社労士試験の年金2科目(厚生年金保険法・国民年金法)の学習の進め方を整理。3階建ての年金制度の構造、老齢・障害・遺族の給付ごとの要件、令和8年度の主な数値(老齢基礎年金の満額・国民年金保険料・在職老齢年金・加給年金額)を、日本年金機構の公表値で確認できる形で解説します。
目次
結論:年金2科目(厚生年金保険法・国民年金法)は、第58回の受験案内で、選択式が各1問(5点)の計10点、択一式が各10問の計20点です。「3階建ての構造→老齢・障害・遺族の要件→令和8年度の数値」の順に整理すると、論点がつながって見えます。
社労士試験の受験生が苦手意識をもちやすいのが年金2科目です。仕組みが複雑で、数値は毎年度改定されます。この記事では、構造と給付の整理に、日本年金機構の公表値で確認できる令和8年度の主な数値を加えます(確認日は2026-10-02)。
年金2科目の配点と基準点
第58回の配点・基準点:選択式は厚年・国年が各1問(5点)、択一式は各10問(10点)。合格基準は、選択式が各科目3点以上(雇用保険法のみ2点以上)、択一式が各科目4点以上。最終確認日:2026-10-02。出典:社労士試験オフィシャルサイト 第58回 受験案内・厚生労働省 第58回社会保険労務士試験の合格基準について。
- 選択式:厚年5点+国年5点=10点(選択式は40点満点)
- 択一式:厚年10点+国年10点=20点(択一式は70点満点)
- 科目ごとの基準点があり、届かない科目があると、総得点にかかわらず合格基準を満たしません
日本の年金制度:3階建て構造の全体像
社労士試験で扱う年金の全体構造を先に把握しましょう。
【3階】企業年金・iDeCo(私的年金・試験での比重小)
↑任意加入
【2階】厚生年金保険(会社員・公務員が加入)
↑強制加入(被用者)
【1階】国民年金・基礎年金(全国民が加入)
↑強制加入(20歳〜60歳)
社労士試験の科目になっているのは、1階(国民年金法)と2階(厚生年金保険法)です。
- 国民年金:被保険者3種(第1号・第2号・第3号)の違い、保険料、受給要件
- 厚生年金:標準報酬月額・報酬比例部分の計算、加入期間と受給額の関係
全体像を先に整理してから、各給付に入る進め方があります。
老齢給付の攻略:受給要件と計算式
老齢基礎年金(国年・1階部分)
受給要件:保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上あり、65歳に達したこと(国民年金法26条)。
満額と計算
老齢基礎年金の満額・令和8年度:昭和31年4月2日以後生まれの方は1か月あたり70,608円(令和7年度は69,308円)、昭和31年4月1日以前生まれの方は1か月あたり70,408円。最終確認日:2026-10-02。出典:日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について。
満額は40年(480月)の全期間納付時の額。未納・免除があると按分減額されます。
計算の考え方:
年金額 = 満額 × (保険料納付済期間などの月数 ÷ 480)
免除期間などの算入割合は、免除の種類と時期で異なります。計算の詳細は、国民年金法27条と、日本年金機構の案内で確認してください。
老齢厚生年金(厚年・2階部分)
受給要件:被保険者期間を有する者が、65歳以上であり、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上であること(厚生年金保険法42条)。
報酬比例部分の計算の考え方:被保険者であった全期間の平均標準報酬額に、一定の乗率を乗じ、被保険者期間の月数を乗じて計算します(同法43条)。乗率は、被保険者期間の時期によって異なります。
計算式の細部は、条文(e-Gov)で確認してください。65歳未満で支給される老齢厚生年金(附則8条)の要件と支給開始年齢は、特別支給の老齢厚生年金の記事で整理しています。老齢厚生年金に加算される配偶者・子の分(加給年金額)と、配偶者が65歳になったときの振替加算は、加給年金の記事で整理しています。
在職老齢年金(令和8年4月の見直し)
在職老齢年金の支給停止の基準額:令和8年4月から月65万円(令和8年3月以前は月51万円)。最終確認日:2026-10-02。出典:日本年金機構 在職老齢年金の見直し。
日本年金機構は、令和7年年金制度改正法に基づき、年金が減額になる基準額(賃金と老齢厚生年金の合計)が、令和8年4月から月51万円から65万円に引き上げられたと案内しています。支給停止額の計算方法は、日本年金機構の案内で確認してください。在職老齢年金の問題演習で定着を確認できます。
