衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働衛生(有害業務) 問31|石綿関連疾患・中皮腫・石綿肺・潜伏期

問題

衛生管理者 | 労働衛生(有害業務) | 第一種

石綿(アスベスト)に関連する疾患および健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

誤りはアです。石綿関連疾患のリスクは累積ばく露量(ばく露濃度×ばく露年数)が多いほど高くなります。長期間の低濃度ばく露でも、年数が長ければ累積ばく露量は大きくなります。さらに中皮腫は、石綿肺・肺がんより低濃度のばく露でも危険性があるとされています。「長期低濃度の方が常にリスクが低い」とはいえません。

ウ(石綿肺=じん肺の一つ・線維化が徐々に進行)・イ(中皮腫の潜伏期間40〜50年)・エ(石綿と喫煙で相加〜相乗的に上昇)・オ(現在は製造等禁止・過去のばく露者にリスク)は正しい内容です。

石綿関連疾患の特徴(環境再生保全機構の解説による):

疾患名概要潜伏期間・ばく露との関係
中皮腫胸膜・腹膜・心膜等に発生する悪性の腫瘍40〜50年。20年以下は非常に少ない。石綿肺・肺がんより低濃度のばく露でも危険性あり
肺がん石綿以外(喫煙等)の原因でも発生多くは30〜40年程度。累積ばく露量が多いほど危険が高い
石綿肺石綿の大量吸入による肺の線維化(じん肺の一つ)大量に長期間ばく露した労働者に起こる
びまん性胸膜肥厚臓側胸膜の慢性線維性胸膜炎高濃度ばく露群で30年、少し低い群で40年という報告

各選択肢の正誤と根拠:

  • ウ(正): 石綿肺は、石綿を大量に吸入することにより肺が線維化する「じん肺」の一つで、線維化が徐々に進行し、呼吸困難が生じる。
  • イ(正): 中皮腫の潜伏期間(初めての石綿ばく露から発症までの期間)は40〜50年と非常に長い。
  • ア(誤): 危険は累積ばく露量が多いほど高くなり、長期間の低濃度ばく露でも累積量は大きくなりうる。中皮腫は低濃度のばく露でも危険性がある。「常に低い」は誤り。
  • エ(正): 肺がん発生の最大の要因は喫煙だが、石綿と喫煙の両方のばく露で肺がんの危険性は相加〜相乗的に高くなる。
  • オ(正): 安衛法第55条・安衛令第16条第1項第4号・第9号で、石綿及び石綿を重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物の製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されている。潜伏期間が長いため、過去のばく露者には現在も発症のリスクがある。

【理論的背景】

石綿関連疾患は、石綿ばく露開始から発症までの潜伏期間が長いことが特徴です。環境再生保全機構の解説では、中皮腫の潜伏期間は40〜50年(20年以下は非常に少なく、10年未満の例はない)、肺がんは多くが30〜40年程度とされています。

ばく露量との関係も疾患ごとに異なります。肺がんは、石綿の累積ばく露量が多いほど危険が高く、ばく露濃度とばく露年数をかけた値が25〜100繊維/ml×年となる累積ばく露量で危険が2倍に増加するとされています(1繊維/mlの職場に25年間働いた場合が25繊維/ml×年)。中皮腫も累積ばく露量が多いほど危険が高くなりますが、石綿肺・肺がんより低濃度のばく露でも危険性があり、家庭内ばく露・近隣ばく露による発症もあります。石綿肺は、石綿を大量に長期間吸入ばく露した労働者に起こります。

このため「長期間の低濃度ばく露なら常にリスクが低い」とはいえません。年数が長ければ累積ばく露量は大きくなり、また低濃度でも中皮腫の危険性があるためです。

【実務・条文構造】

  • 製造等の禁止: 安衛法第55条は、政令で定める物を「製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない」と定め(試験研究のための一定の場合を除く)、安衛令第16条第1項第4号で石綿(分析用試料等を除く)、第9号で石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物が対象とされています。
  • 作業主任者: 石綿等を取り扱う作業等は、作業主任者を選任すべき作業です(安衛令第6条第23号)。
  • 特殊健康診断: 石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務は、健康診断を行うべき有害な業務です(安衛令第22条第1項第3号)。
  • 健康管理手帳: 石綿等の製造・取扱い業務では、両肺野に石綿による不整形陰影や胸膜肥厚があること、又は石綿等の製造作業・吹付け作業・除去作業等に1年以上従事し初めてのばく露から10年以上経過していること、又はそれ以外の石綿等の取扱い作業に10年以上従事したこと等が交付要件です(安衛則第53条第1項の表)。
  • 石綿健康被害救済制度: 対象疾病は中皮腫、石綿による肺がん、石綿肺及びびまん性胸膜肥厚です(石綿肺・びまん性胸膜肥厚は著しい呼吸機能障害を伴うものが対象)。

【試験での位置づけ】

この論点では、①潜伏期間が長い(中皮腫40〜50年・肺がん30〜40年程度)、②危険は累積ばく露量が多いほど高い、③中皮腫は低濃度ばく露でも危険性がある、④石綿と喫煙で肺がんの危険性が相加〜相乗的に上昇、⑤石綿肺はじん肺の一つ、の5点を押さえます。アのように「常に」と断定する記述は、累積ばく露量の考え方と照らして確認します。

【各選択肢の発展補足】

  • ウ: 石綿肺は、肺の線維化により酸素と炭酸ガスの交換を行う機能が損なわれ、呼吸困難が生じます。1970年代後半以降の規制により、新規の発症はほぼなくなりつつあるとされています。
  • イ: 中皮腫は肺を取り囲む胸膜、臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜などに発生します。胸膜中皮腫の男性例では80〜90%に石綿ばく露歴があります。
  • ア: 累積ばく露量は「ばく露濃度×ばく露年数」で表されます。濃度が低くても年数が長ければ累積量は大きくなります。
  • エ: 喫煙しない人の肺がんの危険性を1とすると、喫煙者10倍、石綿ばく露者5倍、喫煙をする石綿ばく露者は約50倍とする報告が知られています(1966年当時の断熱作業者が対象)。1983〜1985年の断熱作業者の調査では相加作用を示したとされ、相互作用の大きさは調査によって異なります。将来の肺がんの危険性を減らすためには禁煙が非常に大切です。
  • オ: 製造等の禁止の規定は安衛法第55条と安衛令第16条です。潜伏期間が長いため、過去のばく露者の健康管理(健康管理手帳など)が重要になります。

【根拠】環境再生保全機構「石綿(アスベスト)関連疾患」、労働安全衛生法第55条、同施行令第6条第23号・第16条第1項第4号・第9号・第22条第1項第3号、労働安全衛生規則第53条。

【補足】ア(誤): 危険は累積ばく露量が多いほど高く、長期の低濃度ばく露でも累積量は大きくなりうる。中皮腫は低濃度でも危険性あり。中皮腫の潜伏期間40〜50年・肺がん30〜40年程度。石綿と喫煙で肺がんの危険性は相加〜相乗的に上昇。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 独立行政法人環境再生保全機構「石綿(アスベスト)関連疾患」(https://www.erca.go.jp/asbestos/what/higai/shikkan.html)、労働安全衛生法第55条・同施行令第16条第1項第4号・第9号(製造等の禁止)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 石綿関連疾患・中皮腫・石綿肺・潜伏期
  • 頻出度A

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