問題
図のように,5Ωの抵抗,200mHのインダクタンスをもつコイル,20μFの静電容量をもつコンデンサを直列に接続した回路に周波数f[Hz]の正弦波交流電圧E[V]を加えた。周波数fを回路に流れる電流が最大となるように変化させたとき,コイルの両端の電圧の大きさは抵抗の両端の電圧の大きさの何倍か。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 (図:交流電源E[V],f[Hz]に,5Ωの抵抗,200mHのコイル,20μFのコンデンサを直列に接続した回路。)
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答え合わせ
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自信の3択
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解説
RLC直列回路で電流が最大になるときの,コイルと抵抗の電圧の比を求める問題です(令和4年度上期 問9)。
電流が最大になるのは直列共振のときで,コイルとコンデンサのリアクタンスが等しくなって打ち消し合い,回路のインピーダンスは抵抗5Ωだけになります。
共振角周波数は ω₀=1/√(LC)=1/√(0.2×20×10⁻⁶)=500rad/s で,コイルのリアクタンスは ω₀L=500×0.2=100Ω です。
直列回路では電流が共通なので,電圧の大きさはリアクタンス・抵抗の大きさに比例し,100÷5=20倍になります。正答は(4)です。
【電流が最大になる条件】
RLC直列回路のインピーダンスの大きさは
Z=√{R²+(ωL-1/(ωC))²}
Rは周波数によらないので,ωL=1/(ωC) となる直列共振のときにZ=Rで最小となり,電流I=E/Rが最大になります。
【共振角周波数】
L=200mH=0.2H,C=20μF=20×10⁻⁶F
LC=0.2×20×10⁻⁶=4×10⁻⁶
ω₀=1/√(4×10⁻⁶)=1/(2×10⁻³)=500rad/s
(周波数に直すと f₀=ω₀/(2π)≒79.6Hz ですが,本問ではωのまま計算すれば足ります。)
【各部の電圧】
コイルのリアクタンス X_L=ω₀L=500×0.2=100Ω
コンデンサのリアクタンス X_C=1/(ω₀C)=1/(500×20×10⁻⁶)=100Ω(X_Lと等しく,共振を確認できます)
共振時の電流をI[A]とすると
V_R=5I,V_L=100I
V_L/V_R=100/5=20
【答え】
コイルの電圧は抵抗の電圧の20倍です。抵抗の電圧は共振時には電源電圧Eに等しいので,コイルには電源電圧の20倍の電圧が現れることになります。正答は(4)です。
【比の正体は尖鋭度Q】
本問で求めた V_L/V_R は,直列共振回路の尖鋭度(Q)そのものです。
Q=ω₀L/R=1/(ω₀CR)=(1/R)√(L/C)
最後の形を使うと,ω₀を求めずに
Q=(1/5)×√(0.2/(20×10⁻⁶))=(1/5)×√10000=100/5=20
と一行で計算できます。電験三種の試験では,この形を覚えておくと検算が速くなります。
【なぜ電源より大きな電圧が出るのか】
共振時,コイルの電圧 jX_L·I とコンデンサの電圧 -jX_C·I は大きさが等しく向きが逆(位相差180°)なので,二つを足すと0になります。電源電圧はすべて抵抗にかかり,V_R=E です。一方で,コイルとコンデンサの間では磁気エネルギーと静電エネルギーが周期的にやり取りされ,それぞれの端子には大きな電圧が現れます。本問の値では V_L=V_C=QE=20E です。直列共振が「電圧共振」とも呼ばれるのはこのためで,共振を利用する回路ではコイルやコンデンサの耐電圧に注意が必要です。
【周波数をずらしたとき】
共振周波数から離れると,リアクタンスの差 ωL-1/(ωC) が残ってZが大きくなり,電流が減ります。電流が最大値の1/√2になる二つの周波数の幅(帯域幅)は f₀/Q で,Qが大きいほど共振の山が鋭くなります。本問の回路では f₀≒79.6Hz,Q=20 なので,帯域幅は約4Hzです。Rが小さいほどQが大きく,山が鋭くなります。
【選択肢の作り】
答えは X_L/R(=Q)で一つに決まり,(1)5,(2)10,(3)15,(5)25はいずれもこの計算の結果と一致しません。LをmHのまま,CをμFのまま代入するなど,単位の換算を誤るとω₀が大きく狂うので,最初にH・Fへ直してから計算するのが確実です。
【関連する出題パターン】
・共振周波数 f₀=1/(2π√(LC)) を求める問題
・共振時の電流や,コンデンサの端子電圧を求める問題(V_C=V_L=QE)
・RLC並列回路の共振(電流が最小になる)との対比
いずれも「共振ではリアクタンスが打ち消し合い,回路は抵抗だけに見える」ことが出発点です。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


