電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和7年度下期 機械 問4|電気機器(誘導機)

問題

電験三種 | 機械 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

あるかご形三相誘導電動機を定格電圧でY-Δ始動したところ,始動トルクは 49.0 N・m であった。また,Δ結線での全電圧始動時(定格電圧)の始動トルクは定格運転時の 210 %である。この電動機の定格運転時のトルクの値[N・m]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

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答え合わせ

正解は 5
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

電験三種「機械」の「電気機器(誘導機)」からの出題(令和7年度下期 問4)。正答は(5)です。

Y-Δ始動では、始動時に巻線を Y 結線にして、1相の巻線にかかる電圧を Δ 結線のときの 1/√3 にします。トルクは電圧の2乗に比例するので、始動トルクは Δ 結線の全電圧始動の (1/√3)²=1/3 になります。

したがって Δ 結線の全電圧始動トルクは 49.0×3=147 N・m です。これが定格トルクの 210 %なので、定格トルクは 147÷2.10=70.0 N・m となり、正答は(5)です。

【Y-Δ始動のトルク】

線間電圧 V の電源に対し、1相の巻線にかかる電圧は

・Δ 結線:V

・Y 結線:V/√3

誘導電動機のトルクは(同じ滑りなら)巻線にかかる電圧の2乗に比例するので

 T_Y/T_Δ=(1/√3)²=1/3

【本問の計算】

① Δ 結線での全電圧始動トルク:T_Δ=3×T_Y=3×49.0=147 N・m

② T_Δ は定格トルク T_n の 210 %:T_Δ=2.10 T_n

③ T_n=147/2.10=70.0 N・m → 正答(5)

【誤りの選択肢】

・(1)16.3:49.0/3。Y-Δ始動トルクが全電圧始動の 1/3 であることを逆向きに使い、3で割った値。

・(2)23.3:49.0/2.10。Y-Δ始動トルクを全電圧始動トルクと取り違え、3倍しなかった値。

・(3)28.3:49.0/√3。トルクを電圧に比例すると考え、さらに向きも逆にした値。

・(4)40.4:49.0×√3/2.10。トルクが電圧の2乗ではなく1乗に比例すると考えた値。

【なぜ 1/3 になるのか】

誘導電動機のトルクは、同じ滑りでは一次電圧の2乗に比例します(T∝V²)。始動時は滑り s=1 で同じ条件なので、巻線にかかる電圧の比だけでトルクの比が決まります。Y 結線の相電圧は線間電圧の 1/√3 なので、トルクは (1/√3)²=1/3 になります。

同様に、始動電流(電源から流れ込む線電流)も 1/3 になります。Y 結線では相電流が Δ のときの 1/√3 になり、さらに Δ 結線では線電流が相電流の √3 倍であるのに対し、Y 結線では線電流=相電流なので、線電流としては (1/√3)×(1/√3)=1/3 になります。

【本問の考え方の順序】

本問は「Y-Δ始動トルク」→「Δ全電圧始動トルク」→「定格トルク」と2段階でさかのぼります。

・1段目:Y-Δ始動トルクは全電圧始動の 1/3 なので、全電圧始動トルクは 3 倍の 147 N・m。

・2段目:全電圧始動トルクが定格の 2.10 倍なので、定格トルクは 147÷2.10=70.0 N・m。

検算として、定格トルク 70.0 N・m に対する Y-Δ始動トルクの割合を求めると 49.0÷70.0=0.70、すなわち 70 %です。これは 210 %÷3=70 %と一致します。Y-Δ始動では始動トルクが定格の 70 %しかないので、負荷トルクが大きい場合には起動できないおそれがある、ということもこの数字から読み取れます。

【誤答の作り方】

選択肢は、次の2点の取り違えで作られています。

・1/3 を掛けるか 3 を掛けるか(向きの誤り)→ (1)、(3)

・トルクが電圧の2乗に比例するか1乗に比例するか(3 と √3 の誤り)→ (3)、(4)

・1段目の換算を飛ばす → (2)

「Y-Δ始動のほうが小さい」「2乗で効く」の2点を確かめれば、正しい換算は1通りに決まります。

【関連する出題】

電験三種の機械では、Y-Δ始動のほか、始動補償器(単巻変圧器)による始動、リアクトル始動などで、始動電流と始動トルクが何倍になるかを問う問題が出題されます。電圧を何倍にしたか、電源側の電流はどう変わるか、トルクは電圧の2乗で変わるか、を順に考える手順は共通です。

この問題の根拠出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。