労働衛生(有害業務)33第一種職業性疾病

衛生管理者 労働衛生(有害業務) 問33:職業性疾病

有害業務に係る特殊健康診断に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 有機溶剤業務に常時従事する労働者に対する特殊健康診断は、雇入れ時・当該業務への配置替え時のほか、その後は6か月以内ごとに1回実施しなければならない。
  • 特定化学物質(第1類・第2類)の製造・取扱い業務に常時従事する労働者に対する特殊健康診断も、6か月以内ごとに1回の実施が義務付けられている。
  • 電離放射線業務に常時従事する労働者に対する特殊健康診断は、雇入れ時・配置替え時の後は1年以内ごとに1回実施すればよく、有機溶剤・特定化学物質の特殊健診(6か月ごと)より頻度が低い。正答
  • 鉛業務に常時従事する労働者に対する特殊健康診断の検査項目には、血液中の鉛濃度の測定が含まれており、生物学的モニタリングの一環として実施される。
  • じん肺健康診断は、じん肺法に基づき実施されるものであり、粉じん作業に常時従事する労働者に対して就業時・定期(1年または3年以内ごと)等に区分して行われ、記録の保存期間は7年間とされている。
正答:電離放射線業務に常時従事する労働者に対する特殊健康診断は、雇入れ時・配置替え時の後は1年以内ごとに1回実施すればよく、有機溶剤・特定化学物質の特殊健診(6か月ごと)より頻度が低い。

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誤りはウです。電離放射線業務に係る特殊健康診断の実施頻度は6か月以内ごとに1回であり、有機溶剤・特定化学物質の健診と同様の頻度です(1年に1回ではありません)。「電離放射線業務は1年以内ごとに1回・有機溶剤より頻度が低い」という記述が誤りです。

ア(有機溶剤健診は6か月ごと)・イ(特定化学物質健診も6か月ごと)・エ(鉛健診に血中鉛濃度測定が含まれる)・オ(じん肺健診の実施区分と7年保存)はすべて正しい内容です。有害業務の特殊健康診断はほぼすべての業務で6か月ごとが原則である点が重要です。

標準試験対策の基準レベル

有害業務別の特殊健康診断の実施頻度一覧:

| 有害業務の種類 | 根拠規則 | 実施頻度(雇入れ・配置替え後) |

|---|---|---|

| 有機溶剤業務(第1・第2種) | 有機則第29条 | 6か月以内ごとに1回 |

| 特定化学物質(第1類・第2類) | 特化則第39条 | 6か月以内ごとに1回 |

| 鉛業務 | 鉛則第53条 | 6か月以内ごとに1回 |

| 四アルキル鉛業務 | 四アルキル鉛則 | 3か月以内ごとに1回(最も頻繁) |

| 電離放射線業務 | 電離則第56条 | 6か月以内ごとに1回 |

| 高気圧業務(潜函・潜水) | 高圧則第38条 | 6か月以内ごとに1回 |

| 石綿業務 | 石綿則第40条 | 6か月以内ごとに1回 |

| じん肺(粉じん業務) | じん肺法 | 1年または3年以内ごと(管理区分による) |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 有機溶剤業務(第1種・第2種有機溶剤の業務)は有機則第29条に基づき6か月以内ごとに1回。第3種有機溶剤は密閉・屋外等の条件によっては義務がない場合もある。
  • イ(正): 特定化学物質障害予防規則第39条に基づき6か月以内ごとに1回。第3類は実施頻度の規定が異なる場合があるが、第1類・第2類は6か月ごとが原則。
  • ウ(誤): 電離放射線業務(電離則第56条)も6か月以内ごとに1回が義務。「1年以内ごとに1回」という表現は定期健康診断(一般健診)の頻度であり、電離放射線業務の特殊健診とは異なる。
  • エ(正): 鉛健診の検査項目(鉛則第53条)には血液中の鉛濃度測定(血中鉛)が含まれる。これは生物学的モニタリングの典型例で、環境濃度ではなく体内への実際の取り込み量を評価できる。
  • オ(正): じん肺健診は就業時・配置替え時・定期(1年以内・3年以内のいずれか・じん肺管理区分による)の区分で実施。記録の保存期間はじん肺法で7年間と規定されており、他の特殊健診(特化則等)の5年保存より長い。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

特殊健康診断は「有害業務に伴う特定の健康障害を早期発見・早期対応するため」に法令で義務付けられた健康診断です。一般定期健康診断(年1回・11項目)では有害物質特有の健康障害(肝障害・神経障害・血液毒性・放射線障害等)を適切に検出できないため、有害業務ごとに特化した検査項目で・高い頻度(原則6か月以内ごと)で実施することが義務付けられています。

特殊健康診断の2段階構造(有機溶剤を例に):

有機溶剤健診は「一次健診」と「二次健診(特殊項目)」の2段階から構成されます。

  • 一次健診(全員実施): 業務歴・既往歴・自覚症状(頭痛・めまい・皮膚炎等)・貧血検査・肝機能検査(AST・ALT・γ-GTP)・腎機能検査(尿蛋白等)
  • 二次健診(一次で異常がある者・医師が必要と認めた者): 肝臓の超音波検査・神経学的検査・尿中代謝産物測定(生物学的モニタリング)等

