問題
図のような単相3線式配電線路において,負荷Aは負荷電流10Aで遅れ力率50%,負荷Bは負荷電流10Aで力率は100%である。中性線に流れる電流IN[A]は。ただし,線路インピーダンスは無視する。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
単相3線式では、上の負荷Aの電流と下の負荷Bの電流の「差」が中性線に流れます。負荷の力率がどちらも100%なら、10A−10A=0Aで中性線には電流が流れません。しかしこの問題では負荷Aの力率が50%(遅れ)なので、電流の向き(位相)が60°ずれています。向きの違う電流の差は、図のベクトル図の点線の長さで表されます。大きさ10Aの2本の矢印が60°の角度で開いているので、点線を含めた三角形は正三角形になり、点線の長さも10Aです。正答はイ(10A)です。
【中性線電流の考え方】
単相3線式の中性線には、上側の負荷電流 İA と下側の負荷電流 İB のベクトル差が流れます。
İN=İA − İB
【各電流をベクトルで表す】
電圧Ėを基準(0°)にとると、
・負荷B(力率100%):İB=10A、Ėと同相
・負荷A(力率50%遅れ):cosθ=0.5 より θ=60°。İA=10A、Ėより60°遅れ
【差を求める】
İA=10(cos60° − j sin60°)=5 − j8.66
İA − İB=(5 − 10) − j8.66=−5 − j8.66
|İN|=√(5²+8.66²)=√(25+75)=√100=10 A → 正答はイ。
【図形で解く】
長さ10の2辺が60°で開いた二等辺三角形は正三角形なので、残りの辺(İA−İB)も10になります。
【間違えやすい点】
ウ(20A)は電流を単純に足したもの、また位相を考えずに差をとると0Aになってしまいます。力率が異なる負荷では必ずベクトルで考えます。
【単相3線式で中性線電流が差になる理由】
変圧器の二次側は上下2つの巻線(各100V)が直列につながり、その中点から中性線を出しています。上側の回路では電流が電源→負荷A→中性線の向きに、下側の回路では中性線→負荷B→電源の向きに流れるため、中性線では2つの電流が逆向きに重なり、差が残ります。両負荷が同じ大きさ・同じ力率なら差は0になり、これが「平衡負荷なら中性線電流は流れない」という性質です。
【力率が違うと平衡でも中性線電流が流れる】
本問のように電流の大きさが同じ10Aでも、力率が異なると位相がずれ、中性線電流は0になりません。差の大きさは余弦定理で
|İN|²=IA²+IB²−2IA·IB·cos60°=100+100−100=100
と求められ、|İN|=10Aです。2つの電流の位相差がφのとき、大きさが等しいIなら |İN|=2I sin(φ/2) となり、φ=60°で I、φ=180°で 2I になります。
【実務とのつながり】
・中性線電流が大きいと中性線での電圧降下や電力損失が増えるため、単相3線式では上下の負荷をできるだけ均等に(大きさだけでなく力率も含めて)振り分けます。
・中性線が断線すると、上下の負荷が直列になり、軽い側の負荷に100Vを超える電圧がかかって機器が焼損するおそれがあります。このため単相3線式の中性線には過電流遮断器の素子を設けない(3極2素子の配線用遮断器を使う)のが原則です。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:平成30年度 第一種電気工事士 学科試験 問7(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-14)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


