問題
賃貸住宅の収益性指標に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
実質利回り(NOI利回り)は、運営費用(固定資産税・管理費・修繕費等)を引いた後の純収益(NOI)で計算するため、表面利回りよりも実際の収益性を正確に反映します。
アは誤りです。表面利回りは運営費用を考慮しない指標です(年間賃料収入÷取得価格)。
ウは誤りです。NOIは「年間賃料収入 - 運営費用(固定資産税・管理費・修繕費等)」で計算され、元本返済・支払利息は含まない(資金調達コストは別途評価)。
エは誤りです。キャップレートは賃貸不動産の収益評価で広く使われる指標です。
オは誤りです。表面利回りは空室時の潜在収益で計算される場合があり、空室率が高ければ実際の収益は大幅に下がります。
主要な収益性指標の比較:
| 指標 | 計算式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 表面利回り(グロス) | 年間賃料収入 ÷ 取得価格 | シンプル・費用考慮なし・比較に使いやすい |
| 実質利回り(ネット/NOI利回り) | NOI ÷ 取得価格 | 費用を考慮・現実の収益性を反映 |
| キャップレート(Cap Rate) | NOI ÷ 物件価値(市場価格) | 物件価値の評価に使用・DCF法と組合せ |
NOIの計算方法:
```
NOI(純運営収益)= 年間賃料収入(満室想定)
× (1 - 空室率)
- 運営費用(固定資産税・管理費・修繕費・保険料等)
```
ポイント: 元本返済・支払利息は「DSCR(負債返済余力比率)」等の別指標で評価。NOIにはこれらを含めない。
例題(計算演習):
物件: 取得価格3,000万円・年間賃料収入(満室)180万円・空室率10%・年間運営費用30万円
```
実効賃料収入 = 180万円 × (1-0.1) = 162万円
NOI = 162万円 - 30万円 = 132万円
実質利回り = 132万円 ÷ 3,000万円 ≒ 4.4%
表面利回り = 180万円 ÷ 3,000万円 = 6.0%
```
表面利回りが6%でも実質利回りは4.4%—この差が空室・費用を考慮した現実を示します。
各選択肢の解説:
- イ(正): NOI利回りの定義として正確。表面利回りより現実の収益性を反映。
- ア(誤): 表面利回りは運営費用を考慮しない。
- ウ(誤): NOIに元本返済・支払利息は含まない。
- エ(誤): キャップレートは不動産投資全般で使用される基本的指標。
- オ(誤): 空室率が高ければ実際の収入が減少し、実質利回りは大幅に低下する。
【賃貸住宅経営の収益指標の深層——PM・AM・DCF・DSCR・キャップレートと物件評価の実務応用】
PM(プロパティマネジメント)とAM(アセットマネジメント)の違い:
| 機能 | PM(プロパティマネジメント) | AM(アセットマネジメント) |
|---|---|---|
| 対象 | 個々の物件の運営管理 | 不動産ポートフォリオ全体の収益最大化 |
| 主な業務 | 入居者管理・賃料回収・修繕対応・テナント誘致 | 売却・購入・借換え・リファイナンス・全体戦略 |
| 担当者 | 賃貸管理業者・管理会社 | 資産運用会社・ファンドマネージャー |
| 視点 | 現在の運営収益の最大化 | 将来の資産価値・IRR(内部収益率)の最大化 |
賃管士の試験では、PMとAMの役割の区別が出題されます。管理業者はPMを担いますが、オーナーにAMの視点(資産の長期的な価値維持・運用戦略)を提供することも付加価値となります。
DCF(Discounted Cash Flow)法による収益評価:
単純な利回り計算を超えた物件評価手法として、DCF法があります:
```
物件価値(DCF法)= 各年度NCF(Net Cash Flow)の現在価値合計
+ 保有期間終了時の売却価格の現在価値
```
物件の価値を評価するDCF法では、各年度のキャッシュフローを物件自体が生み出す収益でとらえ、ローン返済額(元本・利息)は差し引きません(借入の返済余力は、次のDSCR等で別に評価します)。
DCF法では将来キャッシュフローの変動(賃料下落・大規模修繕・空室率変動等)を考慮した現実的な評価が可能です。
DSCR(Debt Service Coverage Ratio・負債返済余力比率):
```
DSCR = NOI ÷ 年間負債返済額(元本+利息)
```
DSCRが1を下回ると、NOIで年間の借入返済をまかなえないことを意味します。金融機関はDSCRを融資審査の目安の一つとしています。
例:
- NOI 132万円 / 年間返済額 100万円 = DSCR 1.32(返済に余力あり)
- NOI 132万円 / 年間返済額 140万円 = DSCR 0.94(返済困難・融資見送りの可能性)
管理業者はオーナーのDSCRを把握することで、空室増加・賃料下落時の返済リスクを早期に警告できます。
キャップレートと物件価格の逆算:
```
物件価格(収益還元)= NOI ÷ キャップレート(期待利回り)
```
例: NOI 130万円・期待キャップレート4.5%の場合:
```
物件価格 = 130万円 ÷ 0.045 ≒ 2,889万円
```
市場のキャップレートが下がると(低金利・需要増)物件価格が上昇し、上がると(金利上昇・需要減退)物件価格が下落します。
PMとして管理業者が提供すべき定期報告の内容:
優良な管理業者は以下の指標をオーナーに定期報告します:
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 稼働率 | 実際の稼働面積÷賃貸可能面積 |
| 賃料収入実績 | 月次・年次の実績賃料 |
| NOI実績 | 運営費用控除後の純収益 |
| 修繕費予実 | 計画対比・大規模修繕の準備状況 |
| 空室期間・成約条件 | 空室化した場合の原因分析 |
これらのデータを可視化して提供することが、管理業者の付加価値サービスとなり、長期管理契約の継続につながります。賃管士としては、PMの知識を活用してオーナーの賃貸経営全体を支援する視点が求められます。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 不動産投資・PM実務(国土交通省「不動産投資の基礎知識」・各不動産投資テキスト) 確認日: 2026-06-10 出典: 国土交通省 不動産投資関連資料 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

