第二種電工 電気の基礎理論 問73:電気の基礎理論
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
可動コイル形計器に関する記述として、正しいものはどれか。
- ア交流・直流のどちらにも使用できる
- イ指示値は電流の実効値を示す
- ウ永久磁石の磁界中でコイルに電流を流し、電磁力でコイルを回転させる原理を用いる正答
- エ計器内部にブリッジ整流回路を内蔵しており、交流電圧を直流に変換して計測する
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可動コイル形計器(ガルバノメータ型)は「永久磁石の磁界中に置いたコイルに直流電流を流すと、電磁力(F = BIL)でコイルが回転する」原理を利用した計器(正答ウ)。コイルに流れる電流に比例した角度だけコイル(指針)が回転するので、目盛りは均等(リニア)になる。直流専用のため、交流を測定するには整流回路が必要(選択肢エは整流形計器の説明)。アが誤りで直流専用。実効値を示すのは熱電形計器(選択肢イは誤り)。アナログ電流計・電圧計の最も基本的な構造。
電気計器の種類と特性を問う問題。可動コイル形の特徴を中心に整理する。
【主要計器の種類と特性比較】
| 種類 | 原理 | 直流/交流 | 指示値 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 可動コイル形 | 永久磁石 + 電流コイル(電磁力) | 直流専用 | 平均値(目盛は均等) | 感度高・消費電力小 |
| 可動鉄片形 | 電磁石で鉄片を吸引 | 交直両用 | 実効値 | 強磁界・商用周波数向き |
| 整流形 | 整流器 + 可動コイル | 交流 | 平均値(正弦波なら実効値で目盛) | 正弦波専用・高周波OK |
| 熱電形 | 熱電対(電流発熱 → 直流起電力) | 交直両用 | 真の実効値(RMS) | 高周波・波形歪みに対応 |
| 電力計(電流力計形)| 2 コイル間の電磁力 | 交直両用 | 有効電力 | 電力測定専用 |
【可動コイル形の詳細】
①永久磁石で一定の磁界(B)を作る
②コイルに電流(I)を流すとトルク T = NBILA(電磁力)が発生
③コイルがバネの制動トルクと釣り合った角度で指針が止まる
④指示角 θ = k × I(電流に比例 → 目盛が等間隔)
正答ウ:永久磁石の磁界中でコイルに電流を流し電磁力でコイルを回転させる → 正しい説明
【各選択肢の判定】
ア:直流専用(交流には使えない)→ 誤り
イ:平均値を指示(正弦波の実効値ではない)→ 誤り(実効値を指示するのは熱電形)
ウ:可動コイル形の原理 → 正答
エ:整流形計器の説明 → 誤り(可動コイル形には整流回路がない・直流専用)
電気計器の動作原理・精度クラス・誤差要因・現代の計測技術への進化まで体系的に整理する。
【可動コイル形計器の詳細設計】
構造:
①永久磁石(フェライトまたは希土類磁石):一定磁束密度 B の均一磁界を形成
②コイル(N 回巻き・長さ l・幅 a):磁界中で回転可能に支持
③スパイラルバネ(制動スプリング):回転を制動するトルクを発生
④指針:コイルの回転角を表示
動作原理(トルク平衡):
電磁トルク T_drive = N × B × I × l × a × cosθ ≒ N×B×I×l×a(θ ≈ 0° での近似)
バネ制動トルク T_spring = K × θ(K:バネ定数、θ:回転角)
平衡:T_drive = T_spring → θ = (NBla/K) × I
指示角 θ が I に比例するため目盛りが等間隔(リニアスケール)になる。
感度:感度 S = dθ/dI = NBla/K(バネが柔らかいほど、磁束密度が大きいほど感度高)
【精度クラスと誤差】
IEC・JIS では計器の精度を「確度クラス」で分類:
クラス 0.1:最高精度(標準計器)± 0.1% の誤差
クラス 0.5:高精度(精密測定)± 0.5%
クラス 1.0:一般精度(工業用)± 1.0%
クラス 2.5:低精度(パネル計器)± 2.5%
クラス 5:概略値確認用
可動コイル形の誤差要因:
①温度変化によるバネ定数変化(温度係数)
②永久磁石の経時劣化(磁力低下)
③コイル抵抗の温度変化(電流計の場合)
④軸受の摩擦(ベアリングの劣化)
⑤指針の慣性(動的応答遅れ)
【波形歪みと各計器の指示値の違い】
正弦波(歪みなし)の場合:
- 可動コイル形(整流後):平均値 = 最大値/π × 2 = 0.637 × V_max
- 目盛りは実効値 = 1.11 × 平均値 として換算表示
- 実際の実効値(RMS)= 0.707 × V_max
波形歪みあり(PWM 出力・インバータ等):
- 整流形(可動コイル + 整流):正弦波を前提とした目盛りのため読み誤り
- 熱電形・True-RMS デジタル計器:波形歪みに関係なく真の実効値を正確に表示
インバータ機器・スイッチング電源の多い現場では True-RMS 計器(熱電形または RMS 演算デジタルメータ)を使用することが必須。
【現代の計測技術への進化】
① スマートマルチメータ(デジタルマルチメータ・DMM):
A/D コンバータで電圧・電流をサンプリング → マイコンで RMS 演算・波形解析
精度:クラス 0.1 以下(最高機種)
特徴:True-RMS・周波数測定・データロギング・USB/Bluetooth 接続
② 電力品質アナライザ:
電圧・電流の瞬時値波形を高速サンプリング → フーリエ変換で高調波成分を分析
有効電力・無効電力・皮相電力・力率・THD(全高調波歪み率)を同時計測
IEC 61000-4-7(高調波計測規格)・IEC 61000-4-15(フリッカ計測規格)対応
③ PMU(Phasor Measurement Unit:同期計測装置):
GPS 同期の精密タイムスタンプで電圧・電流フェーザを 60 回/秒計測
電力系統全体の動的挙動をリアルタイム監視(WAMS:Wide Area Monitoring System)
大規模停電の予防・系統安定化に使用
【電験三種への接続】
電験三種「理論」:電気計器の種類と動作原理・精度クラス・倍率器/分流器の設計・測定誤差の補正計算が出題される。「法規」:電気設備の使用前検査で使用する計測器の規格・検定制度(JCSS:計量法校正事業者制度)。
第二種電気工事士では各計器の種類(可動コイル/可動鉄片/整流/熱電)と「直流専用か交流も使えるか」「何を指示するか」(平均値・実効値・有効電力)を確実に区別して覚えることが基礎。可動コイル形の「直流専用・永久磁石 + コイル・電磁力」という 3 つのキーワードを確実に記憶する。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。