問題
図のように三相電源から,三相負荷(定格電圧200V,定格消費電力20kW,遅れ力率0.8)に電気を供給している配電線路がある。配電線路の電力損失を最小とするために必要なコンデンサの容量[kvar]の値は。ただし,電源電圧及び負荷インピーダンスは一定とし,配電線路の抵抗は1線当たり0.1Ωで,配電線路のリアクタンスは無視できるものとする。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
配電線路の電力損失は、電線を流れる電流の2乗に比例します。負荷が使う有効電力(20kW)は変わらないので、電流を小さくするには、負荷の遅れの無効電力をコンデンサで打ち消して力率を1にすればよいことになります。負荷の皮相電力は20÷0.8=25kV・A、無効電力は25×0.6=15kvar(力率0.8のときsinθ=0.6)です。これを打ち消す15kvarのコンデンサが必要です。正答はイです。
①負荷の有効電力 P=20kW(力率0.8・遅れ)
②皮相電力 S=P÷cosθ=20÷0.8=25kV・A
③無効電力 Q=S×sinθ=25×0.6=15kvar(sinθ=√(1-0.8²)=0.6)
④電力損失を最小にする条件:線路の電流を最小にする=受電点の力率を1にする=無効電力を0にする
⑤必要なコンデンサ容量 QC=Q=15kvar
効果の確認:コンデンサがないとき線電流は25000÷(√3×200)≒72.2A、損失は3×72.2²×0.1≒1560W。力率1にすると線電流は20000÷(√3×200)≒57.7A、損失は3×57.7²×0.1≒1000Wに下がります。
誤りやすい点:20(ウ)は有効電力の値、25(エ)は皮相電力の値で、どちらも無効電力ではありません。正答はイです。
本問は、力率改善による線路損失の低減を、無効電力の打ち消しとして捉える問題です。
【損失と電流の関係】三相3線式の線路損失は Pℓ=3I²r です。受電電圧Vと有効電力Pが一定なら、I=P÷(√3Vcosθ) なので、損失は 1/cos²θ に比例します。cosθ=1 のとき損失が最小になり、このとき受電点の無効電力は0です。
【コンデンサ容量の求め方】
・改善前:P=20kW、Q=20×tanθ=20×(0.6÷0.8)=15kvar
・力率1にするには QC=Q=15kvar
・一般形:力率をcosθ1からcosθ2に改善する容量は QC=P(tanθ1-tanθ2)。cosθ2=1 なら tanθ2=0 で QC=P×tanθ1 になります。
【損失の比】改善後の損失は改善前の (cosθ1÷cosθ2)²=(0.8÷1)²=0.64 倍です。本問の数値でも 1000÷1560≒0.64 となり一致します。
【問題文の条件の意味】「電源電圧及び負荷インピーダンスは一定」とあるのは、コンデンサを入れても負荷の消費電力(20kW)が変わらないとみなすためです。「線路のリアクタンスは無視」とあるので、損失は線路抵抗0.1Ωだけで決まり、無効電力の打ち消しがそのまま電流の減少に結びつきます。
【実務とのつながり】高圧受電設備の進相コンデンサも同じ考え方で、受電点の無効電力を減らすことで、配電線の電流・損失・電圧降下を減らします。ただし力率を1より進ませると再び電流が増えるため、「打ち消しすぎない」ことも大切です。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和3年度(午後) 第一種電気工事士 学科試験 問7(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-14)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


