民法9民法(賃貸借契約の基本)

賃管士 民法 問9:民法(賃貸借契約の基本)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10

令和2年4月施行の改正民法で新設された民法616条の2に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 賃借物の全部が賃借人の責めに帰することができない事由によって使用収益できなくなった場合、賃貸借は当然に終了する。
  • 616条の2による賃貸借の終了は、解除の意思表示を必要とせず、使用収益不能の状態が生じた時点で当然に効力を生じる。
  • 賃借物が自然災害(地震・火災等)によって全部滅失した場合、賃貸借は当然終了し、賃借人は残存期間分の賃料を支払う義務はない。
  • 616条の2は、賃借人の責めに帰すべき事由によって全部滅失した場合にも適用される。正答
  • 賃借物の全部が使用収益できなくなった後に敷金の返還時期が問題となる場合は、明渡時(使用収益不能により確定した時)を基準に返還が行われる。
正答:616条の2は、賃借人の責めに帰すべき事由によって全部滅失した場合にも適用される。

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正答はエです。

民法616条の2は「賃借物の全部が賃借人の責めに帰することができない事由によって使用収益できなくなった場合」に適用されます。賃借人の責に帰する(故意・過失による)全部滅失には適用されません。エは「責めに帰すべき事由による場合にも適用される」と述べており誤りです。

賃借人の故意・過失による全部滅失の場合、賃借人は損害賠償義務を負い、賃貸借が終了したとしても賃借人の責任は消えません。

アとイは616条の2の正確な説明です。616条の2はR2改正で新設された条文です。

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616条の2の適用範囲と終了の効果:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 適用場面 | 賃借物の全部が「賃借人の責めに帰することができない事由」で使用収益不能 |

| 典型例 | 地震・火事(賃借人の故意・過失なし)・経年劣化による建物崩壊等 |

| 効果 | 賃貸借は「当然に終了」(解除の意思表示不要・自動終了) |

| 適用除外 | 賃借人の責に帰すべき事由による場合(→損害賠償・債務不履行の問題) |

各選択肢の整理:

  • ア(正): 616条の2の内容。「賃借人の責めに帰することができない事由」が要件として含まれている点に注意。
  • イ(正): 「当然に終了」=解除の意思表示不要で自動的に法律上の効果が発生する。
  • ウ(正): 自然災害で全部滅失→当然終了→残期間の賃料支払義務消滅。火事の場合、火元が賃借人でなければ(隣家からの延焼等)適用される。
  • エ(誤): 616条の2は賃借人の責に帰せない場合の特則。賃借人の故意・過失による全部滅失は適用外(→損害賠償義務が発生)。「責めに帰すべき事由にも適用される」は誤り。
  • オ(正): 616条の2による終了後は、敷金は実質的な明渡し(賃借人が占有を放棄した時点)を基準に返還される(622条の2第1項1号の「賃貸物の返還を受けたとき」を全部滅失の場合に準用して解釈)。
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【616条の2と賃借人の火災責任論争—失火責任法との関係】

616条の2が最も重要な実務的意義を発揮するのが「賃借物が火災で全焼した場合」です。ここで必ず押さえるべき論点として「失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)」があります。

失火責任法の概要:

  • 明治32年制定の特別法
  • 「失火の場合は、民法709条(不法行為)の損害賠償責任を負わない。ただし重大な過失がある場合は責任を負う」
  • 適用:失火(不注意による火災)について軽過失は免責、重大な過失のみ責任

賃貸借での失火の場面(賃借人の火災責任問題):

賃借人が失火した場合(軽過失)の賃貸人への責任関係:

1. 不法行為責任(民法709条): 失火責任法により軽過失なら免責(賃貸人への損害賠償は不要)

2. 契約責任(善管注意義務違反・415条): 失火責任法は不法行為の特則であり、契約責任には適用されない(最判昭30.3.25の判例)

つまり、賃借人が軽過失で失火して賃借物を全焼させた場合:

  • 賃貸人に対する不法行為責任→免責(失火責任法)
  • 賃貸人に対する契約責任(善管注意義務違反)→責任あり(損害賠償義務)

この場合は「賃借人の責めに帰すべき事由」(契約責任)が認められるため、616条の2の「当然終了」ではなく、賃借人の損害賠償義務が生じます。一方で隣家からの延焼等(全く賃借人に過失なし)なら616条の2が適用されます。

賃借人の火災保険・借家人賠償責任保険の実務的重要性:

上記の法律関係から、賃借人の契約責任をカバーするために「借家人賠償責任保険」の加入が実務上重要です。多くの管理会社では入居条件として「家財保険(借家人賠償責任保険付き)への加入」を義務付けています。

| 保険 | カバーする範囲 | 主な加入者 |

|---|---|---|

| 家財保険 | 賃借人の家財の損害 | 賃借人 |

| 借家人賠償責任保険 | 賃借人が賃借物を損傷した場合の賃貸人への賠償 | 賃借人(家財保険の特約として付帯が多い) |

| 個人賠償責任保険 | 水漏れ等で隣室に損害を与えた場合の賠償 | 賃借人 |

| 火災保険(建物) | 建物自体の損害 | 賃貸人(オーナー) |

賃貸住宅管理業者として、入居者に適切な保険加入を案内・確認することは、オーナーの資産保護と入居者の法的リスク軽減の両面から重要な管理業務です。

敷金返還との連動(616条の2終了後の処理):

616条の2で賃貸借が当然終了した場合、通常損耗・経年変化を超える損傷がない(全部滅失のため、損傷の概念が通常と異なる)ため、敷金から控除できる原状回復費用がないことが多いです(全部滅失の場合は賃借人の責に帰せない事由が前提)。

賃借人が負担すべき債務(延滞賃料等)がなければ、敷金は速やかに全額返還する必要があります。「明渡時」の実質的な意味は、賃借人が残存する動産(家財等)を引き取り、占有を終了させた時点と解されます。

根拠: 民法616条の2・622条の2(e-Gov 法令検索)、失火ノ責任ニ関スル法律、最判昭30.3.25(契約責任への失火責任法の不適用)。確認日2026-06-10。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法616条の2・622条の2(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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