問題
借地借家法29条(建物賃貸借の期間)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。 ア. 期間を6ヶ月と定めた建物賃貸借契約は、期間を1年とする建物賃貸借とみなされる。 イ. 期間を1年と定めた建物賃貸借契約は有効であり、借地借家法29条に違反しない。 ウ. 建物賃貸借において、50年という長期間の契約期間を定めることは民法604条の50年上限に触れるため、借地借家法にかかわらず無効となる。 エ. 定期建物賃貸借(借地借家法38条)では、1年未満の期間を定めることも可能である。 オ. 期間の定めのない建物賃貸借において、賃借人はいつでも解約申入れをすることができ、申入れから3ヶ月後に賃貸借が終了する。
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答え合わせ
- a
- b
- c
- d
- e
自信の3択
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解説
正答はb(イとエとオ)です。
イ(正): 1年(1年)は借地借家法29条1項の「1年未満」に該当しないため有効。
エ(正): 定期借家(38条)は1年未満(例:6ヶ月)でも有効(38条1項後段「この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない」)。
オ(正): 賃借人からの解約申入れは、民法617条1項2号により申入れの日から3か月で終了します(借地借家法27条1項は賃貸人からの申入れ=6か月の規定)。
ア(誤): 6ヶ月の期間を定めた場合は「1年の賃貸借」ではなく「期間の定めがない建物の賃貸借」とみなされます(29条1項)。
ウ(誤): 建物賃貸借には借地借家法が優先適用され、民法604条の50年上限は建物賃貸借に実質的に適用されません。
借地借家法29条の整理:
| 条項 | 内容 |
|---|---|
| 29条1項 | 建物賃貸借で期間を1年未満と定めたとき→期間の定めなしとみなす(1年未満の期間定めを無効化) |
| 29条2項 | 建物賃貸借の期間は民法604条(50年上限)の制限を受けない |
「1年未満はみなし期間なし」の意味:
- 「6ヶ月」と定めた→「期間の定めなし」とみなされる
- 「期間の定めなし」→民法617条・借地借家法27条の解約申入れ規定が適用される
- 「1年」と定めた→有効な1年契約(29条1項の対象外)
各選択肢の整理:
- ア(誤): 6ヶ月→「期間の定めなし」とみなされる(「1年」ではない)
- イ(正): 1年は「1年未満」ではないため29条1項の適用なし→有効
- ウ(誤): 29条2項により建物賃貸借は民法604条の50年上限を受けない
- エ(正): 38条1項後段「この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない」→期間の下限制限なし→1年未満も有効
- オ(正): 民法617条1項2号により、建物の賃貸借は解約の申入れの日から3か月を経過することによって終了する(借地借家法27条1項は賃貸人からの申入れ=6か月の規定で、賃借人からの申入れには民法が適用される)
【借地借家法29条の「1年未満→期間の定めなし」規定の立法趣旨と実務影響】
29条1項が「1年未満の期間を無効にして期間の定めなしとみなす」規定を設けた趣旨は「短期間の賃貸借を通じて借家人保護を回避しようとする契約形態を防止する」ことにあります。
短期間の契約を繰り返すことで法定更新・正当事由の規制を免れる手法を防ぐ点に意味があります。
「期間の定めなし」になることの実務的影響:
6ヶ月の契約→29条1項で「期間の定めなし」とみなされた場合:
1. 法定更新(26条)の規定が適用(期間の定めある借家の法定更新)ではなく、「期間の定めなし」の解約申入れルール(27条)が適用
2. 賃貸人から解約するには:6ヶ月前の申入れ+正当事由(28条)が必要
3. 賃借人から解約するには:申入れから3か月で終了(民法617条1項2号)
「6ヶ月で終わるつもりで6ヶ月の契約をしたら、実は期間の定めなしの契約になっていて、賃借人を退去させるには正当事由が必要だった」というトラブルが生じることがあります。
定期借家(38条)での1年未満の活用場面(実務):
定期借家は29条1項の制限を受けないため、6ヶ月・3ヶ月という短期の定期借家契約が可能です。
短期定期借家の活用場面:
- 大規模修繕前の「明け渡し期間」として短期定期借家で入居させる
- 新しい入居者が決まるまでの「繋ぎ」として短期で貸し出す
- 工事請負業者の現場近くの仮住まい(一時使用目的なら40条でも可)
ただし定期借家は書面・事前説明が必須(38条1項・3項)であり、これを怠ると「普通借家として成立」(通常の法定更新あり)となるリスクがあります。
解約申入れ期間の借主・貸主の非対称:
期間の定めのない建物賃貸借の解約申入れについて:
- 賃貸人(貸主)から:申入れの日から6か月で終了(借地借家法27条1項。かつ正当事由が別途必要・28条)
- 賃借人(借主)から:申入れの日から3か月で終了(民法617条1項2号)
この非対称性(賃貸人が不利)は「借家人保護」の観点から設けられており、普通借家では賃貸人は正当事由なしに解約できません。
賃管士試験での頻出ポイント:
- 「1年未満→期間なしとみなす」(29条1項)
- 「定期借家(38条)は1年未満も有効」
- 「期間なしの解約申入れ:貸主6ヶ月(借地借家法27条1項)・借主3ヶ月(民法617条1項2号)」
- 「貸主の解約には正当事由が必要」(28条)
根拠: 借地借家法27条・29条・38条(e-Gov 法令検索)。
一次数値: 借家の最短期間1年(借地借家法29条)出典: e-Gov、確認日2026-06-10。
- 借地借家法第29条・第38条・第27条e-Govで原文を読む
- 民法第604条の50・第617条・第604条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法29条・27条・38条、民法617条(e-Gov 法令検索) 一次数値: 借家の最短期間1年(借地借家法29条)出典: e-Gov、確認日2026-06-10 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

