賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 民法 問9|賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了

問題

賃管士 | 民法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

民法616条の2(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

正答はアです。

民法616条の2の条文は「賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する」とだけ定めており、「賃借人の責めに帰することができない事由」という限定は一切ありません。つまり、全部滅失の原因が賃借人の故意・過失によるものであっても、賃貸借は当然に終了します。アは「賃借人の故意・過失による場合には適用されず終了しない」としており誤りです。

ウ・イ・エ・オはいずれも条文どおりの正しい記述です。

616条の2の適用範囲の整理:

項目内容
適用場面賃借物の全部が滅失その他の事由で使用収益不能になったとき
原因の限定なし(賃借人の故意・過失による場合も含む)
効果賃貸借は「これによって終了する」=当然終了(解除の意思表示不要)
賃借人の責任終了しても、賃借人の帰責事由による滅失なら債務不履行の損害賠償義務は別途発生する

611条(一部滅失)との違い:

611条1項は「賃借物の一部が…使用収益できなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は…減額される」と定め、こちらは明文で賃借人の無帰責を要件としています。616条の2(全部滅失)にはこの限定がなく、条文の構造が異なります。

各選択肢の整理:

  • ウ・イ(正): 616条の2の文言どおり。当然終了・解除不要。
  • ア(誤): 616条の2に帰責事由の限定はない。賃借人の故意・過失による全部滅失でも終了する。
  • エ(正): 終了の効果と損害賠償責任は別問題。終了しても賃借人の責任は消えない。
  • オ(正): 611条(一部滅失・帰責事由の限定あり)と616条の2(全部滅失・限定なし)は適用条文自体が異なる。

【616条の2に帰責事由の限定がないことの実務的意味】

616条の2は令和2年4月施行の改正民法で新設された条文で、条文上「賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する」とのみ定めています。611条1項(一部滅失の賃料減額)が「賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるとき」という限定を明文で置いているのと対照的に、616条の2にはそのような限定文言が一切ありません。

なぜ全部滅失は帰責事由を問わず終了するのか:

賃貸借の目的物(賃借物)が全部滅失すれば、そもそも賃貸借の履行対象自体が存在しなくなります。契約の目的物が消滅した以上、それが誰の帰責事由によるものであっても契約の存続を観念できないため、616条の2は原因を問わず当然終了とする構成を採っています。これは「契約が続くかどうか」の問題(終了の有無)と、「誰が損害を賠償すべきか」の問題(責任の所在)を条文上切り分けている、と理解すると整理しやすくなります。

終了後の責任関係(エの補足):

賃借人の故意・過失(例:賃借人の重大な不注意による火災で建物が全焼した等)により全部滅失が生じた場合:

1. 616条の2により、賃貸借契約自体は当然に終了する(賃貸人は「終了していない」と主張して賃料を請求し続けることはできない)

2. 一方で、賃借人には賃借物を返還するまで善良な管理者の注意をもって保存する義務(400条の善管注意義務)があるため、その義務違反によって賃貸人に損害(建物の滅失という損害)を与えた場合は、債務不履行に基づく損害賠償責任(415条)を別途負う

つまり「契約は終了するが、賠償義務は残る」という二段構えの処理になります。賃貸住宅管理の実務では、火災等による全部滅失が生じた場合にまず616条の2で契約関係の終了を確認し、その上で原因調査(賃借人の帰責事由の有無)に基づいて損害賠償の要否を検討する、という順序で対応することになります。

611条との条文構造の対比(オの補足):

611条1項は一部滅失について「賃借人の責めに帰することができない事由によるもの」であることを賃料減額の要件としており、賃借人に帰責事由がある一部滅失の場合には611条1項の当然減額は適用されません(この場合は賃借人の債務不履行の問題として処理される)。これに対し616条の2(全部滅失)は原因を問わず契約自体を終了させる規定であり、両条は「一部か全部か」という適用場面だけでなく、「帰責事由の限定の有無」という条文の作り自体が異なる点に注意が必要です。

根拠: 民法616条の2・611条1項・400条・415条(e-Gov 法令検索)。確認日2026-09-30。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法616条の2・611条・400条・415条(e-Gov 法令検索、令和2年4月1日施行改正後の現行条文) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-09-30(e-Gov 法令API v2で616条の2・611条の現行条文を取得して確認) 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

この問題の関連トピック

  • 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了(民法616条の2
  • 頻出度B

この論点をくわしく読む

関連する問題

ページの先頭へ