結論:年金2科目は社労士試験の配点最大ゾーン。「3階建て構造→老齢・障害・遺族の受給要件→令和8年度改定数値」の順で理解すれば、数値を丸暗記せずに答えられるようになります。
社労士試験の受験生が最も苦手意識をもつのが年金2科目(厚生年金保険法・国民年金法)です。仕組みが複雑で数値が多く、毎年4月に改定もある。しかし「構造 → 給付種類 → 数値」の順番で理解すれば、難解に見えた論点がつながって見えるようになります。
なぜ年金2科目が最重要か
社労士試験の構成を配点で見ると、年金2科目(厚年・国年)は他の科目と比べて圧倒的に重要です。
- 選択式:厚年5点+国年5点=合計10点(全40点の25%)
- 択一式:厚年・国年合算で10点(全70点の約14%)
- 各科目に足切り(選択式3点・択一式4点)が設定されている
合格には「10科目全部で足切り回避」が必要です。年金2科目は「一発退場(足切り)リスクが最大」かつ「高得点で稼げる科目」という意味で、最も投資対効果が高い科目です。
日本の年金制度:3階建て構造の全体像
社労士試験で扱う年金の全体構造を先に把握しましょう。
【3階】企業年金・iDeCo(私的年金・試験での比重小)
↑任意加入
【2階】厚生年金保険(会社員・公務員が加入)
↑強制加入(被用者)
【1階】国民年金・基礎年金(全国民が加入)
↑強制加入(20歳〜60歳)
社労士試験が問うのは主に1階(国年)と2階(厚年)です。
- 国民年金:被保険者3種(第1号・第2号・第3号)の違い、保険料、受給要件
- 厚生年金:標準報酬月額・報酬比例部分の計算、加入期間と受給額の関係
「3階建て」の全体像を知らないまま個別論点を覚えようとすると、体系が見えず混乱します。まず1〜2階の関係を固めてから各給付に入ることを推奨します。
老齢給付の攻略:受給要件と計算式
老齢基礎年金(国年・1階部分)
受給要件:保険料納付済期間+保険料免除期間の合計が10年以上(令和9年受給権発生者から。現在の原則は10年ルール)
満額と計算
VolatileBox: 令和8年度(2026年4月改定)の老齢基礎年金満額は月額70,608円(昭和31年4月2日以後生まれ)。出典:日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等。最終確認日:2026-06-08。数値は毎年4月改定。
満額は40年(480月)の全期間納付時の額。未納・免除があると按分減額されます。
試験頻出の計算式:
年金額 = 満額 × (保険料納付済期間 ÷ 480)
免除期間は納付済期間の1/2(平成21年4月以降は1/2・それ以前の全額免除は1/3)として算入します。
老齢厚生年金(厚年・2階部分)
受給要件:被保険者期間が1ヶ月以上かつ老齢基礎年金の受給資格期間を満たすこと
計算式(報酬比例部分):
報酬比例部分 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 被保険者月数
(平成15年4月以後分の計算式)
試験では計算式の完全暗記より、「平均標準報酬額に乗率を掛けて被保険者月数を乗ずる」という構造の理解が問われます。
在職老齢年金(令和8年度改正・最重要論点)
VolatileBox: 在職老齢年金の支給停止調整額が50万円から65万円に引上げ(令和8年4月1日施行)。出典:日本年金機構 在職老齢年金制度改正。最終確認日:2026-06-08。
令和8年度試験の最重要改正論点。「基本月額+総報酬月額相当額が650,000円を超えた場合に超過分の1/2を停止」という新基準を必ず押さえてください。過去問で在職老齢年金の問題を演習することで定着します。
障害給付の攻略:障害認定日と受給要件
障害基礎年金(国年)
受給要件(3点セット):
1. 障害の原因となった傷病の初診日に被保険者または60〜65歳の資格喪失者
2. 保険料納付要件:初診日の前日において、①前々月までの被保険者期間のうち保険料納付済+免除期間が2/3以上、または②直近1年間に保険料未納なし(直近1年特例)
3. 障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)に1級または2級の障害状態
VolatileBox: 直近1年特例の経過措置期限は令和18年(2036年)3月31日まで延長。出典:国民年金法附則/厚生労働省。最終確認日:2026-06-08。
