第二種電工 電気の基礎理論 問74:電気の基礎理論
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
内部抵抗 r = 1kΩ、最大電流(フルスケール)I_fs = 1mA の可動コイル形計器(電流計)を使って 100V までの電圧を測定できる電圧計を作りたい。必要な倍率器(直列抵抗)の値 [kΩ] として正しいものはどれか。
- ア1
- イ99正答
- ウ100
- エ101
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電流計を電圧計として使うには「倍率器(直列抵抗 R_mult)」を直列に接続する。最大電流が 1mA のとき、100V の電圧で 1mA が流れるためには全抵抗(内部抵抗 + 倍率器)= 100V/1mA = 100kΩ が必要。内部抵抗が 1kΩ なので、倍率器 = 100k - 1k = 99kΩ(正答イ)。「最大電圧 ÷ 最大電流 - 内部抵抗」という 2 ステップで解ける。ウ(100kΩ)は内部抵抗を引き忘れた誤り、エ(101kΩ)は足してしまった誤り。
倍率器(電圧計レンジ拡大用直列抵抗)の設計計算問題。
【倍率器の設計式】
電流計(内部抵抗 r、フルスケール電流 I_fs)に直列抵抗 R_mult を接続して電圧計を作る:
フルスケール電圧 V_fs = I_fs × (r + R_mult)
R_mult = V_fs/I_fs - r
または倍率 m = V_fs/(I_fs × r) = V_fs/V_meter(V_meter = I_fs×r がフルスケール電圧)として:
R_mult = r(m-1)
【本問の計算】
I_fs = 1mA = 10⁻³A
r = 1kΩ = 1000Ω
V_fs = 100V
方法 1:R_mult = V_fs/I_fs - r = 100/10⁻³ - 1000 = 100000 - 1000 = 99000Ω = 99kΩ(正答イ)
方法 2:計器フルスケール電圧 V_meter = I_fs × r = 10⁻³ × 1000 = 1V
倍率 m = V_fs/V_meter = 100/1 = 100
R_mult = r(m-1) = 1k × (100-1) = 99kΩ(同じ)
【確認】
R_total = r + R_mult = 1k + 99k = 100kΩ
V_fs = I_fs × R_total = 10⁻³ × 100k = 100V ✓
【誤答分析】
ア(1):倍率器を内部抵抗と同じと誤解
ウ(100):R_mult = V_fs/I_fs のみ(内部抵抗を引かなかった)
エ(101):R_mult = V_fs/I_fs + r と足してしまった
倍率器・分流器の設計原理は計測回路の基礎。多レンジ電圧計・電流計の設計・入力インピーダンスの管理・精密測定への影響まで体系的に整理する。
【倍率器の設計原理(詳細)】
電流計(内部抵抗 r)に倍率器 R_mult を直列接続した電圧計の動作:
- フルスケール電圧 V_fs に対応するフルスケール電流 I_fs が流れる条件:
V_fs = I_fs × (r + R_mult)
R_mult = V_fs / I_fs - r(本問:99kΩ)
- 電圧計の入力インピーダンス(内部抵抗):
Z_V = r + R_mult = V_fs / I_fs = 100 / 0.001 = 100kΩ(本問)
- 感度(オーム毎ボルト):Ω/V = (r + R_mult) / V_fs = 1 / I_fs = 1/0.001 = 1000Ω/V = 1kΩ/V
感度の意味:1V を測定するのに 1kΩ のインピーダンスを持つ電圧計。感度が高い(I_fs が小さい)ほど入力インピーダンスが大きく、測定対象への影響が小さい。
【多レンジ電圧計の設計】
一般のマルチメータには複数の電圧レンジ(例:1V・10V・100V・1000V)がある。
設計方法 1(独立倍率器方式):各レンジに独立した倍率器を用意
- 1V レンジ:R₁ = 1/I_fs - r
- 10V レンジ:R₁₀ = 10/I_fs - r
- 100V レンジ:R₁₀₀ = 100/I_fs - r(本問の 99kΩ)
設計方法 2(分割倍率器方式):倍率器を分割して直列接続し、タップで切り替え
- 最小レンジから最大レンジまでの倍率器を分割した合計が最大レンジの倍率器になる
- 例:1V → 10V → 100V の切り替えで、各段の追加抵抗:
1V: R = 1V/I_fs - r
10V 追加分: ΔR₁₀ = (10V - 1V)/I_fs = 9V/I_fs
100V 追加分: ΔR₁₀₀ = (100V - 10V)/I_fs = 90V/I_fs
【入力インピーダンスと測定誤差の関係】
電圧計の入力インピーダンス Z_V が低いと測定対象の動作点を変えてしまう。
本問の電圧計(Z_V = 100kΩ)を 100kΩ の負荷電圧測定に使う場合:
並列合成 = 100k // 100k = 50kΩ
測定誤差 ≈ 50%(電源回路の分圧比が変わる)
デジタルマルチメータ(DMM)の典型入力インピーダンス:10MΩ
→ 100kΩ負荷への影響:10M // 100k ≈ 99kΩ → 誤差 1%(実用上十分)
高精度電圧測定(精密電源・基準電圧源の校正):
静電電圧計(エレクトロスタティックメータ):GΩ 以上の入力インピーダンス
FET 入力型 DMM:100GΩ 以上
【分流器(シャント)の設計(電流計レンジ拡大)】
電流計(内部抵抗 r、フルスケール電流 I_fs)に並列抵抗 R_sh を接続して大電流を測定:
フルスケール電流 I_max(測定上限):
I_max - I_fs が分流器に流れる条件:
I_fs × r = (I_max - I_fs) × R_sh
R_sh = I_fs × r / (I_max - I_fs) = r / (n-1)(n = I_max/I_fs:レンジ拡大倍率)
本問と対比した例:
同じ計器(r=1kΩ、I_fs=1mA)で 1A レンジの電流計を作る:
n = 1A / 1mA = 1000
R_sh = 1kΩ / (1000-1) ≒ 1Ω
電流計の入力インピーダンス(分流器接続後):
Z_A = r × R_sh / (r + R_sh) = 1k × 1 / (1k+1) ≒ 1Ω(非常に小さい)
【電力の消費量(計器の自己消費電力)】
本問の電圧計(V_fs=100V、I_fs=1mA)の測定時の自己消費電力:
P_meter = V_fs × I_fs = 100 × 0.001 = 0.1W
電池式テスタの場合、測定中にこの 0.1W が消費される。測定レンジを上げると電流が少なくなり自己消費も減る(ただし感度・精度は同じ)。
電子負荷(電流を「食う」テスト機器)の場合:計器の自己消費が測定結果に影響するかを評価する「最大許容テスト電流」の設計に、倍率器の抵抗値(= 入力インピーダンス)の計算が使われる。
【電験三種への接続】
電験三種「理論」:倍率器・分流器の計算(直流回路の応用)、計測誤差の評価(電圧計の入力インピーダンス)が基礎問題として出題。「法規」:電気計器の精度クラス・検定制度(計量法)。
第二種電気工事士では R_mult = V_fs/I_fs - r の計算と「内部抵抗を引くのを忘れない」という注意点を確実に押さえることが基礎。単純な計算ミス(内部抵抗の加算/減算の取り違え)が非常に多いため、2 ステップ(全抵抗 → 倍率器)で丁寧に計算する習慣をつける。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。