賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 民法 問7|賃料の減額請求

問題

賃管士 | 民法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

令和2年4月施行の改正民法における賃料減額に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。 ア. 賃借物の一部が賃借人の責めに帰することができない事由によって使用収益できなくなった場合、賃料は使用収益できなくなった割合に応じて当然に減額される。 イ. 賃借物の一部が使用収益できなくなった場合でも、賃借人からの減額請求があって初めて賃料が減額されるものであり、請求なしに賃料が減額されることはない。 ウ. 賃借物が一部使用収益できなくなったことにより、残存部分のみでは賃借人が賃貸借をした目的を達することができない場合、賃借人は賃貸借契約を解除することができる。 エ. 賃借物の全部が使用収益できなくなった場合でも、賃貸借契約は当然には終了せず、賃借人が解除の意思表示をしなければ終了しない。 オ. 賃借人の責めに帰すべき事由によって賃借物の一部が使用収益できなくなった場合にも、611条1項の減額規定が適用される。

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正解は a
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解説

正答はa(アとウ)です。

ア(正): 令和2年改正で民法611条1項の文言が変わりました。改正前は「減額を請求することができる」でしたが、改正後は「減額される」と変わり、請求不要で自動的に(当然に)減額されます。

ウ(正): 民法611条2項(R2改正で滅失以外の使用収益不能にも拡大)により、残存部分だけでは目的を達成できない場合に解除権が認められます。

イ(誤): 「請求があって初めて減額」は改正前の規定の考え方。改正後は当然に減額。

エ(誤): 全部が使用収益できなくなった場合は616条の2(新設)により賃貸借は当然に終了し、解除の意思表示は不要です。

R2改正後の611条・616条の2の構造:

条文状況効果
611条1項(改正)一部が賃借人の責に帰せない事由で使用不能賃料は使用不能割合に応じて当然に減額
611条2項(改正)残存部分のみでは賃借の目的達成不能賃借人に解除権発生
616条の2(新設)全部が滅失その他の事由で使用収益不能(帰責事由の有無を問わない)賃貸借は当然に終了(解除不要)

各選択肢の整理:

  • ア(正): 611条1項(R2改正)「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される」—「減額される」(請求不要=当然に減額)が重要。
  • イ(誤): 改正後は請求不要で当然に減額。「請求があって初めて」は改正前の規定の考え方。
  • ウ(正): 611条2項(R2改正)の規定通り。「一部使用不能で目的達成不能→解除権」。
  • エ(誤): 全部使用不能の場合は616条の2で賃貸借は「これによって終了する」(解除の意思表示は不要)。「解除の意思表示をしなければ終了しない」は誤り。
  • オ(誤): 611条1項は「賃借人の責めに帰することができない事由」が要件。賃借人の責に帰すべき事由(過失による損傷等)の場合は611条の適用外(賃借人は損害賠償責任を負う)。

【611条「当然に」の改正が実務に与えた影響—管理会社のリスク管理の変革】

改正前民法では、賃借物の一部使用不能の場合、賃料を減額してもらうためには賃借人が積極的に「賃料の減額を請求する」という意思表示が必要でした。このため、賃借人が請求しない限り賃貸人は満額の賃料を受け取れるという実態がありました。

改正後は「当然に」減額されるため、賃借人が何も言わなくても法律上は賃料は自動的に減額されています。これは実務上以下の重大な意味を持ちます:

過払い賃料の返還義務:

設備の故障(エアコン壊れた・給湯器使えない・浴室使用不能等)が発生した期間中、賃借人が通常の賃料を払い続けた場合、法律上は過払いの状態となり、賃借人は過払い分の返還を請求できます。

管理会社がこの問題を放置していると:

  • 賃借人が弁護士に相談→過払い分の返還請求
  • 管理会社とオーナーの双方が法的リスクを負う
  • 最悪の場合、消費者センター・行政への苦情につながる

「使用収益できなくなった割合」の判断:

減額割合の具体的な計算は法律上定められておらず、当事者間の合意または裁判所の判断によります。実務では以下の考え方が参考とされます:

  • エアコン1台故障(6月〜9月の夏期間):使用収益不能の程度が高い(50〜100%減額を主張する可能性も)
  • 給湯器故障(冬期間):入浴・調理に重大な支障→高い減額割合
  • 収納扉の不具合のみ:使用収益への影響が限定的→低い減額割合

合理的な管理として、設備故障が発生した場合に「修繕完了まで○○円(日額)を賃料から控除する」という明示的な合意を賃借人と交わしておくことが実務上のベストプラクティスです。

616条の2(新設):全部使用不能による当然終了:

この条文はR2改正の新設規定です。改正前は「賃借物が全部滅失した場合は賃貸借契約は当然終了する」という解釈はありましたが、明文規定がありませんでした。改正後は「賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する」(616条の2)と明文化されました。

実務上の注意点(管理会社の義務):

1. 設備故障への迅速対応: 故障発生→611条の当然減額リスクが即座に発生。迅速な修繕手配が管理会社の最重要業務の一つ。

2. 修繕費用の仮払い制度: 賃借人が使用不能期間中の家賃を減額(または保留)する一方、管理会社が修繕費用をオーナーに立て替えて即時対応する制度を管理受託契約に組み込むことが望ましい。

3. 設備管理・定期点検の重要性: 故障を事前に防ぐ定期点検(給湯器・エアコン・換気設備等)は611条リスクを最小化するための予防的管理業務として位置づけられる。

賃貸住宅管理業法20条の「定期報告義務」も、こうした設備状態の把握と報告を促す機能を持っています。

根拠: 民法611条・616条の2(e-Gov 法令検索)、令和2年4月施行民法改正。確認日2026-06-10。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法611条・616条の2(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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