在職老齢年金の計算例は、在職老齢年金の計算の記事で扱っています。支給停止調整額は、在職老齢年金の支給停止調整額の問題で確認できます。
障害給付の攻略:障害認定日と受給要件
障害基礎年金(国年)
受給要件(国民年金法30条):
1. 障害の原因となった傷病の初診日に、国民年金の被保険者であるなど、同条の要件に当たること(20歳前、または60歳以上65歳未満で国内に住所がある場合を含む)
2. 保険料納付要件:初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間が3分の2以上あること(直近1年間の未納がない場合の特例もあります)
3. 障害認定日(初診日から1年6か月を経過した日など)に、障害等級1級または2級の障害の状態にあること
直近1年の特例(保険料納付要件の特例)には期限が設けられています。期限は国民年金法の附則で定められているため、受験する年の法令基準日時点の条文で確認してください。
障害厚生年金(厚年)
厚生年金保険には、障害基礎年金にない3級があります(日本年金機構の案内)。
| 級 | 年金額(日本年金機構の案内) |
|---|---|
| 1級 | (報酬比例の年金額)×1.25+配偶者の加給年金額 |
| 2級 | (報酬比例の年金額)+配偶者の加給年金額 |
| 3級 | (報酬比例の年金額)のみ。最低保障額あり |
障害厚生年金の配偶者加給年金額・3級の最低保障額:令和8年4月分から、配偶者の加給年金額は243,800円、3級の最低保障額は昭和31年4月2日以後生まれの方が635,500円(昭和31年4月1日以前生まれの方は633,700円)。最終確認日:2026-10-02。出典:日本年金機構 障害厚生年金の年金額。
障害基礎年金の保険料納付要件は、障害基礎年金の支給要件と保険料納付要件の問題で確認できます。
遺族給付の攻略:受給権者の優先順位
遺族年金では、「誰が受け取れるか(遺族の範囲と順位)」と、受給要件の条件の整理が必要です。
遺族基礎年金(国年)の受給権者:
- 配偶者(子と生計を同じくする場合)または子(18歳到達年度の末日まで、1級・2級の障害の状態にある場合は20歳未満)
遺族厚生年金(厚年)の遺族の範囲(厚生年金保険法59条)。順位は同法の規定で確認してください:
1. 配偶者(夫は55歳以上・60歳まで支給停止)・子
2. 父母(55歳以上・60歳まで支給停止)
3. 孫(18歳到達年度末まで)
4. 祖父母(55歳以上・60歳まで支給停止)
遺族厚生年金の遺族の範囲・年齢要件・支給停止の細目は、厚生年金保険法59条・65条の2などの条文で確認してください。
令和8年度の主な数値(日本年金機構の公表値)
令和8年度の主な数値を、出典と合わせて一覧します(いずれも2026-10-02 時点)。
令和8年度の年金額・保険料:老齢基礎年金の満額は1か月あたり70,608円、国民年金保険料は1か月あたり17,920円、在職老齢年金の基準額は月65万円、加給年金額は配偶者・1人目と2人目の子が各243,800円、3人目以降の子が各81,300円。最終確認日:2026-10-02。出典:日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について・日本年金機構 国民年金保険料の金額・日本年金機構 在職老齢年金の見直し・日本年金機構 加給年金額と振替加算。
| 項目 | 令和8年度 | 令和7年度 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 老齢基礎年金(満額・月額・昭和31年4月2日以後生まれ) | 70,608円 | 69,308円 | 日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について |
| 国民年金保険料(1か月) | 17,920円 | — | 日本年金機構 国民年金保険料の金額 |
| 在職老齢年金の基準額(月) | 65万円 | 51万円 | 日本年金機構 在職老齢年金の見直し |
| 加給年金額(配偶者・1人目と2人目の子、各・年額) | 243,800円 | — | 日本年金機構 加給年金額と振替加算 |
| 加給年金額(3人目以降の子、各・年額) | 81,300円 | — | 日本年金機構 加給年金額と振替加算 |
