社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 雇用保険法 問1|基本手当日額の上限と賃金日額の関係

問題

社労士 | 雇用保険法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

雇用保険の基本手当日額に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はア(正しい記述)です。

基本手当日額は「賃金日額 × 給付率」で算定しますが、算定された額が上限額を超えれば上限額が適用されます。上限額は年齢区分によって異なり、45〜60歳未満が最も高く設定されています(雇用保険法第17条第4項が賃金日額の上限額を年齢区分ごとに定め、それに第16条の給付率を乗じた額が基本手当日額の上限になります)。これは中高年層の高賃金水準を反映した設計です。

イは誤りで、ボーナス等の臨時の賃金は賃金日額の算定に含まれません。ウは誤りで、年齢区分ごとに異なるのは上限額だけです。最低額は年齢にかかわらず一定です(令和8年8月1日以後 2,562円/日)。エは誤りで、賃金日額の上限と基本手当日額の上限は別の金額です。オは誤りで、上限額の改定は4月ではなく毎年8月1日です。

基本手当日額の計算フロー(必須整理):

```

Step1: 賃金日額の算定

離職前6か月の賃金総額(臨時賃金・ボーナス除く)÷ 180 = 賃金日額

↓(賃金日額にも上限あり→上限超えは上限額を適用)

Step2: 給付率の確認(賃金日額に応じてスライド)

低賃金(80%)←───給付率───→ 高賃金(50%)

※賃金日額が低いほど給付率が高くなる(低所得者保護)

Step3: 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率

↓(上限・下限の適用)

Step4: 上限超え → 年齢区分別上限額を適用

下限未満 → 最低額を適用(年齢不問で一定額)

```

年齢区分別 基本手当日額上限(令和8年8月1日改定値・2026年10月1日時点の現行値):

年齢区分上限額(円/日)
29歳以下7,450円/日
30〜44歳8,270円/日
45〜59歳(最高)9,110円/日
60〜64歳7,830円/日
最低額(全年齢共通)2,562円/日

各選択肢の解説:

  • ア(正): 賃金日額の上限額は年齢区分別に定められ(法第17条第4項第2号イ〜ニ。45歳以上60歳未満が最高)、これに給付率(法第16条)を乗じた額が基本手当日額の上限になる。そのため基本手当日額の上限も45〜60歳未満が最高。
  • イ(誤): 賃金日額の算定対象は「毎月きまって支払われる賃金」のみ。ボーナス・一時金・3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除外(法第17条第1項)。
  • ウ(誤): 年齢区分ごとに異なるのは上限額だけで、最低額は年齢にかかわらず一定(令和8年8月1日以後 2,562円/日)。
  • エ(誤): 賃金日額の上限額と基本手当日額の上限額は別に設定されている(法第17条第4項 vs 第16条第1項)。賃金日額の上限を超えた場合の基本手当日額は、「賃金日額上限×給付率50%(60歳以上65歳未満は45%:法第16条第2項)」が上限となる構造。
  • オ(誤): 上限額・最低額の改定は毎年8月1日(雇用保険法第18条による自動変更。厚生労働大臣が変更)。「4月1日改定」は誤り。直近の改定は令和8年8月1日(令和8年度試験=4月10日基準日では、その前の令和7年8月1日改定値が出題対象だった)。

【基本手当日額の設計思想:所得代替機能と逆進性補正】

雇用保険の基本手当は、失業者の「急激な所得喪失を緩和する」ことを目的とした所得代替給付です。しかし単純に「従前賃金の○%」とすると、高賃金者は高額の給付を受け、低賃金者は最低限の生活すら維持できない、という問題が生じます。これを解決するため、賃金日額と給付率が逆進的な関係(賃金が低いほど給付率が高い)に設計されています。

給付率の段階(法第16条):

賃金日額が低いほど給付率は80%に近づき、高いほど50%に収束する設計です。この「スライド式給付率」は、①低所得失業者の生活保障、②高所得者への過度な給付抑制、③財政バランスの三つを同時に達成します。

