問題
図に示すようなフィードバック制御系がある。閉ループ周波数伝達関数 W(jω) = C(jω)/R(jω) のボード線図の折線近似ゲイン特性として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,ω は角周波数[rad/s]を表す。
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答え合わせ
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- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
電験三種「機械」の「自動制御」に関する問題(令和5年度下期 問13)。正答は(4)です。
図の制御系は、比例要素 K と積分要素 1/(jωT) を直列にし、出力をそのまま入力側へ戻す(直結フィードバック)構成です。閉ループ伝達関数は「前向き伝達関数 ÷(1 + 前向き伝達関数)」で、
W = (K/(jωT)) ÷ (1 + K/(jωT)) = K/(K + jωT) = 1/(1 + jωT/K)
となります。これは時定数 T/K の一次遅れ要素なので、低い周波数ではゲイン 0 dB、折れ点 ω = K/T から −20 dB/dec で下がる特性になり、(4)が正解です。
【論点】直結フィードバック系の閉ループ伝達関数とボード線図(令和5年度下期 問13)
【閉ループ伝達関数】
前向き伝達関数 G(jω) = K × 1/(jωT) = K/(jωT)
直結フィードバックなので W(jω) = G/(1 + G)
W(jω) = (K/(jωT)) / (1 + K/(jωT)) = K/(jωT + K) = 1/(1 + jω(T/K))
【ゲイン特性】
|W| = 1/√(1 + (ωT/K)²)
・ω ≪ K/T:|W| ≒ 1 → 20log₁₀1 = 0 dB(水平線)
・ω ≫ K/T:|W| ≒ K/(ωT) → ω が10倍になるごとに 20 dB 下がる(−20 dB/dec)
・折れ点:ωT/K = 1 より ω = K/T
したがって「0 dB の水平線、折れ点 K/T、−20 dB/dec」の(4)。
【誤りの選択肢】
(1)(3)(5):低周波域が 20log₁₀K [dB] になっている。これは W = K/(1 + jωT) のような形のときの特性で、本問のように前向き要素に積分を含む直結フィードバック系では、低周波でループゲインが非常に大きくなり、閉ループのゲインは1(0 dB)に近づく。
(2):折れ点が T/K になっている。T/K は閉ループの時定数であり、折れ点角周波数はその逆数の K/T である。
【核心論点】積分要素を含む直結フィードバック系は、閉ループで「時定数 T/K の一次遅れ」になる(令和5年度下期 問13)。正答は(4)です。
【ブロック線図の整理】
図は、R(jω) から加え合わせ点(R は+、帰還信号は−)を経て、比例要素 K、積分要素 1/(jωT) を直列に通り、出力 C(jω) をそのまま加え合わせ点へ戻す構成である。前向き伝達関数を G = K/(jωT)、帰還要素を H = 1 とすると、
W = G/(1 + GH) = K/(K + jωT) = 1/(1 + jωT/K)
となる。分母の形 1 + jωτ から、閉ループの時定数は τ = T/K、折れ点角周波数は ωc = 1/τ = K/T と読み取れる。
【折線近似の作り方】
ゲイン g = 20log₁₀|W| = −10log₁₀{1 + (ωT/K)²} [dB]
・低周波域:(ωT/K)² ≪ 1 で g ≒ 0 dB → 横軸に重なる水平線
・高周波域:(ωT/K)² ≫ 1 で g ≒ −20log₁₀(ωT/K) → 傾き −20 dB/dec の直線
・2本の直線は ω = K/T で交わり、これが折れ点。実際の曲線は折れ点で −3 dB(20log₁₀(1/√2) ≒ −3.0 dB)となり、折線近似との差が最も大きい点である。
【物理的な意味】
低周波で 0 dB ということは、ゆっくり変化する目標値には出力がそのまま追従する(定常偏差ゼロ)ことを表す。前向き要素の積分 1/(jωT) は、ω → 0 で大きさが無限大になるため、ループゲインが十分大きくなり閉ループのゲインが1に近づく。K を大きくすると折れ点 K/T が高周波側へ移り、速い変化にも追従できる(応答が速くなる)。時間応答で見れば、ステップ入力に対する出力は時定数 T/K で 1 − e^(−tK/T) の形で目標値に近づく。
【誤りの選択肢のつくり】
・(1)(3)(5)は低周波ゲインを 20log₁₀K としている。これは前向き要素が K/(1 + jωT) で、フィードバックがない(開ループ)ときの特性である。積分要素と比例要素を区別できているかが問われている。
・(1)の 1/T、(3)の T は、K の影響を無視した折れ点である。
・(2)の T/K は時定数そのもので、折れ点は時定数の逆数であることを取り違えた値である。
【関連知識】
開ループ伝達関数 G = K/(jωT) のゲイン線図は、全周波数で −20 dB/dec の直線で、0 dB を横切る角周波数(ゲイン交差角周波数)が ω = K/T である。閉ループの折れ点が開ループのゲイン交差角周波数と一致するのは、この形の系の特徴であり、開ループ特性から閉ループの速応性を読み取る手がかりになる。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