この2段階構造は「全員に費用の高い精密検査を行わず、一次健診でスクリーニングして精密検査対象者を絞り込む」という合理的設計です。

電離放射線業務健診の特殊性(電離則第56条):

電離放射線業務の特殊健康診断は「被ばく歴の有無・被ばくの状況」「被ばく線量の測定(線量計記録の確認)」「白血球数・白血球分類・赤血球数」「白内障に関する眼の検査」「皮膚の検査」が主な項目です。電離放射線の健康影響には「確定的影響(閾値がある:白内障・造血障害等)」と「確率的影響(閾値がない:がん・遺伝的影響等)」があり、健診では確定的影響の早期発見が中心となります。

四アルキル鉛の3か月ごと健診:

四アルキル鉛(テトラエチル鉛等)は通常の無機鉛よりも揮発性が高く・経皮吸収が大きく・神経毒性が強いという特殊な性質から、3か月以内ごとという最も頻度の高い特殊健診が義務付けられています。この「3か月ごと」という最短頻度は試験でも出題される特殊なポイントです。

【実務・条文構造】

特殊健康診断の記録の保存期間(業務別の違い):

| 有害業務 | 保存期間 | 根拠 |

|---|---|---|

| 有機溶剤・鉛・特定化学物質(一般) | 5年間 | 各特別規則 |

| 特定化学物質(がん原性物質・ベンゼン・クロム酸等) | 30年間 | 特化則(がん原性物質) |

| じん肺健診 | 7年間 | じん肺法第17条 |

| 電離放射線業務 | 30年間(電磁波・粒子線による放射線業務) | 電離則第57条 |

保存期間が長い物質は「潜伏期が長い疾患(がん・じん肺等)との関連を追跡するため」という理由があります。石綿関連疾患(潜伏期30〜50年)・放射線誘発がんの追跡には長期記録が不可欠です。

がん原性物質(特定化学物質)の特例:

ベンゼン・クロム酸・オルト-トルイジン等のがん原性物質(特化則のがん原性物質リスト該当物質)に係る特殊健康診断の記録は「30年間保存」が義務付けられており、特定化学物質の一般的な5年保存と大きく異なります。

【試験での位置づけ】

特殊健康診断問題の最頻出は「6か月以内ごとに1回という基本頻度(有機溶剤・特化物・電離放射線・鉛・高気圧・石綿)」「例外として四アルキル鉛は3か月以内ごとに1回」「じん肺健診の保存期間7年(他は5年が基本・がん原性は30年)」「生物学的モニタリング(鉛:血中鉛・有機溶剤:尿中代謝産物)が特殊健診の検査項目に含まれる」の4点です。ウのような「電離放射線業務は1年ごと(他より少ない)」という誤りは「一般健診の年1回」という知識との混同から生じる典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 有機溶剤健診の6か月ごと実施は「第1種・第2種有機溶剤」の業務が対象の原則です。ただし有機則第3条の「適用除外」に該当する場合(屋外業務・第3種有機溶剤の一部条件)は健診義務が緩和されることがあります。また雇入れ時・配置替え時の健診は時期に関係なく必ず実施することが義務付けられており、「6か月以内ごと」の定期健診とは別の実施義務です。
  • イ: 特定化学物質の第1類(確認発がん物質:ジクロルベンジジン・アルファナフチルアミン等)は厳格な管理が求められ、健診の記録保存は「がん原性物質」として30年間保存が義務付けられています。第3類(刺激性物質:アンモニア・塩化水素・硫酸等)は「急性中毒のみ」を問題とすることが多く、健診の頻度規定が異なります。
  • エ: 生物学的モニタリングとしての血中鉛測定は、曝露期間と蓄積量の評価に用いられます。通常、血中鉛濃度40μg/dL(旧基準・現在は低下傾向)が健康管理上の判断基準の目安とされてきましたが、近年は「安全な血中鉛濃度はない」(線形無閾値モデル)という考え方も強まっています。尿中デルタアミノレブリン酸(δ-ALA)も鉛曝露の生体影響指標として使用されます。
  • オ: じん肺健診の管理区分別の健診頻度: 管理1(じん肺なし)は3年以内ごと・管理2(じん肺あり・所見軽微)は3年以内ごと・管理3(じん肺あり・軽度または中程度)は1年以内ごと・管理4(高度じん肺所見・療養が必要)は随時健診。じん肺記録の7年保存は、じん肺が不可逆進行性の疾患であり長期追跡が必要なことが理由です。

【根拠】有機溶剤中毒予防規則第29条・特定化学物質障害予防規則第39条・電離放射線障害防止規則第56条・四アルキル鉛中毒予防規則・鉛中毒予防規則第53条・じん肺法第3〜7条・第17条。

【補足】ウ(誤): 電離放射線業務の特殊健診は6か月以内ごとに1回(1年ごとではない)。有害業務の特殊健診の基本頻度=6か月ごと(例外:四アルキル鉛=3か月ごと)。じん肺健診記録=7年保存。がん原性物質の特化則健診記録=30年保存。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 有機溶剤中毒予防規則第29条・特定化学物質障害予防規則第39条・電離放射線障害防止規則第56条・鉛中毒予防規則第53条・じん肺法第3〜7条。各特殊健康診断の頻度・対象・保存期間は各特別規則およびじん肺法に規定。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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