民法1民法(賃貸借契約の基本)

賃管士 民法 問1:民法(賃貸借契約の基本)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10

賃貸借契約の成立に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 賃貸借契約は要物契約であり、借主が目的物の引渡しを受けた時点で初めて契約が成立する。
  • 賃貸借契約の締結には、必ず書面を作成しなければならず、口頭による合意だけでは法律上の効力を生じない。
  • 賃貸借契約は諾成契約であり、貸主と借主の意思表示が合致した時点で成立し、書面の作成や目的物の引渡しは成立要件ではない。正答
  • 賃貸借契約は、民法上、賃料の支払いが現実に行われた時点で遡って成立したとみなされる。
  • 賃貸借契約は、公証人が作成した公正証書によらなければ効力を生じない。
正答:賃貸借契約は諾成契約であり、貸主と借主の意思表示が合致した時点で成立し、書面の作成や目的物の引渡しは成立要件ではない。

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正答はウです。

賃貸借契約は諾成契約(だくせいけいやく)です。諾成契約とは「申込み」と「承諾」の意思表示が一致するだけで成立する契約のことです。書面の作成や、実際に部屋の鍵を渡すといった引渡し行為は、契約の「成立」には必要ありません。

口頭でも「この部屋を月5万円で貸す」「わかりました、借ります」と合意すれば賃貸借契約は成立します(ただし後日のトラブル防止のため書面を作成するのが実務上の常識です)。

アは「要物契約」という誤った記述です。イは書面要件がないため誤りです。

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賃貸借の成立要件(民法601条)の整理:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 契約の種類 | 諾成契約(双方の意思表示の合致のみで成立) |

| 書面の要否 | 成立要件ではない(実務上は任意で作成) |

| 引渡しの要否 | 成立要件ではない(対抗要件・効力発生時期には関係する) |

| 方式 | 要式不要(口頭・書面どちらでも可) |

各選択肢の整理:

  • ア(誤): 要物契約は「物の引渡し」が成立要件となる契約(消費貸借・使用貸借の旧規定等)。賃貸借は諾成契約であり、引渡し不要で成立する。
  • イ(誤): 賃貸借に書面作成義務はない(定期建物賃貸借は書面必須だが通常の賃貸借は異なる)。
  • ウ(正): 民法601条「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」—意思表示の合致のみで成立。
  • エ(誤): 賃料支払いは成立要件でも遡及要件でもない。
  • オ(誤): 公正証書は強制執行認諾条項の設定等に使われることがあるが、賃貸借の成立要件ではない。

実務ポイント: 書面がなくても契約は成立するが、条件・期間・禁止事項等について後日争いになるリスクがある。宅建業法では媒介・代理の場合に書面交付義務がある(37条書面)。

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【諾成契約と要物契約の法的構造—民法改正と賃貸借への影響】

民法601条の「賃貸借は諾成契約」という規定は、2020年(令和2年)4月施行の民法改正でより明確化されました。改正前民法では「消費貸借」が要物契約(目的物の交付が成立要件)とされていましたが、改正後は消費貸借にも諾成的消費貸借が認められ(民法587条の2)、全体として諾成契約化が進みました。

諾成契約の実務的意義(賃貸管理における場面別整理):

1. 申込時点の法的問題: 借主が入居申込書を提出し、貸主が「了承します」と口頭で返答した時点で賃貸借契約が成立する可能性がある(実務では「審査後に正式に締結する」旨を明示して申込時点の成立を回避するのが通例)。

2. 鍵渡し前の解約問題: 書面契約締結後・鍵渡し前に「やっぱりキャンセルしたい」という場合、すでに契約は成立しているため、通常の契約解除の問題となる(諾成契約であるため引渡し前でも拘束力あり)。

3. 口頭更新の問題: 更新の合意も口頭で成立するため、「口頭で更新を約束した」という主張が法律上通りうる(書面化されていない更新合意の立証問題)。

要物契約との比較—使用貸借・消費貸借との整理:

| 契約種別 | 旧民法 | 現行民法 | 成立要件 |

|---|---|---|---|

| 賃貸借 | 諾成契約 | 諾成契約(変更なし) | 意思表示の合致のみ |

| 使用貸借 | 要物契約 | 諾成契約に変更(R2改正・593条) | 意思表示の合致のみ |

| 消費貸借 | 要物契約 | 要物契約(原則)+諾成的消費貸借(587条の2) | 原則は引渡し必要 |

| 寄託 | 要物契約 | 諾成契約に変更(R2改正・657条) | 意思表示の合致のみ |

この改正により、使用貸借・寄託が要物契約から諾成契約に変わりましたが、賃貸借はもともと諾成契約であったため変更はありません。賃管士試験では「賃貸借は諾成契約か要物契約か」という直接問題だけでなく、「改正民法で要物契約から諾成契約に変わったのは何か」という周辺論点として出題される可能性があります。

保証契約との比較(書面要件の違い):

賃貸借契約自体は書面不要ですが、保証契約は「書面でしなければ効力を生じない」(民法446条2項)とされており、要式契約です。賃貸借に連帯保証人を付ける実務では、賃貸借契約書と保証契約書を一体的に作成するのが一般的ですが、法的には両者は別の契約であり、保証のみが書面要件を持ちます。また電磁的記録(電子契約)による保証も認められています(446条3項)。

賃管士の実務では「入居申込の段階で何が確定し、何が未確定か」を正確に理解することが重要です。申込書への記入・申込金の支払いは「申込みの意思表示」に過ぎず、貸主側の承諾がない限り契約成立ではありません。ただし貸主が承諾の意思を明確に示した(メールでの「入居を認めます」等)場合は口頭・書面を問わず成立しうるため、特に管理受託業務において「申込み受付=承諾ではない」ことをオーナーと管理会社で共有しておく必要があります。

根拠: 民法601条(賃貸借)、民法446条(保証の書面要件)、令和2年4月施行民法改正(使用貸借・寄託の諾成契約化)(e-Gov 法令検索)。確認日2026-06-10。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法601条(賃貸借)(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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