社労士 雇用保険法 問2:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
雇用保険の基本手当の所定給付日数に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア一般の受給資格者(特定受給資格者・特定理由離職者・就職困難者を除く)の所定給付日数は、被保険者期間に応じて90日から150日の範囲で定められており、被保険者期間10年未満の場合は90日となる。
- イ特定受給資格者または特定理由離職者(一定の場合)は、被保険者期間と離職時の年齢に応じて所定給付日数が決定され、被保険者期間20年以上かつ45歳以上60歳未満の場合は最大330日が支給される。
- ウ就職困難者(身体・知的・精神障害者等)は、被保険者期間にかかわらず、45歳未満では所定給付日数が300日、45歳以上65歳未満では360日が支給される。正答
- エ定年退職(自己都合に準ずる場合を含む)による離職者は、一般の受給資格者として扱われ、年齢にかかわらず所定給付日数は最大150日となる。
- オ被保険者が65歳以上で離職した場合は高年齢求職者給付金(一時金)の対象となり、基本手当(所定給付日数)の対象にはならない。
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正答はウ(誤っている記述)です。
就職困難者の所定給付日数は被保険者期間によって異なります(雇保法第22条第2項・第24条)。45歳未満は被保険者期間1年未満で150日、1年以上で300日。45歳以上65歳未満は1年未満で150日、1年以上で360日。「被保険者期間にかかわらず300日/360日」というウの記述は誤りです。
アは正しく、一般受給資格者は10年未満90日・10〜20年120日・20年以上150日。イは正しく、特定受給資格者の最大330日は被保険者期間20年以上×45〜60歳の組み合わせ。エは正しく、定年退職は一般受給資格者扱いで最大150日。オは正しく、65歳以上は高年齢求職者給付金(一時金)の対象です。
所定給付日数の3類型(必須整理):
【①一般の受給資格者】 ─ 被保険者期間のみで決まる
| 被保険者期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
【②特定受給資格者・特定理由離職者(一定の場合)】 ─ 年齢×被保険者期間のマトリクス
| 年齢 ╲ 被保険者期間 | 1年未満 | 1〜5年 | 5〜10年 | 10〜20年 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
| 30〜35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
【③就職困難者】 ─ 年齢×被保険者期間で決まる(被保険者期間1年未満は150日に減じる)
| 年齢 ╲ 被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日(最大) |
各選択肢の解説:
- ア(正): 一般受給資格者の所定給付日数は被保険者期間10年未満で90日(最低)・20年以上で150日(最大)。条文通り。
- イ(正): 特定受給の最大は45〜60歳未満×20年以上=330日。
- ウ(誤・正答): 就職困難者の所定給付日数は被保険者期間で異なる(1年未満150日/1年以上で45歳未満300日・45歳以上360日)。「被保険者期間にかかわらず」は誤り。
- エ(正): 定年退職は一般受給資格者。最大150日(被保険者期間20年以上)。
- オ(正): 65歳以上は「高年齢受給資格者」として高年齢求職者給付金(被保険者期間6か月以上1年未満で30日分、1年以上で50日分の一時金)の対象。
【給付日数設計の思想:なぜ「特定受給資格者」が手厚いのか】
「特定受給資格者」(解雇・倒産等による離職者)が通常の受給資格者より給付日数が多い(最大330日 vs 最大150日)理由は、離職が不本意・不測であるため求職・再就職に時間がかかる可能性が高く、生活保障を手厚くするという政策判断に基づきます。
対照的に、自己都合退職者は給付制限期間(原則2か月・2025年以降は原則1か月に短縮)も課されるため、受給開始が遅れかつ給付日数も少ない設計です。
特定受給資格者の主な離職理由(法第23条第1項・施行規則第35条):
1. 解雇(重責解雇を除く)
2. 事業所の倒産・廃業
3. 法定基準を超える時間外労働(月45時間超が続く状況等)
4. セクハラ・パワハラを理由とした離職
5. 退職勧奨(事実上の強制)
【特定理由離職者(第23条第2項)との区別】
特定理由離職者は「自発的に離職したが、やむを得ない理由がある者」です。給付日数は①特定受給資格者と同じ扱いの場合(有期雇用の満了等)と、②給付制限が解除されるのみで給付日数は一般扱いの場合に分かれます。
| 特定理由離職の類型 | 給付日数 |
|---|---|
| 有期雇用契約の期間満了・更新拒否 | 特定受給と同じ(第23条第2項) |
| 体力不足・疾病・家族の看護等やむを得ない事情 | 一般受給と同じ(ただし給付制限は免除) |
【就職困難者の政策的意義と300日・360日の根拠】
就職困難者(第22条第2項・第24条)に分類される者:
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の「精神障害者」)
- 社会的事情による就職困難者(重大犯罪歴がある等の特定ケース)
これらの者は再就職において客観的な困難を抱えているため、被保険者期間1年以上の場合に限り、年齢45歳未満で300日(≒10か月)、45歳以上65歳未満で360日(=1年)という特別な長期給付が認められています(被保険者期間1年未満の場合は45歳未満・45歳以上いずれも150日)。この期間は、就職活動支援・職業訓練受講等と組み合わせることを想定した設計です。
【2025年法改正:給付制限期間の短縮】
令和7年(2025年)4月施行の雇用保険法改正により、自己都合退職者の給付制限期間が「原則3か月→原則1か月」に短縮されました。ただし、5年以内に2回以上の自己都合退職がある場合は3か月(変わらず)という例外が設けられています。
令和8年度試験への影響:
- 令和8年度試験基準日(2026-04-10)時点では上記改正は施行済み
- 「給付制限3か月」が正しいと思って解答すると誤答になる可能性
- 「原則1か月(2024年10月以降・5年以内2回以上は3か月)」が正確な知識
【高年齢受給資格者(65歳以上)の特殊ルール】
65歳以上の離職者は「高年齢求職者給付金」(第37条の2)の対象で、基本手当(所定給付日数方式)ではなく、一時金として支給されます。
| 被保険者期間 | 高年齢求職者給付金 |
|---|---|
| 1年未満(6か月以上) | 基本手当日額 × 30日分 |
| 1年以上 | 基本手当日額 × 50日分 |
この一時金方式は、高年齢者が年金と雇用保険を同時受給する状況に配慮したもので、基本手当(所定給付日数方式)と比べると総額が少ない代わりに、在職老齢年金との調整がない(在職中でも受給可能・2020年改正で見直し)という特徴があります。
社労士試験では「65歳の壁」(高年齢求職者給付金への切替)を把握することが、雇用保険給付体系の理解の鍵です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第22条(所定給付日数)・第23条(特定受給資格者の給付日数)・第22条第2項・第24条(就職困難者)・第37条の2(高年齢求職者給付金) <!-- 監修確定 2026-06-07 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。