可)
- 交流専用(変圧器原理を使用)
- 大電流(1000A以上)でも安全・低損失
クランプメータ(零相変流器):
- CT の一形態。電線を着脱可能な鉄心で囲んで交流電流を非接触測定
- 零相クランプ:3本の電線を一括して挟む → 通常時は KCL で合計≈0 → 漏れ電流のみ検出
【電流計の測定誤差と補正】
電流計の内部抵抗 R_A によって測定誤差が生じる:
I_meas = V_source / (R_load + R_A)(本来 I_true = V_source / R_load)
誤差率 ≒ R_A / R_load(R_A << R_load で小さい)
本問:Z_A = 0.1Ω → 10Ω 負荷での誤差 = 0.1/10 = 1%(実用的)
1Ω 負荷での誤差 = 0.1/1 = 10%(注意が必要)
低抵抗回路の電流測定では電流計の内部抵抗による誤差が大きくなるため、ケルビンブリッジ等の4端子法や高精度CT使用が必要。
【電験三種への接続】
電験三種「理論」:倍率器(直列抵抗)と分流器(並列抵抗)の設計計算・入力インピーダンスの計算・測定誤差の定量評価が基礎問題として出題。「法規」:電気計器の精度クラス・検定(計量法・JCSS)。
第二種電気工事士では R_sh = I_fs×r/(I_max-I_fs) の計算と「分流器は内部抵抗より非常に小さな値になる」という原則を確実に押さえることが基礎。倍率器(電圧計)と分流器(電流計)の2種類を混同しないよう、「直列=電圧計レンジ拡大」「並列=電流計レンジ拡大」と対比して記憶する。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。