問題
じん肺に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはオです。じん肺は、粉じんの吸入によって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病です(じん肺法第2条)。粉じん(シリカ)の吸入による珪肺症について、MSDマニュアル家庭版は「シリカ(石英)の粉塵を吸い込んだことが原因で肺が恒久的に瘢痕化する病気」とし、「効果が証明された特異的な治療法はありません。治療は主に支持療法です」としています。病変を完全に元に戻せるという記述は誤りです。
ア(定義・石綿肺)・イ(管理一〜管理四・管理四は療養)・ウ(合併症6種類)・エ(管理三は1年以内ごと)は正しい内容です。
じん肺管理区分(じん肺法第4条第2項の表)と定期健康診断(第8条):
| 区分 | じん肺健康診断の結果 | 常時粉じん作業に従事する者の定期健診 |
|---|---|---|
| 管理一 | じん肺の所見がないと認められるもの | 3年以内ごとに1回 |
| 管理二 | エックス線写真の像が第一型で、著しい肺機能の障害がない | 1年以内ごとに1回 |
| 管理三イ | 第二型で、著しい肺機能の障害がない | 1年以内ごとに1回 |
| 管理三ロ | 第三型又は第四型(大陰影が一側の肺野の3分の1以下)で、著しい肺機能の障害がない | 1年以内ごとに1回 |
| 管理四 | 第四型(大陰影が一側の肺野の3分の1を超える)、又は著しい肺機能の障害がある | 療養を要する(第23条) |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): じん肺法第2条第1項第1号の定義のとおり。石綿肺は、石綿を大量に吸入することにより肺が線維化する「じん肺」という病気の一つとされている(環境再生保全機構)。
- イ(正): じん肺管理区分は管理一から管理四まで(第4条第2項)。管理四と決定された者は療養を要する(第23条)。
- ウ(正): じん肺法施行規則第1条は、管理二又は管理三と決定された者に係るじん肺と合併した肺結核・結核性胸膜炎・続発性気管支炎・続発性気管支拡張症・続発性気胸・原発性肺がんを合併症と定める。
- エ(正): 第8条第1項第2号により、常時粉じん作業に従事する労働者で管理二又は管理三であるものは1年以内ごとに1回。
- オ(誤): 珪肺症は肺が恒久的に瘢痕化する病気で、効果が証明された特異的な治療法はなく、治療は主に支持療法とされている。
【理論的背景】
じん肺法は、じん肺を「粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」と定義しています(第2条第1項第1号)。合併症は「じん肺と合併した肺結核その他のじん肺の進展経過に応じてじん肺と密接な関係があると認められる疾病」で(同項第2号)、範囲は厚生労働省令(じん肺法施行規則第1条)で定めます。
珪肺症の例(MSDマニュアル家庭版):
- 原因: 結晶性シリカ(通常は石英)の小さな粒子を吸い込むことで引き起こされる。
- 経過: 吸い込まれたシリカの粉塵はマクロファージなどの食細胞に取り込まれ、食細胞が放出する酵素により肺組織が瘢痕化し、結節が形成される。高強度又は長期間の曝露では結節が融合して進行性の線維化と肺の機能不全を引き起こすことがある。
- 合併症: 結核などの抗酸菌感染症、慢性閉塞性肺疾患、肺がん等のリスクが高くなる。
- 治療: 効果が証明された特異的な治療法はなく、さらなる曝露の回避・症状の管理・合併症の管理が中心。
【実務・条文構造】
じん肺健康診断(じん肺法):
- 方法(第3条): 粉じん作業についての職歴の調査及びエックス線写真(直接撮影による胸部全域)による検査、胸部に関する臨床検査及び肺機能検査、結核精密検査等。
- 種類: 就業時(第7条)、定期(第8条)、定期外(第9条)、離職時(第9条の2)。
- 記録とエックス線写真は7年間保存(第17条第2項)。
管理区分ごとの措置:
- 管理二・管理三イ: 粉じんにさらされる程度を低減させるため、就業場所の変更、作業時間の短縮等の措置を講ずるよう努める(第20条の3)。
- 管理三イ: 都道府県労働局長は、常時粉じん作業に従事している者について、粉じん作業以外の作業への転換を事業者に勧奨できる(第21条第1項)。
- 管理三ロ: 事業者は、粉じん作業以外の作業に常時従事させることとするよう努める(第21条第2項)。
- 管理四: 療養を要する(第23条)。合併症にかかっていると認められる者も療養を要する(同条)。
【試験での位置づけ】
この論点では、①じん肺の定義(線維増殖性変化)、②管理一〜管理四の区分と管理四の療養、③合併症6種類(管理二・管理三の者に係るじん肺と合併したもの)、④定期健診は3年以内ごと(管理二・管理三は1年以内ごと)、⑤病変は元に戻らない(珪肺症は肺が恒久的に瘢痕化)、の5点を押さえます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: じん肺のエックス線写真の像は第一型から第四型までに区分され(第4条第1項)、これと肺機能の障害の有無により管理区分が決まります(第4条第2項)。
- イ: 管理四は、エックス線写真の像が第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超える)のもの、又は第一型〜第四型(大陰影が3分の1以下)で著しい肺機能の障害があるものです。
- ウ: 施行規則第1条の合併症は「じん肺管理区分が管理二又は管理三と決定された者に係るじん肺と合併した」疾病として定められています。
- エ: 常時粉じん作業に従事する労働者は3年以内ごと、そのうち管理二・管理三は1年以内ごとです。粉じん作業以外の作業に常時従事している者でも、管理二は3年以内ごと、管理三は1年以内ごとに定期健診を行います(第8条第1項第3号・第4号)。
- オ: さらなる曝露の回避が重要とされますが、それによって瘢痕化した肺が元に戻るわけではありません。予防(曝露の排除・低減)が最も重要です。
【根拠】じん肺法 第2条・第3条・第4条・第7条・第8条・第9条・第9条の2・第17条・第20条の3・第21条・第23条、じん肺法施行規則 第1条、MSDマニュアル家庭版「珪肺症」、環境再生保全機構「石綿(アスベスト)関連疾患」。
【補足】オ(誤): じん肺の病変は元に戻らない(珪肺症は肺が恒久的に瘢痕化し、効果が証明された特異的な治療法はない)。管理四・合併症は療養。常時粉じん作業従事者の定期健診は3年以内ごと、管理二・管理三は1年以内ごと。合併症6種類(施行規則第1条)。
- じん肺法第2条・第4条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: じん肺法(昭和35年法律第30号)第2条(定義)・第4条第2項の表(じん肺管理区分)・第8条(定期健康診断)・第23条(療養)、じん肺法施行規則第1条(合併症)。じん肺の病変が元に戻らないことは、MSDマニュアル家庭版「珪肺症」(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/%E8%82%BA%E3%81%A8%E6%B0%97%E9%81%93%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%92%B0%E5%A2%83%E6%80%A7%E8%82%BA%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%8F%AA%E8%82%BA%E7%97%87)、石綿肺は環境再生保全機構「石綿(アスベスト)関連疾患」(https://www.erca.go.jp/asbestos/what/higai/shikkan.html)による。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