| 配偶者加給年金額の特別加算(昭和18年4月2日以後生まれの受給権者・年額) | 179,900円(加給年金額の合計423,700円) | — | 日本年金機構 加給年金額と振替加算 |
| 年金額の改定 | 基礎年金1.9%引上げ・報酬比例部分2.0%引上げ | — | 日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について |
これらの数値は、問題演習で繰り返し使いながら定着させる方法があります。教材の数値が何年度のものかを、確認してください。
年金科目の学習の進め方(当サイトの整理)
1. 3階建ての構造と被保険者の種別(国年):体系の骨格を作る
2. 老齢給付の受給要件と満額の計算:基本となる分野から固める
3. 障害給付の受給要件(初診日・障害認定日・保険料納付要件):条文を確認しながら整理
4. 遺族給付の遺族の範囲と要件:受給権の消滅要件も確認
5. 令和8年度の数値の最終確認:直前期に最新値へ更新
厚生年金保険法の問題演習・国民年金法の問題演習で演習できます。
まとめ
- 年金2科目は、選択式が計10点(各5点)、択一式が計20点(各10点)で、各科目に基準点がある
- 3階建ての構造を先に把握してから個別論点へ
- 令和8年度は、在職老齢年金の基準額が月51万円から65万円になった
- 老齢・障害・遺族の受給要件は条文(e-Gov)で確認する
- 数値は年度ごとに改定される。直前期に最新値へ置き換える
年金科目の弱点は、無料演習モードで測定できます。一般常識(社一・労一)対策も合わせて進めましょう。
※ 本記事は、公式の資料(最終確認日 2026-10-02)をもとにオリジナルで作成しています。年金額・保険料等の変動値は最新の公式発表をご確認ください。出典:日本年金機構・厚生労働省。
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よくある質問
Q社労士試験で年金2科目の配点はどのくらいですか?
第58回の受験案内では、選択式は厚生年金保険法と国民年金法が各1問(5点)で計10点(選択式は8科目・40点満点)、択一式は各10問(10点)で計20点(択一式は70点満点)です。各科目には基準点があり、第58回は選択式が各科目3点以上、択一式が各科目4点以上でした。
Q年金の「3階建て」とはどういう意味ですか?
日本の年金制度を3層に整理した言い方です。1階は国民年金(基礎年金)で、20歳以上60歳未満の方が加入します。2階は厚生年金保険で、会社員・公務員が加入します。3階は企業年金・iDeCoなどです。社労士試験では、1階の国民年金法と2階の厚生年金保険法が科目になっています。
Q令和8年度の老齢基礎年金満額はいくらですか?
日本年金機構によると、令和8年度の老齢基礎年金(満額)は、昭和31年4月2日以後生まれの方が1か月あたり70,608円(令和7年度は69,308円)、昭和31年4月1日以前生まれの方が1か月あたり70,408円です(2026-10-02 時点)。数値は毎年度改定されるため、最新値は日本年金機構の公式ページで確認してください。
Q在職老齢年金の支給停止の基準額(65万円)とは何ですか?
日本年金機構によると、令和8年4月から、年金が減額になる基準額(賃金と老齢厚生年金の合計)が月51万円から65万円に引き上げられました(2026-10-02 時点)。基準額を超えた場合の支給停止額の計算は、日本年金機構の「在職老齢年金の計算方法」で確認してください。
Q国民年金の保険料はいくらですか?
日本年金機構によると、令和8年度の国民年金保険料は1か月あたり17,920円です(2026-10-02 時点)。付加保険料を納付する場合は、1か月あたり400円が加わります。保険料は年度ごとに改定されるため、最新値は公式ページで確認してください。
Q令和8年度の年金額は何%改定されましたか?
日本年金機構によると、令和8年度は令和7年度から、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引上げです(2026-10-02 時点)。改定の仕組み(マクロ経済スライドなど)の詳細は、日本年金機構の「年金額の改定」で確認してください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月2日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

