問題
熱の伝導は電気の伝導によく似ている。下記は,電気系の量と熱系の量の対応表である。 電気系と熱系の対応表(電気系の量 → 熱系の量) ・電圧 V [V] → (ア) [K] ・電気量 Q [C] → 熱量 Q [J] ・電流 I [A] → (イ) [W] ・導電率 σ [S/m] → 熱伝導率 λ [W/(m・K)] ・電気抵抗 R [Ω] → 熱抵抗 R_T (ウ) ・静電容量 C [F] → 熱容量 C (エ) 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
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答え合わせ
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自信の3択
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解説
熱の伝わり方を電気回路に置き換える「熱回路」の対応関係を問う問題です(令和6年度上期 問12)。
電流を流そうとする電圧に当たるのは、熱を流そうとする温度差θ[K]です。単位時間に流れる電気量である電流に当たるのは、単位時間に流れる熱量である熱流Φ[W](=[J/s])です。
オームの法則 R=V/I に当てはめると熱抵抗は R_T=θ/Φ なので単位は[K/W]、C=Q/V に当てはめると熱容量は C=Q/θ なので単位は[J/K]です。
組合せは温度差θ、熱流Φ、[K/W]、[J/K]で、正答は(1)です。
【対応関係を式で確かめる】(令和6年度上期 問12)
(ア) 電圧V[V]は電流を流す原因です。熱では温度の高い所から低い所へ熱が流れるので、原因は温度差θで、単位は表のとおり[K]です。
(イ) 電流Iは1秒あたりに流れる電気量で I=Q/t[C/s]=[A]です。熱では1秒あたりに流れる熱量 Φ=Q/t[J/s]=[W]で、これを熱流といいます。表の単位[W]とも合います。
(ウ) 電気抵抗は R=V/I[V/A]=[Ω]です。熱抵抗は同じ形で R_T=θ/Φ なので、単位は[K]/[W]=[K/W]です。
(エ) 静電容量は C=Q/V[C/V]=[F]です。熱容量は同じ形で C=Q/θ(温度を1 K上げるのに必要な熱量)なので、単位は[J]/[K]=[J/K]です。
【他の選択肢の誤り】
・(2)(4)は(ア)と(イ)を逆にしています。表の単位[K]は温度、[W]は熱流の単位なので、熱流Φ[K]、温度差θ[W]とはなりません。
・(3)は熱抵抗を[K/J]としていますが、熱抵抗は温度差を熱「流」([J/s]=[W])で割ったものなので[K/W]です。
・(5)は熱容量を[J/W]としていますが、熱容量は熱量を温度差で割ったものなので[J/K]です。
よって正答は(1)です。
【熱回路のオームの法則】(令和6年度上期 問12)
電気回路の I=V/R に対応して、熱回路では
Φ=θ/R_T
が成り立ちます。長さl、断面積Sの物体を熱が伝わるときの熱抵抗は、電気抵抗 R=l/(σS) と同じ形で
R_T=l/(λS) [K/W]
と表せます。表で導電率σ[S/m]と熱伝導率λ[W/(m・K)]が対応しているのはこのためで、λの単位に R_T=l/(λS) を当てはめると m/(W/(m・K)×m²)=K/W となり、(ウ)の単位とも一致します。
【熱容量と過渡現象】
電気回路のコンデンサが Q=CV で電荷をためるように、物体は Q=Cθ で熱をためます。熱抵抗R_Tと熱容量Cが組み合わさると、RC回路と同じように温度は時定数 τ=R_T×C で指数関数的に上昇します。単位を確かめると [K/W]×[J/K]=[J/W]=[s] となり、時定数が時間の次元を持つことが分かります。選択肢(4)(5)の[J/W]は、この時定数の単位にあたる量で、熱容量の単位ではありません。
【電気機器での使われ方】
変圧器・電動機・半導体素子の温度上昇は、損失(熱流Φ[W])と熱抵抗R_T[K/W]の積で
温度上昇 θ=R_T×Φ
と見積もります。たとえばパワー半導体では、接合部からケース、ケースから放熱器、放熱器から周囲空気までの熱抵抗を直列につなぎ、損失に掛けて接合部の温度上昇を求めます。熱抵抗を直列・並列に合成する計算も、電気抵抗とまったく同じ規則で行えます。
【熱量と熱流の区別】
熱量Q[J]はたまる量・移動した総量、熱流Φ[W]は1秒あたりの流れの強さで、電気量[C]と電流[A]の関係と同じです。(3)の[K/J]は、熱抵抗を「温度差÷熱量」と取り違えた単位で、熱抵抗は「流れ」に対する抵抗なので熱流[W]で割ります。
【出題のねらい】
電気系と熱系の対応では、「電圧↔温度差」「電流↔熱流」「電荷↔熱量」が骨組みです。単位は対応する式(R=V/I、C=Q/V)に熱系の量を入れれば必ず導けるので、暗記に頼らず式から組み立てると、[K/J]や[J/W]のような紛らわしい単位に惑わされません。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

