賃管士 民法 問19:民法(敷金・原状回復)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
敷金の充当に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア賃借人は、賃料の滞納が生じた場合、賃貸人に対して「敷金から滞納賃料を充当してほしい」と請求する権利を有する。
- イ賃貸人は、賃借人の賃料滞納等の債務不履行が生じた場合、敷金から当然にその債務に充当することができる。正答
- ウ敷金の充当は、賃料債務の弁済にのみ使うことができ、原状回復費用への充当はできない。
- エ賃借人が賃料滞納3ヶ月分の状態で退去した場合、賃貸人は敷金から3ヶ月分の滞納賃料を差し引かなければならず、任意に充当しないことはできない。
- オ賃貸人が敷金を賃料に充当した場合、賃借人はその充当に対して異議を申し立てることができない。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・国土交通省ガイドラインも明記。
正答はイです。
敷金の充当について民法622条の2第2項は「賃貸人は、敷金を…に充当することができる」と規定しています。充当するかどうかは賃貸人の選択権です。
アは誤りで、賃借人から「敷金を充当してほしい」と請求することはできません(622条の2第2項の但書「賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない」)。
エは誤りで、充当は賃貸人の「できる(権利)」であり、充当しないことも賃貸人の選択として認められます(必ずしなければならないわけではない)。
622条の2第2項の構造(充当に関する権利の所在):
| 主体 | 充当の可否 |
|---|---|
| 賃貸人 | 充当できる(選択権あり・義務ではない) |
| 賃借人 | 充当を請求できない(但書の明示規定) |
充当できる債務の範囲(622条の2第1項):
「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務」→賃料だけでなく、原状回復費用・損害賠償等すべて
各選択肢の整理:
- ア(誤): 622条の2第2項但書「賃借人は…充てることを請求することができない」。賃借人から充当請求はできない。
- イ(正): 622条の2第2項「賃貸人は、賃貸物の返還を受ける前においても、弁済期が到来した賃料その他の債務の弁済に充てることができる」—賃貸中(明渡し前)でも賃貸人は充当可能。
- ウ(誤): 充当できる対象は「賃料その他の賃貸借に基づく債務」全般(原状回復費用も含む)。
- エ(誤): 充当は賃貸人の権利(「できる」)であり義務ではない。充当しないことを選択することも可能(例:法的手続きを進める証拠として滞納事実を保存するために充当しない選択)。
- オ(誤): 充当に対して異議を申し立てることは、充当が不当である場合(例:充当する根拠となる債務の存否・金額を争う場合)に認められる。「一切異議申し立てができない」は誤り。
【敷金充当の戦略的判断—管理会社の実務指針】
賃貸人が敷金を充当するかどうかは法律上の任意選択ですが、実務上は「いつ・どのように充当するか」が重要な戦略的判断を伴います。
充当を「しない」選択が合理的な場面:
1. 滞納賃料を法的証拠として保存する場合: 賃借人との賃貸借契約解除・明渡訴訟において「3ヶ月の滞納事実」を証拠として保持するため、敷金を充当せずに滞納事実を維持する。充当してしまうと「支払われた」と評価されかねず、信頼関係破壊の証拠が弱まる可能性がある。
2. 保証会社との関係を維持する場合: 保証会社が代位弁済できる条件(滞納期間・金額)を維持するため、敷金充当を先行させない判断。
充当を「する」選択が合理的な場面:
1. 退去精算を速やかに完了させる場合: 退去後に滞納賃料と原状回復費用を合わせて敷金から控除し、残額を速やかに返還することで精算を完了させる。
2. 少額の滞納(1ヶ月程度)で解決を求める場合: 1ヶ月分の滞納を敷金で補填し、引き続き賃借関係を維持する判断。
「賃借中の充当」(622条の2第2項前段)の活用:
622条の2第2項は「賃貸物の返還を受ける前においても」充当できることを明示しています。これは賃貸中(契約続行中)でも敷金を充当できることを意味します。
実務例:賃借人が2ヶ月の賃料を滞納した場合、賃貸人が「敷金から2ヶ月分を充当する」旨を賃借人に通知→賃借人に「敷金が2ヶ月分減った(補充の申し入れ)」と伝える。
ただし、敷金残高が減少したからといって「敷金の補充義務」が法律上賃借人に生じるわけではありません。補充を求める特約がない限り、敷金が不足した状態で賃貸借が継続します。
家賃債務保証会社との関係(代位弁済後の充当):
保証会社が代位弁済した場合、保証会社は賃借人に対して求償権(立て替えた額を返せという権利)を持ちます。賃貸人(オーナー)は保証会社から代位弁済を受けた場合、敷金を別途保証会社に引き渡す義務はありませんが、退去精算時に「保証会社に対する賃借人の債務」も整理する必要があります。
管理受託契約において「保証会社が代位弁済した場合の敷金取り扱い」を明確に定めておくことが、トラブル防止の観点から重要です。
根拠: 民法622条の2第2項(e-Gov 法令検索)。確認日2026-06-10。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法622条の2第2項(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。