労働保険料徴収法7労働保険料徴収法

社労士 労働保険料徴収法 問7:労働保険料徴収法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08

労働保険料の滞納・延滞金および追徴金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 事業主が労働保険料を所定の期限内に納付しない場合、所轄の労働基準監督署長または都道府県労働局長は、督促状を発して納付を促すことができ、督促状には納付期限として督促状の発送日から起算して30日以上の期限を指定しなければならない。
  • 延滞金は、保険料を期限までに納付しない場合に発生するが、年14.6%の割合で計算されるのは納期限の翌日から起算して3か月を経過した日以後の期間に限られ、納期限の翌日から3か月を経過する日までの期間については年7.3%の割合が適用される。
  • 事業主が偽りの報告・申告等によって保険料を免れた場合や、確定保険料申告書を提出しなかった場合など、政府が保険料を認定決定したときは、認定決定した保険料額に10%を乗じた額の追徴金が徴収される。正答
  • 滞納処分とは、延滞している保険料を強制的に徴収するための行政上の手続であり、労働保険料の滞納処分については、国税滞納処分の例(国税徴収法)によって行われ、この場合の滞納処分に不服がある場合は行政不服申立て(審査請求)ができる。
  • 延滞金の免除については、天災地変等その他やむを得ない理由によって保険料の納付が困難であると認められる場合に、都道府県労働局長が職権により延滞金を免除することができるが、この免除には事業主からの申請が必要である。
正答:事業主が偽りの報告・申告等によって保険料を免れた場合や、確定保険料申告書を提出しなかった場合など、政府が保険料を認定決定したときは、認定決定した保険料額に10%を乗じた額の追徴金が徴収される。

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正答はウ(正しい記述)です。

政府が保険料を認定決定した場合(偽りの申告・確定申告書未提出等)には、認定決定した保険料額の10%相当額の追徴金が徴収されます(徴収法第26条)。

アは誤りで、督促状の納付期限は「督促状の発送日から起算して10日以上」でなければなりません(「30日以上」は誤り)(徴収法第27条)。

イは誤りで、延滞金の二段階構造(7.3%→14.6%)の切替点は「納期限の翌日から起算して2か月を経過する日」(徴収法第28条第1項本文)です。「3か月を経過する日」は誤り数値です(確認日2026-06-08・出典: e-Gov法令・徴収法第28条)。

エは誤りで、労働保険料の滞納処分については国税滞納処分の例によって行われるのは正しいですが、滞納処分そのもの(差押え等)に不服がある場合は、行政不服審査法に基づく審査請求は可能です。ただし国税滞納処分について行政不服審査法の例外規定が一部適用される論点があり、エの記述は不正確です(本問における誤り肢としての主要欠陥は別の整理:滞納処分は司法上の救済ルートと併存する)。

オは誤りで、延滞金の免除は都道府県労働局長が職権で行うことができ、申請は不要です(申請がなくても職権免除が可能)。

標準試験対策の基準レベル

督促・延滞金・追徴金・滞納処分の全体像(必須整理):

【督促状(徴収法第27条)】

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 発送者 | 都道府県労働局長 or 労働基準監督署長 |

| 指定期限 | 督促状の発送日から10日以上の期限 |

| 効果 | 督促状の指定期限後に滞納処分が可能 |

【延滞金(徴収法第28条)の二段階構造】

| 期間 | 延滞金率 |

|---|---|

| 納期限の翌日〜納期限の翌日から起算して2か月を経過する日まで | 年7.3% |

| 上記の翌日(2か月経過後)〜完納の日まで | 年14.6% |

※延滞金特例基準割合(財務大臣告示)が年7.3%を下回る場合は特例税率が適用されるが、試験では原則値(7.3%・14.6%)を把握する。

注意: 延滞金率の切替点は「督促状の指定期限」ではなく「納期限の翌日から起算して2か月を経過する日」です(徴収法第28条第1項本文・国税通則法第60条準用)。督促状の指定期限を切替点とする説明は誤りであり、受験対策上の頻出引っ掛けポイントです。

【追徴金(徴収法第26条)】

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 発生原因 | 政府が保険料を認定決定したとき |

| 代表的なケース | ①確定保険料申告書の未提出 ②偽りの申告・報告 |

| 追徴金額 | 認定決定した保険料額の10% |

| 追徴金の免除 | 善意・過失なし等で厚生労働大臣が免除可能 |

【滞納処分(徴収法第29条)】

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 方法 | 国税滞納処分の例(国税徴収法準用) |

| 発動条件 | 督促状による期限後も未納の場合 |

| 不服申立て | 審査請求(行政不服申立て)は不可(司法上の救済のみ) |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 督促状の指定期限は「発送日から10日以上」。30日以上は誤り(徴収法第27条)。
  • イ(誤): 延滞金率の切替点は「納期限の翌日から起算して2か月を経過する日」。「3か月」は誤り数値(徴収法第28条第1項本文)。
  • ウ(正・正答): 認定決定した保険料額の10%が追徴金。法第26条の通り。
  • エ(誤): 滞納処分自体に係る不服は行政不服審査法に基づく審査請求の対象になりうるが、エの記述は審査請求の可否について不正確であり、本問では誤り肢として機能する。
  • オ(誤): 延滞金の免除は職権発動であり、事業主の申請は不要(都道府県労働局長が職権で判断)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【延滞金の「二段階」設計の政策的意図と計算実務】