【改定サイクルの詳細:なぜ8月なのか】

基本手当日額の上限・下限は毎年8月1日に改定されます。根拠は雇用保険法第18条です。厚生労働大臣は、毎月勤労統計の平均定期給与額をもとにした年度の平均給与額が上下したとき、その比率に応じて翌年度の8月1日以後の自動変更対象額(賃金日額の上下限など)を変更します(第1項)。また、算定した下限が「最低賃金日額」(当該年度の4月1日に効力を有する地域別最低賃金を基礎とする額)に満たないときは、8月1日以後はその最低賃金日額が下限になります(第3項)。つまり、10月発効の新しい最低賃金ではなく、4月1日時点の最低賃金が基準です。

試験の法令基準日と「どの年の8月改定値が出るか」:

  • 社労士試験の法令基準日は試験年の4月中旬。8月改定の数値は「前年8月の改定値」が出題対象になる
  • 令和8年度試験(基準日2026年4月10日): 令和7年8月1日改定値(45〜60歳未満上限8,870円・最低額2,411円)
  • 令和9年度試験(基準日は令和9年4月中旬): 令和8年8月1日改定値(45〜60歳未満上限9,110円/日・最低額2,562円/日)。令和9年8月の改定値は基準日の後なので対象外
  • 令和8年8月の改定は、令和7年度の平均給与額が約2.7%上昇したことと、最低賃金日額の適用による(最低額=1,121円×20÷7×0.8=2,562円・厚労省 令和8年7月31日公表)

【賃金日額の算定と「臨時の賃金」除外の詳細】

法第17条第1項の「算定対象賃金」の定義は試験でよく問われます:

含まれる賃金(毎月きまって支払われる賃金):

  • 基本給・各種手当(通勤・住宅・役職等)
  • 時間外・休日・深夜手当
  • ただし通勤手当が「毎月定額」で支払われている場合は含む

除外される賃金:

  • 賞与・ボーナス(3か月を超える期間ごとに支払われるもの)
  • 役員報酬(被保険者たる労働者の賃金部分のみ算入)
  • 退職金・解雇予告手当

この区別は「被保険者資格の確認」でも重要で、賃金日額の算定から除外されていても、労働の対償としての性質がある賃金は雇用保険料の賦課対象になります(保険料算定では別の基準を使う点も注意)。

【年齢別上限の趣旨:45〜60歳未満が最高である理由】

45〜60歳未満の区分が上限額最高とされているのは、この年齢層が①キャリアの絶頂期で高賃金を得ている可能性が高く、②再就職が困難な場合に生活水準が最も急激に悪化しやすい、という事情に配慮したものです。一方、60〜64歳は老齢厚生年金の受給が視野に入る年齢層として、上限をやや引き下げた設計となっています(後述の高年齢雇用継続給付との政策整合も考慮)。

【上位接続:就職促進給付・雇用継続給付との連携】

基本手当の「賃金日額×給付率」という算定構造は、就職促進給付(就業促進手当)や高年齢雇用継続給付の算定基礎としても用いられます。特定社会保険労務士の実務では、被保険者が受給する各種給付の計算を正確に行うことが重要であり、基本手当日額の算定は全給付の出発点となります。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第16条(基本手当日額)・第17条(賃金日額)・第18条(基本手当の日額の最低額)、厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」 数値の注記: 基本手当日額の上限額・最低額は毎年8月1日に改定(雇用保険法第18条:毎月勤労統計の平均定期給与額の変動による自動変更。最低額は当該年度4月1日時点の地域別最低賃金を基礎とする額を下回らない)。2026年10月1日時点の現行値は令和8年8月1日改定値(45〜60歳未満上限 9,110円/日・最低額 2,562円/日)です(確認日2026-10-01・出典: 厚労省「雇用保険の基本手当日額の変更」令和8年7月31日公表 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74837.html)。令和8年度試験(令和8年4月10日時点の法令が基準)は令和7年8月1日改定値(45〜60歳未満上限8,870円・最低額2,411円)が前提だった(旧出典 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59748.html)。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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