問題
労働保険料の督促・延滞金および追徴金に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイ(誤っている記述)です。
法第21条第1項は追徴金の額を「納付すべき額(千円未満切捨て)の100分の10」と定めていますが、同項ただし書は「事業主が天災その他やむを得ない理由により、労働保険料又はその不足額を納付しなければならなくなった場合は、この限りでない」、つまり追徴金を徴収しないと定めています。イは「免除されない」としており、このただし書と矛盾するため誤りです。
ア・ウ・エ・オはいずれも督促状の指定期限(10日以上)、延滞金の二段階の率(7.3%→14.6%、切替点は納期限の翌日から2か月経過日)、少額(千円未満)不徴収、滞納処分(国税滞納処分の例)の条文どおりで正しい記述です。
督促・延滞金・追徴金の全体像(法第21条・第27条・第28条):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 督促の指定期限 | 督促状を発する日から10日以上経過した日(法第27条第2項) |
| 延滞金率① | 納期限の翌日〜2か月を経過する日まで:年7.3%(本則) |
| 延滞金率② | 延滞金率①の期間経過後〜完納または財産差押えの日の前日まで:年14.6%(本則) |
| 延滞金率の特例 | 当分の間、延滞税特例基準割合が年7.3%未満の年は、①=特例基準割合+1%(上限7.3%)、②=特例基準割合+7.3%(附則第12条) |
| 延滞金の不徴収 | 労働保険料の額が1,000円未満(法第28条第1項ただし書) |
| 追徴金(一般保険料) | 認定決定額(不足額)の100分の10(法第21条第1項) |
| 追徴金の免除 | 天災その他やむを得ない理由がある場合は徴収しない(法第21条第1項ただし書) |
| 追徴金の不徴収 | 労働保険料・不足額が1,000円未満(法第21条第2項) |
イが誤りである根拠:
法第21条第1項ただし書は、追徴金について「事業主が天災その他やむを得ない理由により…納付しなければならなくなった場合は、この限りでない」と明記しており、この場合は追徴金を徴収しません。イの「免除されない」は条文と正反対です。
各選択肢の精査:
- ア(正): 督促状の指定期限は発送日から10日以上(法第27条第2項)。
- イ(誤・正答): 天災その他やむを得ない理由がある場合、追徴金は徴収されない(法第21条第1項ただし書)。
- ウ(正): 延滞金の二段階率(7.3%→14.6%、切替点は納期限翌日から2か月経過日)は法第28条第1項本文の条文どおり。当分の間の特例(附則第12条)にも触れており正しい。
- エ(正): 労働保険料が1,000円未満なら延滞金不徴収(法第28条第1項ただし書)。
- オ(正): 督促後に未納なら国税滞納処分の例による処分が可能(法第27条第3項)。
【追徴金の免除規定(法第21条第1項ただし書)の趣旨】
追徴金は、確定保険料の申告を怠った、あるいは申告額に誤りがあったために政府が認定決定を行った事業主に対する制裁的な性格を持つ徴収金です(100分の10)。しかし、事業主の帰責性がない場合にまで一律に制裁を科すのは公平性を欠くため、法第21条第1項ただし書は「天災その他やむを得ない理由」がある場合は追徴金を徴収しないと定めています。これは同じ法律の延滞金の免除規定(法第28条第5項5号「労働保険料を納付しないことについてやむを得ない理由があると認められる場合」)と共通する発想であり、徴収法上のペナルティ規定には一貫して「やむを得ない事情への配慮」が組み込まれています。
延滞金の二段階率の設計(ウの補足)
延滞金が「7.3%→14.6%」の二段階になっているのは、納期限後早期の納付を促す抑制的な低率段階(2か月以内)と、長期化した滞納への制裁性を強めた高率段階(2か月超)を分けることで、早期完納のインセンティブを高める設計です。切替点は「督促状の指定期限」ではなく「納期限の翌日から2か月を経過する日」である点に注意が必要です(法第28条第1項本文)。なお、この年7.3%・年14.6%は本則の割合で、当分の間は附則第12条により、各年の延滞税特例基準割合が年7.3%に満たない場合、年7.3%の部分は「特例基準割合+年1%(年7.3%が上限)」、年14.6%の部分は「特例基準割合+年7.3%」に読み替えられます。延滞金は、督促状の指定期限までに完納したとき・延滞金の額が100円未満のときなども徴収されません(法第28条第5項)。
督促・滞納処分の流れ(ア・オの補足)
労働保険料が未納の場合、政府はまず期限を指定して督促し(法第27条第1項)、督促状には発送日から10日以上経過した日を指定期限として記載します(同条第2項)。指定期限までに納付がなければ、政府は国税滞納処分の例によって強制的に徴収することができます(同条第3項)。この一連の手続は、税と同様の強力な徴収権限を労働保険料にも認めるものです。
追徴金と延滞金の違いの整理
追徴金(法第21条)は「政府による認定決定」を原因として発生し、認定決定額(不足額)の10%という定率のペナルティです。延滞金(法第28条)は「納期限までに納付しなかったこと」を原因として発生し、未納期間の日数に応じた利息的な性格を持ちます。追徴金は「天災その他やむを得ない理由」により納付しなければならなくなった場合(法第21条第1項ただし書)、延滞金は「納付しないことについてやむを得ない理由があると認められるとき」(法第28条第5項第5号)に徴収されないという違いもあります。発生原因・計算方法・徴収しない場合の書き方が異なることを正確に区別することが、この分野の学習の核心です。
社労士実務での留意点
顧問先が確定保険料の申告を怠り認定決定を受けた場合、追徴金の額(不足額の10%)とあわせて、法第21条第1項ただし書・第2項(1,000円未満)により追徴金が徴収されない場合に当たるかを条文で確認して説明できることが実務的な価値になります。
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第21条(追徴金)・第27条(督促及び滞納処分)・第28条(延滞金) 一次ソース: e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000084#Mp-At_21 (法令API v2で全文取得・確認日2026-09-30) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

