電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和7年度下期 機械 問5|電気機器(同期機)

問題

電験三種 | 機械 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

回転界磁形同期電動機が停止している状態で,固定子巻線に対称三相交流電圧を印加すると回転磁界が生じる。しかし,励磁された回転子磁極が受けるトルクは,同じ大きさで向きが交互に変わるので,その平均トルクは零になり電動機は起動しない。これを改善するために,回転子の磁極面に (ア) を施す。これは,(イ) と同じ起動原理を利用したもので,誘導トルクによって電動機を起動させる。 起動時には,回転磁束によって誘導される高電圧によって絶縁が破壊するおそれがあるので,(ウ) を抵抗で短絡して起動する。回転子の回転速度が同期速度に近づくと,この短絡を切り放し (エ) で励磁すると,回転子は同期速度に引き込まれる。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

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答え合わせ

正解は 3
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

電験三種「機械」の「電気機器(同期機)」からの出題(令和7年度下期 問5)。同期電動機の自己起動法を問う穴埋め問題で、正答は(3)です。

同期電動機は止まった状態では平均トルクが零で回り出せません。そこで回転子の磁極面に(ア)制動巻線というかご形の短絡導体を設け、(イ)かご形誘導電動機と同じしくみで誘導トルクを得て起動します。

起動中は回転磁界で界磁巻線に高電圧が誘導されるので、(ウ)界磁巻線を抵抗で短絡しておき、同期速度に近づいたら(エ)直流で励磁して同期速度に引き込みます。よって正答は(3)です。

【各空白の検討】

(ア) 制動巻線:回転子の磁極面のみぞに導体の棒を入れ、両端を短絡環でつないだもの。本来は乱調(回転速度の振動)を抑えるための巻線だが、起動にも使われる。補償巻線は直流機の電機子反作用を打ち消すために主磁極面に設ける巻線で、同期電動機の起動とは関係がない。

(イ) かご形誘導電動機:制動巻線は短絡されたかご形の導体なので、回転磁界との相対運動で誘導電流が流れ、かご形誘導電動機と同じ原理で誘導トルクが生じる。巻線形誘導電動機は、回転子の巻線をスリップリングで外部抵抗につなぐ構造で、制動巻線の構造とは異なる。

(ウ) 界磁巻線:起動直後は回転磁界が回転子に対して速く回るので、巻数の多い界磁巻線に高電圧が誘導される。開放したままだと絶縁破壊のおそれがあるので、抵抗で短絡しておく。固定子巻線は電源をつなぐ巻線で、短絡するものではない。

(エ) 直流:同期機の界磁は直流で励磁する。同期速度近くで界磁巻線に直流を流すと、回転子の磁極が回転磁界に引き込まれて同期速度で回る。

【選択肢の絞り込み】

(ア)が制動巻線で(イ)がかご形なのは(3)と(4)。(ウ)が界磁巻線なのは(3)だけです。

【平均トルクが零になる理由】

回転子が止まっている状態では、固定子の回転磁界は同期速度で回転子の磁極の前を通り過ぎていきます。回転子の N 極に対して、回転磁界の S 極が近づくときは引き寄せ、N 極が近づくときは押し返すので、トルクの向きは電源周波数で交互に入れ替わります。回転子には慣性があるため、この速い交番トルクには追従できず、平均すると零になって起動できません。これが本文の前半で述べられている内容です。

【制動巻線による起動(自己起動法)】

制動巻線は、回転子の磁極面に埋め込んだ導体を短絡環で結んだ、かご形誘導電動機の回転子と同じ形の巻線です。回転磁界との速度差があると誘導電流が流れ、誘導トルクで回転子が加速します。誘導電動機と同じく、このトルクだけでは同期速度に達することはできず、少し低い速度までしか上がりません。そこで、同期速度に近づいたところで界磁巻線に直流を流して磁極を作り、回転磁界に引き込んで同期運転に入ります。

【界磁巻線を抵抗で短絡する理由】

起動直後は回転子と回転磁界の速度差が大きく、界磁巻線を横切る磁束の変化も速いので、巻数の多い界磁巻線に高い電圧が誘導されます。変圧器の二次側を開放したまま一次側に電圧をかけた状態に似ています。抵抗を通して短絡しておけば、誘導電圧は電流として抵抗で消費され、絶縁破壊を防げます。同期速度近くでこの短絡を切り放し、直流電源に切り替えます。

【まぎらわしい語句】

・補償巻線:直流機の主磁極面に設け、電機子反作用を打ち消すための巻線。「磁極面に設ける」という点が似ているので、制動巻線との取り違えを誘っています。

・巻線形誘導電動機:回転子の巻線を外部抵抗につないで比例推移を利用する電動機。誘導トルクで起動する点は同じでも、制動巻線の構造はかご形です。

・交流励磁:同期機の界磁は直流で作るので、(エ)が交流になることはありません。

【関連する出題】

電験三種の機械では、同期電動機の起動法として、本問の自己起動法のほか、別の電動機で同期速度近くまで回す始動電動機法、周波数を徐々に上げる低周波起動法なども問われます。制動巻線は起動だけでなく乱調の防止にも使われる、という点もあわせて押さえておきます。

この問題の根拠出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。