社労士 雇用保険法 問5:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
雇用保険の教育訓練給付金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア一般教育訓練給付金は、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を修了した場合に、教育訓練経費の100分の20(上限10万円)が支給されるが、初回受給の場合は支給要件期間(被保険者期間)が1年以上あれば受給できる。
- イ特定一般教育訓練給付金は、一般教育訓練給付金よりも高い支給率(教育訓練経費の100分の40・上限20万円)が設定されており、受講開始時に支給される(修了要件なし)。
- ウ専門実践教育訓練給付金は、教育訓練経費の100分の50(年間上限40万円)が訓練期間中に支給され、訓練修了後に資格を取得し就職した場合には追加で100分の20(年間上限16万円)が支給されるため、最大70%・年間上限56万円となる。
- エ教育訓練給付金(一般・特定一般・専門実践のいずれも)を受給するためには、離職日または受講開始日の時点で、一定の被保険者期間(在職中または離職後1年以内)が必要であり、育児・介護等で受給期限が延長される場合がある。正答
- オ専門実践教育訓練給付金の対象となる訓練には、業務独占資格・名称独占資格の取得を目的とするもの(看護師・社会福祉士・社会保険労務士等)は含まれるが、大学院の修士課程(MBA等)は含まれない。
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正答はエ(正しい記述)です。
教育訓練給付金を受給するためには、在職中または離職後1年以内(受給期限内)に一定の被保険者期間(在職中なら1年以上、初回なら1年・それ以外は3年以上)が必要です。育児・介護等の事情で求職活動ができない場合は、受給期限(離職後1年)が最大20年まで延長される制度があります。これがエの正しい内容です。
アは誤りで、一般教育訓練は修了時に支給(受講中ではなく修了後)かつ支給率20%・上限10万円は正しいですが初回1年要件の記述は不完全です。イは誤りで、特定一般は修了要件がある(修了後支給)。ウの支給率は一部誤り(専門実践は50%+就職等で20%追加=最大70%は正しいが年間上限額が異なる場合あり)。オは誤りで、MBAも対象となる場合があります。
教育訓練給付の3類型(必須整理・2024年拡充後):
| 給付種類 | 支給率 | 上限額 | 支給時期 | 被保険者期間(初回) |
|---|---|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 20% | 10万円/回 | 修了後 | 1年以上 |
| 特定一般教育訓練給付金 | 40% | 20万円/回 | 修了後 | 3年以上(初回1年) |
| 専門実践教育訓練給付金 | 50%(+就職等20%) | 年40万(+年16万) | 6か月ごと+修了後 | 3年以上(初回2年) |
専門実践教育訓練給付金の支給構造(詳細):
```
訓練中:教育訓練経費の50%(年間上限40万円)を6か月ごとに支給
↓ 訓練修了+資格取得+就職
追加給付:教育訓練経費の20%(年間上限16万円)を支給
最大給付率: 70%(年間上限56万円)
訓練期間上限: 最大4年(専門実践の最長コース)
→ 4年の場合の最大累計給付: (40+16)×4年=224万円
```
各選択肢の解説:
- ア(誤): 一般教育訓練は修了後に支給。初回1年・2回目以降3年の要件は正しいが「修了」要件の記述が欠落。
- イ(誤): 特定一般教育訓練は修了要件あり(修了後支給)。支給率40%・上限20万は正しいが「受講開始時に支給」は誤り。
- ウ(一部誤): 専門実践の50%+20%=70%は正しい。ただし「年間上限56万円」については40+16=56万は年間正しいが最長期間の計算との混合に注意。
- エ(正): 在職中/離職後1年以内の要件・育児介護等の延長制度は条文通り。正しい。
- オ(誤): 専門実践の対象には大学院(MBA含む)も含まれる(厚労省指定の一部経営学修士等)。
【2024年改正:教育訓練給付の大幅拡充と「リスキリング」促進】
2024年(令和6年)の雇用保険法改正(一部は2024年10月・一部は2025年以降施行)で、教育訓練給付が大幅に拡充されました。令和8年度試験では改正後の制度が出題対象です。
2024年改正の主なポイント:
1. 特定一般教育訓練給付金の支給率拡充: 一部の訓練で支給率が40%から50%に引き上げられた(ITスキル・デジタル人材育成関連等の特定訓練)
2. 専門実践教育訓練給付金の対象拡大: 新たな訓練類型・資格が追加(デジタルスキル・グリーン関連資格等)
3. 教育訓練支援給付金(第60条の4)の拡充: 45歳未満の離職者が専門実践を受ける場合の追加支援
【教育訓練給付の受給期限延長制度の詳細(エの根拠)】
通常、教育訓練給付金の受給期限は「被保険者でなくなった日(離職日)から1年以内」です。しかし以下の事由があれば延長されます:
| 延長事由 | 最大延長期間 |
|---|---|
| 妊娠・出産・育児(子が3歳未満) | 延長可能 |
| 本人の疾病・負傷 | 延長可能 |
| 親族の疾病・負傷等の看護 | 延長可能 |
| 配偶者の海外勤務への随行 | 延長可能 |
延長後の受給期限の上限: 最大で離職日から20年(法第60条の2第4項)
【専門実践教育訓練の対象訓練の範囲(オの誤り根拠)】
専門実践教育訓練給付金の対象となる訓練は厚労大臣が指定しており、以下の類型が含まれます:
業務独占資格・名称独占資格の取得を目指す課程:
- 看護師・准看護師・助産師・保健師(医療系専門職)
- 社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
- 歯科技工士・歯科衛生士
- 美容師・理容師(一定の場合)
大学・大学院の専門職学位課程(MBAを含む):
- 専門職大学院(MBA・法科大学院・公共政策大学院等)の一定の課程
- ただし全てのMBAが対象ではなく、厚労省の「専門実践教育訓練指定一覧」に掲載された課程のみが対象
このため「MBA等の大学院は対象外」というオの記述は誤りで、指定を受けた大学院の専門職学位課程は対象となります。
【社労士受験者にとっての実務接続:教育訓練給付の活用と申請代行】
社労士自身が社労士試験の受験費用・予備校費用を教育訓練給付の対象にできるかという点は、受験生の関心が高い論点です。社労士関連の研修・講座については一般教育訓練給付の対象となっているものがあります。
また社労士実務においては、企業内でのリスキリング推進(デジタル人材育成)に関連して、従業員向けの教育訓練給付金の申請サポートや、訓練計画の立案が重要業務になっています。2024年改正以降、デジタル・IT系資格取得を支援する助成金(能力開発事業・キャリアアップ助成金の人材育成コース等)と教育訓練給付の組み合わせ活用が注目されており、社労士の付加価値提供の重要領域となっています。
【特定一般教育訓練の「支給率40%・上限20万円」の記憶法】
試験対策として、3つの給付の支給率と上限額を整理する際は:
- 一般: 20%・10万 (「2と1」)
- 特定一般: 40%・20万 (「4と2」)
- 専門実践: 50%+20%=70%・年40万+16万=56万 (「5+2=7、4+1.6=5.6」)
という数字の規則性を把握すると記憶しやすい。ただし2024年改正で特定一般の一部訓練が50%に拡充されている点は最新情報として確認が必要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第60条の2(教育訓練給付金)・第60条の3(専門実践教育訓練給付金)・第60条の4(教育訓練支援給付金)、厚生労働省「教育訓練給付制度」(2024年改正) <!-- 監修確定 2026-06-07 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。