問題
図のように,周波数 f [Hz] の正弦波交流電圧 E [V] の電源に,R [Ω] の抵抗,インダクタンス L [H] のコイルとスイッチ S を接続した回路がある。スイッチ S が開いているときに回路が消費する電力 [W] は,スイッチ S が閉じているときに回路が消費する電力 [W] の 1/2 になった。このとき,L [H] の値を表す式として,正しいものを次のうちから一つ選べ。
キーボード:1〜5で選択
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
スイッチ S はコイルと並列につながっているので,S を閉じるとコイルが短絡され,回路は抵抗 R だけになります。電力を消費するのは抵抗だけです。
・S を閉じたとき:P = E²/R
・S を開いたとき:電流は E/√(R² + (2πfL)²) に減り,P = E²R/{R² + (2πfL)²}
開いたときが閉じたときの 1/2 なので R² + (2πfL)² = 2R²,つまり 2πfL = R です。
よって L = R/(2πf) [H] となります。正答は(2)です。
【S の役割】
S はコイル L の両端に並列に入っています。閉じると L が短絡され,回路は R だけ,開くと R と L の直列回路になります。
【消費電力の比較】
コイルは電力を消費しないので,有効電力は抵抗で消費される I²R だけです。
・S 閉:I = E/R,P_閉 = E²/R
・S 開:Z = √(R² + X_L²),X_L = 2πfL,I = E/Z,P_開 = E²R/(R² + X_L²)
P_開/P_閉 = R²/(R² + X_L²) = 1/2
→ R² + X_L² = 2R² → X_L = R → 2πfL = R → L = R/(2πf) [H]
正答は(2)です。
【単位で誤りの選択肢を見分ける】
L の単位 H は Ω·s です。f の単位は 1/s なので
・(2) R/(2πf):Ω·s → H として正しい
・(1) 2πfR:Ω/s,(3) 2πf/R:1/(Ω·s),(4) (2πf)²/R:1/(Ω·s²) → いずれも H にならない
・(5) R/(πf) は単位は正しいが,X_L = 2πf × R/(πf) = 2R となり,電力比は R²/(R² + 4R²) = 1/5 で条件に合いません。
【力率から見る】
S を開いたときの回路の力率は cos θ = R/Z です。消費電力は P = EI cos θ = (E²/Z)(R/Z) = E²R/Z² と書けます。
P が閉じたときの 1/2 になる条件は Z² = 2R²,つまり Z = √2 R で,このとき cos θ = 1/√2,θ = 45° です。インピーダンス三角形が直角二等辺三角形になり,X_L = R となります。
電流は閉じたときの 1/√2 倍になり,電力は電流の 2 乗に比例するので 1/2 倍,という関係でも確認できます。
【数値で確かめる】
R = 10 Ω,f = 50 Hz,E = 100 V とすると,L = 10/(2π × 50) ≈ 31.8 mH です。
・S 閉:P = 100²/10 = 1000 W
・S 開:X_L = 2π × 50 × 0.0318 ≈ 10 Ω,Z = √(10² + 10²) ≈ 14.14 Ω,I ≈ 7.07 A,P = 7.07² × 10 ≈ 500 W
確かに 1/2 になっています。(5) の R/(πf) ≈ 63.7 mH では X_L ≈ 20 Ω,Z = √500 ≈ 22.4 Ω,P = 100² × 10/500 = 200 W で 1/5 になります。
【よくある間違い】
・X_L = R から L を求めるとき,X_L = 2πfL を L について解き忘れ,(1) の 2πfR と書いてしまう。
・ω = 2πf と書くべきところを πf としてしまい (5) を選ぶ。
・電力を E²/Z(皮相電力)で比べてしまう。皮相電力の比で 1/2 とすると Z = 2R,X_L = √3 R となり,選択肢のどれにも当てはまりません。消費電力(有効電力)は抵抗で消費される分だけである点に注意します。
【関連する考え方】
コイルを短絡・開放して電力や電流の変化から L を求める問題は,「有効電力は抵抗だけで消費される」「電流比の 2 乗が電力比」という二点を押さえれば,コンデンサの場合(X_C = 1/(2πfC))にも同じ手順で解けます。本問と同じ条件でコイルの代わりにコンデンサなら,X_C = R から C = 1/(2πfR) となります。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