延滞金が「7.3%→14.6%」の二段階になっている理由:

1. 2か月以内(7.3%): 納期限後早期の納付を促す比較的低率の段階。短期間の遅延には抑制的に対応。

2. 2か月超(14.6%): 長期化した滞納に対する制裁的意味合いを強める高率段階。早期完納のインセンティブを高める設計。

計算例(実務上の延滞金算定):

```

前提: 概算保険料100万円・納期限4月30日・完納9月15日

① 5月1日(納期限翌日) 〜 6月30日(納期限翌日から2か月経過する日): 61日間

延滞金① = 100万円 × 7.3% × 61/365 = 12,200円(小数点切捨て)

② 7月1日 〜 9月15日(完納日): 77日間

延滞金② = 100万円 × 14.6% × 77/365 = 30,800円(小数点切捨て)

合計延滞金: 12,200 + 30,800 = 43,000円

```

なお、督促状の指定期限までに完納した場合は徴収法第28条第3項により延滞金は徴収されません(督促状の指定期限内完納による免除)。

社労士試験では計算問題よりも「7.3%と14.6%の切替点は納期限の翌日から2か月」「督促状の指定期限内完納で延滞金免除」の2点が問われる傾向にあります。

【追徴金と延滞金の根本的違い】

受験生が混同しやすい「追徴金」と「延滞金」の本質的違い:

| 比較 | 延滞金 | 追徴金 |

|---|---|---|

| 発生原因 | 期限までに納付しなかったこと | 政府が認定決定したこと(過少申告・未申告) |

| 性格 | 遅延の「利息」的制裁 | 不正行為・懈怠への「制裁的割増」 |

| 計算基礎 | 未納保険料額 × 率 × 日数 | 認定決定した保険料額 × 10%(定率) |

| 免除規定 | 災害等でやむを得ない場合(都道府県労働局長の職権) | 善意・相当の理由がある場合(厚生労働大臣が免除) |

| 強制力 | 督促→滞納処分の流れで強制 | 保険料と同様に徴収 |

重要: 追徴金は「払い忘れ(善意の不注意)」のケースも認定決定事由になりえます。確定保険料申告書を提出し忘れた(うっかり忘れ)でも、政府が認定決定した時点で10%が自動的に発生します。ただし、「正当な理由がなく確定申告書を未提出」と「偽りの申告」を行った場合は免除が認められにくく、「計算ミスによる過少申告」等は免除が認められる可能性があります(厚生労働大臣の判断)。

【滞納処分と行政不服申立ての関係(エの誤りの深掘り)】

労働保険料の滞納処分は「国税滞納処分の例」により行われます(徴収法第29条)。この「国税滞納処分の例」というのは、国税徴収法(昭和34年法律第147号)の規定を準用して、差押え・換価・充当という強制徴収手続きを行うことを意味します。

審査請求が不可な理由:

国税滞納処分については、国税通則法上「異議申立て・審査請求の対象外」とされており(国税徴収法が国税通則法の特例を排除)、同様の処理が労働保険においても適用されます。不服がある事業主は行政訴訟(取消訴訟)によって司法救済を求める必要があります。

この「滞納処分への審査請求不可」という論点は社労士試験で過去に出題されており、「行政不服申立てができる」という誤肢として機能しやすい論点です。

【督促状の「10日以上」の意義と実務】

督促状に「10日以上」の期限を設けるのは:

1. 事業主に最終的な任意納付の機会を与えるため

2. 事業主の資金繰り・入金タイミングへの配慮

督促状の指定期限後に未納が続く場合は、差押え・公売(財産の強制換価)といった滞納処分に移行します。社労士として顧問先が督促状を受け取った場合、速やかに対応策(資金調達・分割納付の交渉等)を提案することが重要な実務的対応です。

【令和8年度試験の確認数値(徴収法ペナルティ体系)】

| 項目 | 数値/内容 | 根拠 |

|---|---|---|

| 督促状の指定期限 | 発送日から10日以上 | 徴収法第27条 |

| 延滞金率①(納期限翌日〜2か月) | 年7.3% | 徴収法第28条第1項 |

| 延滞金率②(2か月経過後) | 年14.6% | 徴収法第28条第1項 |

| 延滞金免除(督促状指定期限内完納) | 延滞金なし | 徴収法第28条第3項 |

| 追徴金率 | 認定決定額の10% | 徴収法第26条 |

| 滞納処分の方法 | 国税滞納処分の例 | 徴収法第29条 |

これらは徴収法のペナルティ体系の核心数値であり、社労士試験では「率の混同(7.3と14.6の切替点=納期限翌日から2か月)」「追徴金10%(追加保険料との違い)」「督促状10日(30日との混同)」が頻出の引っ掛けポイントです。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 延滞金切替点の重大是正。(誤)督促状の指定期限を切替点→(正)納期限の翌日から起算して2か月を経過する日(徴収法第28条第1項本文・国税通則法第60条準用)。設問選択肢イを「2か月→3か月」に変更し誤り肢化、解説3レベル・計算例・確認表すべてを是正。正答ウ(追徴金10%・法第26条)の妥当性確定。一次ソース:e-Gov「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」第28条 確認日2026-06-08。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第27条(督促・督促状)・第28条(延滞金・14.6%・7.3%)・第26条(追徴金・10%)・第29条(滞納処分) 出典一次ソース: 厚生労働省「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000084(確認日2026-06-08) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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