社労士 雇用保険法 問3:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
雇用保険の基本手当の受給資格に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア一般の受給資格者として基本手当の支給を受けるためには、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あることが必要であり、この「12か月」の計算に当たっては、賃金の支払基礎となった日数が1か月に11日以上(または労働時間80時間以上)ある月のみが算入される。
- イ特定受給資格者(倒産・解雇等により離職した者)が受給資格を取得するための被保険者期間の要件は、一般の受給資格者と同じく、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上であることが必要である。
- ウ被保険者期間の計算において、1つの事業主に引き続き雇用された期間だけでなく、前の事業主のもとでの被保険者期間も通算することができるため、転職前の被保険者期間も12か月の計算に含まれる。
- エ65歳以上の高年齢被保険者が離職した場合も、一般被保険者と同様に基本手当の受給資格の要件(12か月)を充足することで基本手当の支給対象となる。
- オ受給資格の認定後、基本手当を受給するためには、離職票を公共職業安定所(ハローワーク)に提出し受給資格の決定を受けた後、失業の認定を4週間に1回(原則)受ける必要がある。正答
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正答はオ(正しい記述)です。
受給資格の認定後に基本手当を受けるためには、ハローワークに4週間に1回(原則)、失業の認定を受ける必要があります(雇用保険法第15条)。認定日ごとにハローワークへ来所し、求職活動の実績等を申告します。
アは一部誤りを含みます。一般の受給資格者の要件は「離職日以前2年間に12か月以上」ですが、特定受給資格者等の場合は「1年間に6か月以上」という異なる要件があります(アは一般受給資格者の記述自体は正しいが、条件が不完全)。イは誤りで、特定受給資格者は「離職日以前1年間に6か月以上」で足ります。ウは誤りで、前の事業主での期間は通算できません(離職により被保険者期間はリセット)。エは誤りで、65歳以上は基本手当でなく高年齢求職者給付金の対象です。
受給資格要件の比較(必須整理):
| 受給資格者の種類 | 離職前の基準期間 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|---|
| 一般の受給資格者 | 離職日以前2年間 | 12か月以上 |
| 特定受給資格者・特定理由離職者 | 離職日以前1年間 | 6か月以上 |
被保険者期間(第14条)の計算方法:
「被保険者期間1か月」として算入されるには、次のいずれかを満たす完全な暦月(月の最初から最後まで)が必要:
1. 賃金の支払基礎となった日数が11日以上(週3日〜5日の短時間労働者を含む)
2. または賃金の支払基礎となった時間数が80時間以上(2020年8月1日〜新設・日数算定が難しい場合の代替要件)
前の事業主の被保険者期間は「通算されない」:
ウが誤りである理由:雇用保険の被保険者期間は「同一の事業主」のもとでの継続期間を計算します。転職(一旦離職)した場合、前の事業主での期間は通算されません(リセット)。ただし、離職後に受給資格を取得せずに次の事業主に就職した場合は例外的に通算される場合があります(法第14条第2項)。
各選択肢の解説:
- ア(条件付き正確): 一般受給資格者の要件(2年間・12か月)は正しい。11日要件も正しい。ただし特定受給資格者との対比で「一般のみの説明」なので完全には正しいと言い切れない。
- イ(誤): 特定受給資格者は「1年間・6か月」であり、アの記述と異なる。「一般と同じく12か月」は誤り。
- ウ(誤): 前の事業主の被保険者期間は通算しない(原則リセット)。
- エ(誤): 65歳以上は高年齢求職者給付金(一時金)の対象であり、基本手当(所定給付日数型)は支給されない。
- オ(正): 失業の認定は原則4週間に1回・認定日に来所・求職活動実績を申告。正しい。
【被保険者期間の「通算しない原則」と例外の詳細】
雇用保険の被保険者期間は、同一事業主のもとでの継続期間を基礎とし、離職すると原則としてリセットされます(新しい事業主のもとでゼロから再計算)。
例外(前の事業主の期間が通算される場合):
第14条第2項の規定により、次の条件がすべて揃う場合は前の事業主の被保険者期間を通算できます:
1. 前の離職による受給資格(または高年齢受給資格・特例受給資格)を取得していないこと
2. 前の離職から現在の事業主への就職までの期間が1年未満であること
3. 前の事業主のもとでの被保険者であった期間があること
つまり「前の職を離職→すぐ(1年以内)に次の職に就いた→基本手当を一度も受給していない」という場合は、前の期間が通算されます。
実務上の重要性:
- 短期間で転職を繰り返す労働者の受給資格判定で頻繁に問題になる
- 1つの事業所で3か月勤務→別の事業所で9か月→離職という場合、通算要件(前回受給なし・1年以内就職)を満たすと合計12か月で受給資格を取得できる
【特定受給資格者の「1年間・6か月」の政策的意義】
特定受給資格者(倒産・解雇等)は離職が不本意・突発的であるため、職を失った後に12か月分の被保険者期間を証明するための期間的猶予が少ない現実があります。そのため、基準期間を1年(通常の2年の半分)に短縮し、必要な被保険者期間も6か月(通常の12か月の半分)に緩和することで、不意の失業者の保護を厚くしています。
【失業の認定(第15条)の実務】
基本手当は自動的に支給されるのではなく、認定日ごとに「失業状態であることの認定」を受ける必要があります。
認定要件(失業の認定が通る状態):
1. 就職の意思があること(求職中)
2. 就職できる健康状態・労働能力があること
3. 積極的に求職活動をしていること(求職活動実績:原則各認定期間(28日)中に2回以上の求職活動)
認定されない状態(失業の認定を得られない日):
- 内定が出た日(就職した日)
- 自己都合で求職活動を怠った日
- 病気・けが・育児・介護等で就業できない状態の日
【2025年改正:給付制限の短縮と求職活動要件の変更】
令和7年(2025年)4月施行の改正では、自己都合退職者の給付制限期間が原則3か月→1か月に短縮されました。これに伴い、給付制限期間中の求職活動の扱いも変更されています。
また同改正で、教育訓練給付の受講開始後に失業認定を受ける場合の求職活動要件も整備され、リスキリング促進の観点から制度が拡充されています。
【80時間要件(2020年8月新設)の背景】
賃金支払基礎日数11日の要件は、日雇い・短時間労働者の場合に「1日の労働時間が短く11日の出勤でも稼働量が少ない」という問題を含んでいました。2020年8月の改正で、月の労働時間が80時間以上ある場合にも被保険者期間1か月として算入できる代替要件が追加されました。これは週20時間以上の「短時間労働被保険者」も含む副業・兼業労働者への対応として重要な改正です。
社労士試験では「11日要件」と「80時間要件」の二本立てを把握し、特に時間給・日給制の短時間労働者の受給資格判定で使い分けることが実務・試験の両面で重要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第13条(受給資格)・第14条(被保険者期間の計算)・第15条(失業の認定)・第22条の2(特定受給資格者等の被保険者期間要件)・第37条の2(高年齢求職者給付金) <!-- 監修確定 2026-06-07 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。