VolatileBox: 令和8年度の障害基礎年金1級年額は1,059,125円(2級の1.25倍)、子の加算額(1人目・2人目各)は243,800円/年。出典:日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等。最終確認日:2026-06-08。
障害厚生年金(厚年)
厚年独自の3級と障害手当金が国年と大きく異なる点です。
| 級 | 要件 | 年金額 |
|---|---|---|
| 1級 | 1号障害+1.25倍加算 | 報酬比例部分×1.25+配偶者加給年金額 |
| 2級 | 2号障害 | 報酬比例部分+配偶者加給年金額 |
| 3級 | 3号障害(厚年独自) | 報酬比例部分のみ(最低保障:635,500円/年) |
| 障害手当金 | 5号障害(一時金) | 報酬比例部分×2(最低保障:1,271,000円) |
VolatileBox: 障害厚生年金3級最低保障額(昭和31年4月2日以後生まれ):635,500円/年(令和8年度)。出典:日本年金機構。最終確認日:2026-06-08。
遺族給付の攻略:受給権者の優先順位
遺族年金で問われるのは主に「誰が受け取れるか(受給権者の順位)」と「受給要件の細かい条件」です。
遺族基礎年金(国年)の受給権者:
- 配偶者(子と生計維持)または子(18歳到達年度末まで・1級・2級障害者は20歳まで)
遺族厚生年金(厚年)の受給権者(優先順位順):
1. 配偶者(夫は55歳以上・60歳まで支給停止)・子
2. 父母(55歳以上・60歳まで支給停止)
3. 孫(18歳到達年度末まで)
4. 祖父母(55歳以上・60歳まで支給停止)
VolatileBox: 中高齢寡婦加算(遺族厚生年金・40歳以上65歳未満の妻):635,500円/年(令和8年度)。加給年金額(配偶者・昭和18年4月2日以後生まれの受給権者):423,700円/年(基本243,800円+特別加算179,900円)。出典:日本年金機構 加給年金額と振替加算。最終確認日:2026-06-08。
令和8年度の重要改定数値まとめ
試験に出やすい令和8年度の最新数値を一覧します。
VolatileBox(年金額・保険料 令和8年度):すべて2026年4月1日施行。最終確認日:2026-06-08。出典:日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等。
| 項目 | 令和8年度 | 令和7年度(前年) |
|---|---|---|
| 老齢基礎年金 満額(S31.4.2以後生まれ・月額) | 70,608円 | 69,308円 |
| 国民年金保険料(月額) | 17,920円 | 17,510円 |
| 在職老齢年金 支給停止調整額 | 650,000円 | 500,000円 |
| 障害基礎年金 1級(年額) | 1,059,125円 | 1,039,625円 |
| 子の加算 1・2人目(各・年額) | 243,800円 | 239,300円 |
| 子の加算 3人目以降(各・年額) | 81,300円 | 79,800円 |
| 改定率(マクロ経済スライド後) | +1.9% | +2.7% |
これらの数値は過去問演習で繰り返し使いながら定着させることを推奨します。
年金科目の効率的な学習順
1. 3階建て構造と被保険者3種(国年)の理解:体系の骨格を作る
2. 老齢給付の受給要件と満額計算:最頻出分野から固める
3. 障害給付の受給要件(特に初診日・認定日・保険料納付要件):選択式頻出
4. 遺族給付の受給権者と優先順位:受給権消滅要件も必ず確認
5. 令和8年度改定数値の最終確認:直前期に揃える
内部リンク:年金過去問は厚生年金保険法の過去問・国民年金法の過去問で演習できます。
まとめ
- 年金2科目は社労士試験の配点最大・足切りリスク最高の最重要科目
- 3階建て構造を先に把握してから個別論点へ
- 令和8年度の最重要改正:在職老齢年金の65万円基準
- 老齢・障害・遺族の受給要件3点セットを確実に押さえる
- 数値は毎年4月改定。直前期に最新値への置き換えを必ず実施
年金をマスターすれば社労士試験の合格が一気に近づきます。無料演習モードで年金科目の弱点を測定してから、一般常識の足切り対策も同時に進めましょう。
---
※ 本記事は公開時点の情報をもとにオリジナルで作成しています。年金額・保険料等の変動値は最新の公式発表をご確認ください。出典:日本年金機構・厚生労働省。