衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働衛生(有害業務) 問32|n-ヘキサン末梢神経障害・有機溶剤の臓器選択毒性

問題

衛生管理者 | 労働衛生(有害業務) | 第一種

有機溶剤各種の特異的な健康影響に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはイです。モデルSDSはクロロホルムを、単回ばく露で「区分3(麻酔作用)」、反復ばく露で「区分1(中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)」としており、作業者に肝炎の進展・黄疸がみられたとの記述を挙げています。

各選択肢の誤りの要点:ア→n-ヘキサンの反復ばく露の標的は神経系(末梢神経障害)で、肝障害ではない。ウ→トルエンの反復ばく露の標的は中枢神経系と腎臓で、「肝・腎毒性が中心」は誤り。エ→二硫化炭素の反復ばく露の標的は中枢神経系・心血管系・腎臓。オ→メタノールの反復ばく露の標的は中枢神経系・視覚器で、失明の記述もある。

モデルSDSの特定標的臓器毒性(反復ばく露)の分類:

物質反復ばく露の分類主な記述
n-ヘキサン区分1(神経系)多発性ニューロパチー(末梢神経障害)
トルエン区分1(中枢神経系、腎臓)疲労・記憶力障害・集中困難など
クロロホルム区分1(中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)肝炎・黄疸・肝腫大
二硫化炭素区分1(中枢神経系、心血管系、腎臓)多発性神経障害・視神経障害・動脈硬化・虚血性心疾患など
メタノール区分1(中枢神経系、視覚器)眼の障害・失明

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): n-ヘキサンは反復ばく露で区分1(神経系)。洗浄剤に含まれるn-ヘキサンへのばく露で多発性ニューロパチーが発症した職業ばく露研究が挙げられています。
  • ウ(誤): トルエンの反復ばく露の分類は中枢神経系と腎臓です。印刷労働者の疲労・記憶力障害・集中困難などが根拠で、「肝・腎毒性が中心」ではありません。
  • イ(正): 上表のとおり、クロロホルムは肝臓・腎臓が標的臓器に含まれ、作業者の肝炎・黄疸の報告があります。
  • エ(誤): 二硫化炭素の反復ばく露は中枢神経系・心血管系・腎臓です。気道への影響は単回ばく露の区分3(気道刺激性)にとどまります。
  • オ(誤): メタノールの反復ばく露は中枢神経系・視覚器で、職業ばく露による失明の記述があります。

【理論的背景】

有機溶剤は、単回の高濃度ばく露ではどれも麻酔作用(中枢神経抑制)を示しやすい一方、反復ばく露で障害されやすい臓器は物質ごとに異なります。モデルSDSの「特定標的臓器毒性(反復ばく露)」の欄は、その違いを確認するのに役立ちます。

n-ヘキサン:

  • 代謝物の2,5-ヘキサンジオンは「ヒトでの既知の神経毒性物質」で、多発性ニューロパチーを誘発することが報告されています。
  • 影響の重篤度は運動・感覚神経伝導速度の低下から重度の四肢麻痺までと幅広く、n-ヘキサン誘発性の疑いのあるニューロパチー患者の83.3%がばく露中止後12か月以内に完全に回復したとの報告があります。

クロロホルム:

  • 1〜6か月間ばく露された作業者で肝炎の進展、黄疸、悪心、嘔吐などの症状、製剤工場の作業者で肝腫大・肝炎・脂肪肝がみられたとの記述があります。
  • 動物試験では肝臓(肝細胞の腫大、変性、脂肪化など)や腎臓(近位尿細管の変性、壊死など)への影響が報告されています。

二硫化炭素:

  • ヒトで多発性神経障害、視神経障害、大脳のアテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、心筋梗塞、糸球体硬化などの報告があります。

メタノール:

  • 低濃度の長期ばく露の顕著な症状は広範な眼に対する障害とされ、職業上のばく露による慢性毒性として失明の記述があります。単回ばく露でも区分1(中枢神経系、視覚器、全身毒性)です。

トルエン:

  • 印刷労働者で疲労、記憶力障害、集中困難、情緒不安定などの神経衰弱性症状が多いとの疫学調査があり、高濃度ばく露では脳の萎縮や白質の変化も報告されています。腎臓への影響は嗜癖による吸入などの症例が根拠です。

【実務・条文構造】

有機溶剤中毒予防規則(有機則)の区分(第1条第1項第3号〜第5号):

  • 第1種有機溶剤等: 令別表第6の2第28号(1・2-ジクロルエチレン)又は第38号(二硫化炭素)とその混合物
  • 第2種有機溶剤等: 同表第1号〜第47号のうち所定の物(トルエン 第37号・ノルマルヘキサン 第39号・メタノール 第42号など)とその混合物
  • 第3種有機溶剤等: 上記以外(ガソリン・石油ナフサ等 第48号〜)

区分の表示(第25条第2項): 第1種 赤・第2種 黄・第3種 青

クロロホルムは、現行の令別表第6の2(有機溶剤)の一覧には掲げられていません。有機則の第1種〜第3種のどれかに当たる物として扱わないよう注意が必要です。

【試験での位置づけ】

有機溶剤各論では「n-ヘキサン=末梢神経障害」「二硫化炭素=神経・心血管系(動脈硬化)など多臓器」「メタノール=視神経障害(失明)」「クロロホルム=肝・腎」「トルエン=中枢神経」が繰り返し問われます。アのように標的臓器を入れ替えた選択肢が典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: n-ヘキサンの単回ばく露は区分3(麻酔作用、気道刺激性)です。慢性の末梢神経障害と急性の麻酔作用を分けて覚えます。
  • ウ: トルエンの単回ばく露は区分1(中枢神経系)・区分3(気道刺激性、麻酔作用)です。急性・慢性とも中枢神経系が中心です。
  • イ: クロロホルムは単回ばく露でも区分1(呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓)とされています。
  • エ: 二硫化炭素は有機則の第1種有機溶剤等に当たる物質(令別表第6の2第38号)です。単回ばく露は区分1(中枢神経系、心臓)・区分3(気道刺激性、麻酔作用)です。
  • オ: メタノールの急性症状として、モデルSDSは「失明することがあり、場合によっては死に至る」と記載しています。

【根拠】厚生労働省 職場のあんぜんサイト モデルSDS(n-ヘキサン・トルエン・クロロホルム・二硫化炭素・メタノール)、有機溶剤中毒予防規則 第1条・第25条(https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-21-1-0.htm)、労働安全衛生法施行令 別表第6の2(https://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-1/hor1-1-7-1-8.html)。

【補足】イ(正): クロロホルム=麻酔作用+肝臓・腎臓(作業者の肝炎・黄疸)。ア(誤): n-ヘキサン=末梢神経障害。ウ(誤): トルエン=中枢神経系中心。エ(誤): CS₂=中枢神経系・心血管系・腎臓。オ(誤): メタノール=中枢神経系・視覚器(失明)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省 職場のあんぜんサイト モデルSDS(n-ヘキサン 110-54-3/トルエン 108-88-3/クロロホルム 67-66-3/二硫化炭素 75-15-0/メタノール 67-56-1)https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/{CAS}.html、有機溶剤中毒予防規則第1条・第25条、労働安全衛生法施行令別表第6の2。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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  • n-ヘキサン末梢神経障害・有機溶剤の臓器選択毒性
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