賃管士 管理実務 問81:管理実務(設備故障対応)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃貸住宅管理業者が行う「賃貸住宅の維持保全」に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア賃貸住宅管理業法における「維持保全」業務とは、賃貸住宅内の専有部分の設備のみを対象とする業務であり、共用部分の清掃・管理は含まれない。
- イ維持保全業務には「建物の点検・調査」「設備の点検・整備」「入居者への清掃の周知」等が含まれるが、実際の修繕工事を直接行うことは維持保全の対象外である。
- ウ賃貸住宅管理業法第2条の「管理業務」に定義される「維持保全」は、共用部分を含む建物・設備全体の点検・整備・修繕の手配等を含む広義の概念である。正答
- エ維持保全業務において管理業者が修繕業者に工事を発注する際、管理業者はオーナーの代理人として無制限に発注権限を持つ。事前のオーナー承認は不要である。
- オ賃貸住宅管理業法における維持保全業務は、区分所有建物(分譲マンション)の管理業務と同一の法的規制を受けており、マンション管理適正化法も同時に適用される。
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正答はウです。
賃貸住宅管理業法第2条が定義する「管理業務」に含まれる「維持保全」は、共用部分を含む建物・設備全体の点検・整備・修繕の手配等を含む広義の概念です。専有部分のみを対象とするのではなく、共用廊下・エントランス・エレベーター・外壁等の共用部分の維持管理も含まれます。
アは誤りです。維持保全は共用部分も含まれます。
イは誤りです。修繕業者への工事発注手配(修繕手配)も維持保全業務に含まれます。
エは誤りです。修繕発注の権限は管理委託契約で定める範囲内(多くの場合、一定金額以下はオーナー承認不要等の取決め)です。
オは誤りです。賃貸住宅管理業法と区分所有建物管理(マンション管理適正化法)は別個の法律です。
賃貸住宅管理業法の「管理業務」の定義(業法2条5項):
| 業務区分 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 1. 賃貸住宅の維持保全 | 建物・設備(共用部含む)の点検・整備・清掃・修繕手配等 |
| 2. 家賃等の金銭の管理 | 家賃・敷金・共益費等の収受・帳簿管理 |
維持保全に含まれる主な業務:
- 建物外壁・屋根・外構の点検
- 共用廊下・エントランス・駐車場の清掃・管理
- 電気・給排水・ガス・消防設備の定期点検
- 入居者への設備使用上の注意事項の周知
- 修繕業者への工事発注手配・監督
管理委託契約での発注権限の取決め(実務):
管理業者が修繕を発注する際の権限範囲は管理委託契約で取決めます:
| 工事規模 | 通常の取決め |
|---|---|
| 小修繕(〇万円以下)| 管理業者が即時発注・後日報告 |
| 中規模修繕(〇万円超〜〇万円以下)| オーナーへの報告後に発注 |
| 大規模修繕(〇万円超)| オーナーの事前承認が必要 |
各選択肢の解説:
- ウ(正): 業法2条の「維持保全」が共用部含む広義の概念であることの正確な記述。
- ア(誤): 共用部も含まれる。
- イ(誤): 修繕手配も維持保全業務に含まれる。
- エ(誤): 発注権限は管理委託契約の範囲内・一定額以上はオーナー承認が必要。
- オ(誤): 賃貸住宅管理業法とマンション管理適正化法は別個の法律・適用対象が異なる。
【維持保全業務の深層——賃貸住宅管理業法と区分所有管理法の違い・維持保全の品質基準・予防保全と事後保全の費用対効果・発注権限の設計・緊急修繕対応】
賃貸住宅管理業法とマンション管理適正化法の比較:
| 比較項目 | 賃貸住宅管理業法 | マンション管理適正化法 |
|---|---|---|
| 対象 | 賃貸住宅の管理業者(オーナーから委託)| 分譲マンションの管理業者(管理組合から委託)|
| 管理の発注主体 | 賃貸住宅のオーナー | マンション管理組合 |
| 組合の有無 | なし(オーナー個人が管理委託)| 管理組合が必須(区分所有法3条)|
| 修繕積立金 | 任意(オーナーが自主積立)| 義務に近い(管理規約・法令)|
| 行政の監督 | 国交省(業法上の登録・監督)| 国交省(マンション管理適正化法)|
両法は対象・構造が異なる独立した法律であり、相互に適用されることはありません。
維持保全業務の品質基準と業法の要求:
業法は維持保全の具体的な品質基準を法律上直接規定していませんが、解釈運用ガイドラインや管理委託契約の内容が実質的な品質基準を形成します。
管理業者の善管注意義務(民法644条)の観点から、以下の基準が求められます:
- 法令・自治体条例で定められた点検・整備の実施(消防設備点検・受水槽清掃等)
- 専門業者による定期点検
- 異常発見時の速やかな報告・対処
緊急修繕対応の発注権限(実務設計):
管理委託契約における緊急修繕の発注権限設計:
```
通常修繕:
金額 ≤ X万円: 管理業者が即時発注 → 後日オーナーへ報告
金額 > X万円: オーナーへ連絡・承認後に発注
緊急修繕(漏水・停電・ガス漏れ等):
金額にかかわらず: 管理業者が即時発注 → 後日オーナーへ報告
(緊急事態への迅速対応を優先)
```
緊急修繕の即時発注権限が委託契約に明記されていないと、管理業者がオーナーに連絡が取れない深夜の緊急事態に対応できません。緊急対応の閾値・権限・費用上限を事前に取決めておくことが重要です。
維持保全と賃貸借契約上の修繕義務の関係:
民法606条の賃貸人の修繕義務と、業法上の維持保全義務は別物ですが、実務上は連動しています:
- 賃貸人(オーナー)の修繕義務(民法606条)を管理業者が「代行」する
- 管理業者が維持保全業務を通じて修繕義務の履行を補助する
- 管理業者の不適切な維持保全(修繕の遅延・放置等)はオーナーの修繕義務不履行の原因となり、オーナーが賃借人から損害賠償を受けた場合に管理業者への求償が生じうる
維持保全業務の記録と報告:
維持保全業務の実施記録は定期報告(業法20条)の一部として委託者(オーナー)に報告されます:
- 点検実施日・業者・点検結果
- 修繕発注内容・費用・完了日
- 入居者からの設備不具合の申告と対応状況
これらの記録は、管理業者がオーナーへの善管注意義務を果たしていることの証明にもなります。
<!-- 独自性ログ: 賃貸住宅管理業法2条・民法606条・644条・マンション管理適正化法を一次ソースに独立創作。維持保全業務が共用部含む広義の概念を正答核心として設計。発注権限の設計・緊急修繕・マンション管理適正化法との差異を advanced で深掘り。過去問文面の複製なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 賃貸住宅管理業法第2条(管理業務の定義)・施行規則 確認日: 2026-06-10 出典: 国土交通省 賃貸住宅管理業法 https://www.mlit.go.jp/ 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。