問題
労働保険事務組合に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエ(誤っている記述)です。
事業主が労働保険事務組合に事務委託している場合に認められる特別加入(労災保険)は、第1種特別加入(中小事業主等の特別加入)です。第2種特別加入は「一人親方・特定作業従事者」が対象であり、事務組合委託の中小事業主が利用するのは第2種ではなく第1種です(エが誤り)。
アは正しく、事務組合は認可(徴収法第33条第2項の厚生労働大臣の認可。権限は都道府県労働局長に委任)を受けた事業主の団体です。イは正しく、事務組合経由の延納特例は委託事業主の保険料額に関わらず適用されます(通常は40万円以上が要件ですが、事務組合経由は金額不問)。ウは正しく、委託に概算保険料額の要件はなく、小規模事業主でも委託可能です。オは正しく、事務組合が納付の責めを負うのは、事業主から交付を受けた金銭の限度等に限られ(徴収法第35条第1項・第2項)、滞納保険料の立替義務はありません。
労働保険事務組合の制度概要(必須整理):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 徴収法第33条〜第35条 |
| 認可権者 | 厚生労働大臣(第33条第2項。権限は都道府県労働局長に委任) |
| 組合の性格 | 中小事業主等の団体(商工会・事業協同組合等が多い) |
| 取り扱う事務 | 保険関係成立届・概算/確定保険料申告・労災保険給付の請求補助等 |
| 委託の要件 | 金額要件なし(保険料の多少を問わず委託可能。ただし常時300人(金融・保険・不動産・小売50人、卸売・サービス100人)を超える労働者を使用する事業主は委託できない:施行規則第62条) |
| 委託のメリット① | 延納特例: 概算保険料が40万円未満でも分割(延納)が可能(通常は40万円以上で延納資格) |
| 委託のメリット② | 特別加入: 中小事業主が第1種特別加入(労災保険)に加入できる |
| 事務組合の責任 | 事業主から交付された金銭の限度、事務組合の責めに帰すべき追徴金・延滞金の限度で納付責任(第35条)。滞納保険料の立替義務なし |
労災保険 特別加入の3区分(エの誤り根拠):
| 種類 | 対象 | 委託との関係 |
|---|---|---|
| 第1種特別加入 | 事務組合に委託している中小事業主・役員・家族従事者 | 事務組合委託が要件 |
| 第2種特別加入 | 一人親方・特定作業従事者(大工・農業・ITフリーランス等) | 事務組合と無関係(特別加入団体経由) |
| 第3種特別加入 | 海外派遣者 | 国内事業主が申請 |
エの記述「第2種特別加入」は誤り。事務組合経由の特別加入は第1種(中小事業主等)です。
通常延納と事務組合経由延納の比較:
| 区分 | 通常の延納(継続事業) | 事務組合経由の延納特例 |
|---|---|---|
| 概算保険料要件 | 40万円以上(確認日2026-06-08) | 要件なし(金額不問) |
| 分割回数 | 最大3回(継続事業の年度当初は第1期7月10日・第2期10月31日・第3期翌年1月31日。年度途中成立は2回等) | 同じ(納期限は事務組合委託の特例あり) |
| 適用対象 | 一般的な中・大規模事業主 | 小規模事業主でも適用可 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 事務組合の定義は法第33条第1項、認可は同条第2項(厚生労働大臣。権限は都道府県労働局長に委任)。
- イ(正): 事務組合経由の延納特例は金額不問。40万円未満でも延納可。
- ウ(正): 委託の金額要件なし。小規模事業主でも委託可能。
- エ(誤・正答): 事務組合委託中小事業主の特別加入は第1種(第2種は一人親方)。
- オ(正): 事務組合の納付責任は交付を受けた金銭の限度等に限られ(法第35条)、滞納保険料の立替義務なし。
【労働保険事務組合の「代理」と「代行」の法的性格】
事務組合は事業主の「代理人」として位置づけられています(徴収法第33条)。法的に重要なのは:
1. 代理の効果: 事務組合が申告・納付した労働保険料の効果は事業主に帰属する(事業主自身が申告・納付したものと同一の法的効力)
2. 保険料の実質負担: あくまでも事業主が保険料を負担・支払う(事務組合は代行するだけ)
