問題
退去精算・敷金返還に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答(誤っているもの)はウです。
「精算書を送付したことで精算が確定する」というウの記述は誤りです。退去精算書は賃貸人側の計算を示す書面であり、賃借人が異議を申し立てた場合には当事者間で協議が必要です。賃貸人が一方的に精算書を確定させることはできません。紛争になった場合は調停・訴訟等の法的手続きを経て最終的な精算が確定します。
ア・イ・エ・オは正しい記述です。明渡しを受けたときの残額返還(ア・民法622条の2)、精算書の交付(イ)、ガイドラインの位置づけ(エ)、控除費用の説明(オ)はいずれも正しい内容です。
退去精算のプロセス:
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 退去立会い | 損傷確認・写真記録(賃借人と共同) |
| 精算費用の算定 | 原状回復費用・未払い賃料等の計算 |
| 精算書(明細書)の作成 | 各項目の費用・負担根拠の明示 |
| 賃借人への送付 | 敷金からの控除明細と残額の通知 |
| 残額の返還 | 賃貸借の終了+明渡しを受けたときに返還義務(民法622条の2第1項1号) |
ウが誤りの理由(精算の確定はできない):
退去精算書は「賃貸人の主張する精算内容の提示」に過ぎず、法的には賃借人の同意または裁判による確定が必要です:
- 賃借人が精算内容に合意→精算確定(合意解除的性質)
- 賃借人が異議を申し立てた→協議・調停・訴訟で解決
「書面送付で一方的に確定」は民法上の契約解決の原則に反します。
各選択肢:
- ア(正): 民法622条の2第1項1号(賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときに残額を返還)のとおり。
- イ(正): 退去精算書の役割を正確に記述。
- ウ(誤・正答): 一方的な精算確定はできない(賃借人の同意または法的手続き必要)。
- エ(正): ガイドラインの法的位置づけ(法律ではないが裁判所が参照)を正確に記述。
- オ(正): 国交省ガイドライン(平成23年8月再改訂のQ&A)は、賃貸人に敷金から差し引く原状回復費用の説明義務があり、賃借人は明細を請求して説明を求められるとしている(民法622条の2自体に明細の明示義務の規定はない)。
【退去精算の法的性質・精算書の記載内容・紛争になった場合の解決方法・ADRの活用・時効の問題】
1. 退去精算の法的性質
退去時の原状回復・敷金精算は「賃貸借契約の終了に伴う債権債務の清算」です。当事者間で合意すれば合意内容で確定しますが、合意できない場合は:
- 話し合い(任意交渉): まず双方の協議
- 内容証明郵便: 正式な請求の記録
- 調停: 少額の場合は簡易裁判所の調停
- 少額訴訟: 60万円以下の場合に利用可
- 通常訴訟: 複雑・高額な紛争
「精算書を送れば確定」という法的根拠はありません(ウが誤りの理由)。
2. 退去精算書の記載内容(推奨)
精算書に含めるべき情報:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入居者情報 | 氏名・部屋番号・入居期間 |
| 損傷箇所 | 部位・損傷の内容 |
| 負担区分 | 通常損耗か善管注意義務違反か |
| 経過年数 | 入居年数・耐用年数 |
| 費用算定 | 単価・面積・経年減価後の金額 |
| 賃借人負担額 | 各項目の合計 |
| 敷金との差引き | 敷金額−負担額=返還額 or 追加請求額 |
透明性が高い精算書は紛争防止・入居者満足度向上につながります。
3. ADR(裁判外紛争解決)の活用
原状回復紛争では、裁判以外の相談・紛争解決の窓口も利用できます:
- 国民生活センター・消費生活センターへの相談
- 弁護士会の紛争解決センター等のADR(裁判外紛争解決手続)
ADRは訴訟より低コスト・短期間で解決できる場合が多く、少額の紛争に適しています。
4. 精算紛争の時効
原状回復費用の賃借人への請求権(債権)の消滅時効:
- 民法166条(債権の消滅時効):主観的起算点(権利を行使できると知った時)から5年
- または客観的起算点(権利を行使できる時)から10年
退去後に長期間放置すると時効消滅のリスクがあります。退去後は速やかに精算手続きを進めることが重要です。
5. 特約による精算条件
賃貸借契約に「クリーニング費用〇万円を賃借人が負担する」等の特約がある場合:
- 国交省ガイドラインは、賃借人に特別の負担を課す特約の要件として、①特約の必要性があり暴利的でないなどの客観的・合理的理由、②賃借人が通常の原状回復義務を超えた義務を負うことの認識、③義務負担の意思表示を挙げている
- 最判平成17年12月16日は、通常損耗の補修費用を賃借人に負担させるには、その範囲が契約書に具体的に明記されているか、口頭で説明され賃借人が明確に認識して合意の内容としたと認められるなど、明確な合意が必要としている
- 消費者の利益を一方的に害する条項は消費者契約法10条により無効となる可能性がある
管理業者は特約の内容を入居時に十分説明し、賃借人の理解を確認・記録することが紛争防止の鍵です。
6. 国土交通省のトラブル相談と行政の関与
原状回復トラブルは全国の消費者センターへの相談件数でも上位の紛争類型です:
- 国土交通省は「原状回復ガイドライン」の普及促進
管理業者としてガイドラインに沿った適正な精算を行うことが、紛争防止の基本です。
- 民法第622条の2・第166条e-Govで原文を読む
- 消費者契約法第10条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第622条の2(敷金)・国土交通省ガイドライン(H23再改訂版) 確認日: 2026-06-10 出典: 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000001.html 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

