民法8民法(賃貸借契約の基本)

賃管士 民法 問8:民法(賃貸借契約の基本)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10

賃借物の一部が使用収益できなくなった場合に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • a賃借物の一部が使用収益できなくなった場合、賃借人は常に賃貸借契約を解除することができる。
  • b賃借物の一部が使用収益できなくなった場合であっても、残存する部分のみで賃借人が賃貸借をした目的を達することができるときは、賃借人は解除権を有しない。正答
  • c賃借物の一部使用不能による解除は、賃借人の責めに帰すべき事由による場合にも認められる。
  • d賃借物の一部が使用収益できなくなった場合の解除は、裁判所の許可が必要である。
  • e賃借物の一部使用不能が生じた場合、賃貸人は賃貸借契約を解除して賃借人を退去させることができる。
正答:b賃借物の一部が使用収益できなくなった場合であっても、残存する部分のみで賃借人が賃貸借をした目的を達することができるときは、賃借人は解除権を有しない。

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正答はbです。

民法611条2項(R2改正新設)により、賃借物の一部が使用収益できなくなった場合の解除権は「残存部分のみでは賃借の目的を達することができない」ことが要件です。

例えば、10部屋のマンションのうちの1室の一部(収納室が使えなくなった程度)では、メインの居住目的は達成できるため解除できません。しかし居室のほとんどが使えなくなった場合は、目的達成不能として解除が認められます。

aの「常に解除できる」は要件を満たさない場合があるため誤り。cの賃借人の責に帰する場合は611条の適用外です。

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611条2項の解除権の要件整理:

| 要件 | 内容 |

|---|---|

| 前提 | 賃借物の一部が使用収益できなくなった(一部滅失等) |

| 賃借人側の事由 | 賃借人の責めに帰することができない事由(賃借人の故意・過失は対象外) |

| 目的達成不能 | 残存部分のみでは賃借人が賃貸借の目的を達することができない |

| 効果 | 賃借人の解除権(一方的な意思表示で解除可・裁判所の許可不要) |

「賃借の目的を達することができない」の判断例:

| 状況 | 目的達成不能かどうか |

|---|---|

| 居室の大半が浸水・使用不能 | 達成不能→解除可 |

| 玄関収納スペースのみ使用不能 | 達成可能(居住目的は維持)→解除不可 |

| 商業用物件のショーウィンドウが破損(集客目的の中心) | 目的(商業活動)の達成不能の可能性→解除可の場合がある |

| 共用廊下の一部損傷(居室は正常) | 居住目的は達成可能→解除原則不可 |

各選択肢の整理:

  • a(誤): 611条2項の解除権は「目的達成不能」の場合に限定。「常に解除できる」は誤り。
  • b(正): 残存部分で目的達成可能なら解除権発生しない—条文の論理構造を正確に表現。
  • c(誤): 611条2項は賃借人の責に帰せない事由が前提。賃借人の故意・過失による場合は適用外(損害賠償の問題となる)。
  • d(誤): 裁判所の許可は不要。賃借人の一方的な意思表示(解除の通知)で解除できる。
  • e(誤): 611条2項は賃借人の解除権(賃借人→賃貸人への解除通知)。賃貸人が一部使用不能を理由に賃借人を退去させる権限ではない。
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【611条2項と一般的な解除権(541・542条)の関係—競合と優先適用の問題】

賃借物の一部使用不能の場合、賃借人は611条2項の特則による解除権と、一般的な債務不履行解除(541条・催告後解除)・無催告解除(542条)の両方を検討できます。

各解除根拠の比較:

| 解除根拠 | 要件 | 催告の要否 | 特徴 |

|---|---|---|---|

| 611条2項(特則) | 一部使用不能・目的達成不能・賃借人の責なし | 不要 | 特則として優先。迅速な解除が可能 |

| 541条(催告解除) | 債務不履行(修繕義務違反)・相当期間催告 | 必要 | 賃貸人の修繕義務違反を根拠にする場合 |

| 542条(無催告解除) | 契約目的達成不能(性質上催告無意味) | 不要 | 541条の前提(催告が意味をなさない場合) |

611条2項は賃借人の解除権の特則として機能し、「一部使用不能 + 目的達成不能」という要件を満たせば、修繕義務違反を主張するより簡便に解除できます。

616条の2(全部使用不能・当然終了)との体系的位置づけ:

  • 一部使用不能・目的達成可能: 611条1項→賃料減額(当然)のみ。解除権なし。
  • 一部使用不能・目的達成不能: 611条2項→賃借人の解除権。
  • 全部使用不能(滅失等): 616条の2→賃貸借の当然終了(解除不要)。

この3段階の構造を理解することで、「どの程度使えなくなったら解除できるか」という実務的な判断の枠組みができます。

「目的達成不能」の実務的判断(管理会社の対応方針):

賃管士として最も重要なのは、一部使用不能が発生した場合に「これは目的達成不能か」を素早く判断し、適切な対応を取ることです:

1. 軽微な不具合(目的達成可能): 修繕手配+611条1項に基づく賃料調整(過払い防止)で対応。解除リスクなし。

2. 重大な不具合(目的達成不能の可能性): 賃借人から解除通知が来る前に迅速な修繕手配。仮の代替住居の提供(ホテル費用等の負担)を検討することで解除を回避。

3. 解除通知が届いた場合: 解除の意思表示の到達→契約終了。残存期間の賃料は請求不可(すでに当然減額か契約終了)。敷金の精算を速やかに行う。

管理受託契約への反映(管理会社のリスク管理):

管理受託契約に「緊急修繕の発注権限(○万円以下は管理会社が独断で発注可)」を明示することで、611条2項による解除リスクを低減できます。特に夏のエアコン故障・冬の給湯器故障は「目的達成不能」と主張されやすい重要設備であり、緊急対応体制の整備が管理会社の差別化要素にもなります。

根拠: 民法541条・542条・611条・616条の2(e-Gov 法令検索)、令和2年4月施行民法改正。確認日2026-06-10。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法611条2項(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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