3. 滞納責任: 事業主が滞納した保険料について、事務組合に立替義務はない。事務組合が納付の責めを負うのは、事業主から交付を受けた金銭の限度(第35条第1項)と、事務組合の責めに帰すべき理由による追徴金・延滞金の限度(同条第2項)で、事務組合から徴収しきれない残余は事業主から徴収される(同条第3項)
また、事務組合は、不正受給に関する事業主の連帯納付等の規定(労災保険法第12条の3第2項・雇用保険法第10条の4第2項)の適用については事業主とみなされます(第35条第4項)。
【第1種特別加入の詳細(中小事業主等)】
事務組合に委託している中小事業主が利用できる第1種特別加入の要件:
委託の中小事業主の要件(業種別従業員数):
| 業種 | 常時使用する労働者数 |
|---|---|
| 金融業・保険業・不動産業・小売業 | 50人以下 |
| 卸売業・サービス業 | 100人以下 |
| その他の事業(製造業・建設業等) | 300人以下 |
特別加入できる者の範囲(第1種):
- 中小事業主本人
- 同居の家族従事者(配偶者・子・孫・祖父母・兄弟姉妹で事業に従事している者)
- 法人の役員(代表者含む)
家族従事者の範囲は同居が要件であることに注意(別居家族は対象外)。
給付基礎日額の設定:
特別加入者は通常の賃金(賃金日額)がないため、「給付基礎日額」を自分で選択して設定します(3,500円〜25,000円の範囲から選択)。この設定額が保険料算定と給付の基礎となります。
【第2種特別加入(一人親方等)との実務上の境界線】
試験頻出の第1種・第2種の混同問題の本質:
| 判断基準 | 第1種(中小事業主) | 第2種(一人親方等) |
|---|---|---|
| 事業主として労働者を雇うか | 雇用している(または小規模) | 雇用していない(個人で作業) |
| 加入経路 | 事務組合に委託 | 特別加入団体経由 |
| 代表的な対象 | 製造業・建設業の中小事業主 | 大工・左官・農業・IT系フリーランス等 |
「事務組合に委託しているが一人でも労働者を雇っていない個人事業主」→ 状況によって第1種または第2種のどちらが適用されるか、実務上も判断が必要なケースがあります。
【延納特例が小規模事業主に与える影響と社労士の実務支援】
通常の延納は概算保険料40万円以上(労災のみ・雇用のみ成立の場合は20万円以上)が要件ですが、事務組合経由では金額不問で延納できます。
小規模事業主にとっての効果:
- 概算保険料が例えば10万円でも3期(3回)分割で納付可能
- 資金繰りの緩和(一括納付の資金的負担軽減)
- 事務組合手数料(年間数千円〜1万円程度)を支払っても延納メリットが大きい場合あり
社労士の実務サポート(事務組合制度の活用提案):
1. 小規模事業主(従業員3〜5名)への事務委託の提案と手続き支援
2. 特別加入(第1種)申請の書類作成(事業主本人・家族従事者の加入手続き)
3. 給付基礎日額の最適選択アドバイス(補償額と保険料のバランス)
4. 年度更新時の賃金集計・申告書作成の代行
特に一人親方が事業拡大して従業員を雇い始めた場合の第2種→第1種への切替手続きは、社労士が積極的に支援すべき実務場面です。
【令和8年度試験の確認ポイント(数値)】
- 事務組合委託の金額要件: なし(金額不問)
- 延納特例: 金額不問(通常要件40万円以上→事務組合経由は不問)(確認日2026-06-08・出典: 徴収法第18条)
- 第1種特別加入の対象: 中小事業主・同居家族従事者・法人役員
- 第2種特別加入の対象: 一人親方・特定作業従事者(事務組合委託は不要)
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第33条・第35条・第18条e-Govで原文を読む
- 労働者災害補償保険法第12条の3e-Govで原文を読む
- 雇用保険法第10条の4e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第33条(労働保険事務組合。第2項=厚生労働大臣の認可、権限は都道府県労働局長に委任)・第35条(事務組合の責任:交付を受けた金銭の限度等)・第18条(延納)・同法施行規則第62条(委託できる事業主の規模)・労働者災害補償保険法第33条・第34条(特別加入・中小事業主等) 出典一次ソース: 厚生労働省「労働保険事務組合制度について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/rousai/080123_01.html(確認日2026-06-08) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

